芦原の実力
行く宛も無かったので幕田先輩に連れられて、選手用の控え室へと案内されることになった。
「先程は威嚇してすみませんでした。」
「ははは。 いきなり声をかけたらああなるって。 ましてや今の君は両手に花状態。 吹っ掛けられてもおかしくないさ。」
そう言われて振り返る。 西垣はその銀髪もそうだが、ハーフという事で顔はかなり整っているように見える。 引間も伊達メガネではあるものの、その奥に見せる顔は可愛いの部類に入るのだろう。
「どうしたん? うちの顔に見惚れちゃった?」
こうして口を開かなければ、ではあるが。
「改めて自己紹介します。 俺は」
「話は芦原君から聞いているって言ったろ? 君が積和君で、銀髪の娘が西垣ちゃん。 そしてそっちのメガネの娘が引間ちゃんだね。 どうかな芦原君のクラスの様子は。」
「まあ話し方に難はありますが、普通にいいやつですよ。 今日の事も自慢気に話してましたし。」
「なるほど。 さ、ここが俺達の控え室だ。」
「今更聞くんですが、観客を控え室に呼んで良いものなんです?」
「差し入れとかも持ってきたりする人もいるし、今回は地域対抗だからそこまで堅っ苦しいものでもないから。」
そう言われながら控え室の扉が開けられると、既に着替え終わっていたようで剣道で使う鎧のような物を身に纏いながら寛いでいた。 そんな中で俺は控え室を見渡していた。
「芦原の姿が見えないな。」
「彼ならあそこだよ。」
指を指された場所を見れば確かに芦原がいたが、他の部員がゆったりと過ごしているなか、芦原だけは静かに佇んでいた。
「・・・積和君。 また後で来ませんか? 今は声をかけない方が良さそうですし。」
「・・・そうだね。 先輩、ここまでの案内ありがとうございます。 何処からなら皆さんを観れますか?」
「いまここが東側になるから、南側の広いところに行くといいよ。 だけど他の人も来るから急いだ方がいいかもね。」
それはまずいと思いながら俺達はすぐに観客席の方に向かう。 そして観客席に行けば確かに俺達が来た時はほとんどいなかったのに今は半数以上観客席が埋まっていた。
「これ3つも席取れるかな?」
「それでも見つけましょう。」
「最悪横並びじゃなくてもいいし。 ・・・お。 あそことかどうよん。」
引間の言われた場所で何とか席を確保して、開会式が始まりすぐに先鋒戦が始まった。
「あ、あれが芦原だな。」
そうして芦原の戦いを見てみる。 試合のルールがいまいち分からないので説明は出来ないが、状況としては何度かのつばぜり合いを繰り返し、最終的な結果としては
芦原も相手も一本ずつ取り、引き分けという形で芦原の初陣は終わったのだった。
剣道のルールは詳しくないので、あまり試合の状況を書くことはしませんでした。




