無防備な姿
「積和君?」
向こうもこちらに気が付いたようで目をぱちくりしている。 そんな西垣の格好はと言えば、まだ暖かくなり始めたではあるものの肌寒さの残るこの時期に似つかわしいような空色のパジャマのような服装。 しかも彼女の身体よりも大きいのか隙間がチラホラあり、そこから見える肌がより一層輝いて見える。
そんな格好である西垣を見ていたら、その視線に気が付いたのか西垣は自分の格好を見て身体を隠すような仕草をした。
「ご、ごめんなさい。 はしたない格好を見せてしまって。」
「あーいや、うん。 俺だったから・・・いや、俺でも駄目だわ。 つーか俺も人のこと言えんな。」
お互いに気まずくなっているとここが入り口だったことを思い出し俺達はとりあえず中に入ることにした。 お昼時ではあるもののそれなりに人がいた。 女性の方が多いのは多分学校が休みの子供や俺達のような学生がいるからだろう。
「積和君はどうしてこちらに?」
あまり話をしないのも悪いと思ったのか西垣の方から話が振られた。
「昼飯を買いに来たんだ。 でもこの後も別に家で部屋にいるだけだからそんなにいらないがな。 そういう西垣も昼飯か?」
「はい。 とはいえ誰とも会わないと思ってこの格好で来てしまったので・・・その・・・」
そりゃ部屋着を見られたのだから恥ずかしいにも程はあるだろう。 こちらも同じ状況なので咎めはしない。
「これ以上誰かに見つかる前にさっさと買い物済ませようぜ。」
「そうですね。」
そう言いつつ俺達は移動していき、俺はパンコーナーで安そうなパンを適当に持っていく。
「それだけで足りますか? というよりも栄養バランスが・・・」
「さっきも言ったが部屋にいるだけだからそんなにいらないんだよ。 あと栄養バランスに関しては夜でどうにかなるし。」
家には料理が趣味の母がいる。 献立はある程度頭に入っているのだろう。
「そういう西垣の方はどうなんだ? 家族で食べる時間は取れてるか?」
「一応父がいるので。 母の方は仕事上なかなか都合は合いませんね。 でも時間が取れる時はしっかりと取ってます。」
家族と疎遠じゃないだけ心配は無用か。 そしてお互いに適当に買っていきスーパーを出たところで俺はあることを思い出す。
「そうだ。 次の休みの予定をまだ何も決めてなかったじゃないか。 なあ西垣・・・」
そう西垣の方を見れば、軽く欠伸をしている西垣の姿があり、呼び掛けでこちらを向くと、西垣はすぐさま口元を隠した。 頬は羞恥のせいか赤く染まっている。
「ええっと・・・なんでしょうか?」
「・・・いや、夜に連絡するよ。 その・・・ちょっと眠たそうだしな。」
そう指摘された西垣は分かれ道に差し掛かるまでこちらを見ることはなかった。




