夜の連絡
西垣と会ったその夜。 夕飯を食べ終えて部屋に戻り、頃合いかといった具合に俺は携帯でLINEを開き西垣と連絡を付ける。 土曜日の時に連絡先を交換しておいて良かったと思いつつ、文章を書いていく。
『こんばんは。 今は時間大丈夫か?』
定型文のような文章ではあるが最初だし仕方のない事だろう。 それに昼間の事を考えると向こうにも心の準備はいると思う。
「・・・まああれだけ無防備を晒してるなら尚更なぁ・・・」
そう言って俺は昼間に会った時の西垣の事を思い出す。 学校では浮いてはないものの声をかけづらい印象であるが、今回のは年相応どころかむしろ普段なら絶対に見せないであろう姿だったのがかなりのギャップだったし、恥じらう姿も可愛さを物語って
『テロリン』
「うぉい!」
そんな邪な想像に渇を入れるように携帯が鳴る。 恐らく返事が来たのだろうと、先程までの西垣の姿を雲をかき消すように振り払い、履歴を確認した。
『こんばんは積和君。 今の時間なら大丈夫です。 お昼に言っていたお出掛けの予定の件についてですね。』
相手はやはり西垣から。 時間としても問題は無いみたいだ。
『ああ。 西垣はどこか行きたい場所はあるか?』
西垣にそんな質問で返信する。 正直に言えば俺はどこに行くかを考えていなかった。 そもそも出掛ける気が無かったので、なにも思い浮かばなかった、という言い方が正しいだろう。 欲がないと言うのか横着だと言うのか。 とにかく西垣からの返信を待つ。
『テロリン』
携帯が鳴り画面を確認する。
『それなら博物館に行ってみたいです。』
「博物館?」
男女2人で出掛けるにしてはかなり地味である。 西垣が行きたいと言うのならそれを尊重はするが・・・詮索は止めておこう。
『博物館って言うとちょっと遠出になるが、大丈夫なのか?』
そう返信した後に俺も改めて調べる。 この辺りで博物館と言えばなん駅も先にある場所にしかない。 しかも都内でもない。 帰りが遅くなることは想定していないが、心配はされることだろう。
『テロリン』
そう思っていると西垣からの返信が来た。
『日程と出発時刻が分かれば問題ないそうなので。 それにこう言った機会は小さい頃はなかなか出来なかったので。』
そんな最後の一文を言われたらノーとは言えないじゃないか。 とりあえず行き先は分かったのであとは細かく時間などを決めるだけだ。
『分かった。 それなら博物館の最寄り駅で待ち合わせよう。 時間は開場前位でいいか?』
そう返信を返して気が付く。 よくよく考えれば2人だけで出掛けることになるのかと不安になり、聞き返すことにした。
『あと、誰か誘ってみるか?』
簡素ではあるがこう付け加える。 そして返ってきた言葉は。
『そこは明日聞いてみましょう。 今日はこのまま寝ます。 おやすみなさい。』
そんな言葉だったので、俺も『お休み』と一言返してから床についた。




