友の先輩
そして日は流れGWが始まった。 最初の土曜日は芦原の初陣とも言える地域対抗の剣道大会に応援しに行く事になっていたので、俺は大会が行われる会場の最寄り駅で待機をしていた。
芦原曰く「選手の入場は8時からだが観戦席は10時からなのでそれに間に合うように来て欲しい」と言われたので、入場開始ギリギリを狙って待ち合わせをしているのだ。
ただそれを言われたのが昨日の昼頃だったので、どうするか迷ってしまったのだ。
「まあ前日に言ってくれるだけましか・・・」
その辺りは安心している。 というよりも回りくどい言い方をしないで淡々と言うものだから逆にビックリしてしまった。 厨二病は後付けっぽいが、あれで困らないことを願うしかない。
そんな俺が誰を待っているのかと言えば、時間指定の時に一緒にいた西垣と、これまたたまたま聞いていた引間だ。 引間に至っては俺達の会話のどのタイミングで聞いていたのか分からないレベルだったが、今更行かせない訳にもいかないと思ったのだ。 それに応援はどうせなら多い方がモチベーションも上がるだろう。
そんなこんなで俺は少しだけ早めに着いたのだ。 こういう時遅刻するやつの気は知れない。
そして待っているとこちらに手を振ってくる人物がいた。 服装は割りと軽装なのにその銀髪のお陰か西垣だと言うことはすぐに分かった。
「お待たせしました積和君。」
「いや、こっちもそんなに待ってないから大丈夫。」
「そこは嘘でも「こっちも今来たところ」って言うのがテンプレートだと思うねん。」
そう言って西垣の隣にいた引間にも目を向ける。 いつもは文学少女らしく三つ編みにしている長髪は、纏めてあるだけに留めている。 服装も俺と負けず劣らずラフだ。
「引間さんは学校スタイルじゃなくてもいいのか?」
「流石にどこでもは疲れるからね。 これくらいなら大丈夫でしょ。 伊達だけどメガネも持ってきてるし。 あと「さん」付けはしなくていいよん。」
引間がいいのならそれ以上文句はない。 そんなわけで俺達は会場へと足を運んだ。
「なんかもっと武道館みたいな場所でやるもんだと思ってたんだが。」
「どっちかって言うとアリーナっぽい場所だよねん。」
会場についてそんな感想を述べながら入場口へ入り、2階の観客席に向かい、どの辺りに座ろうか迷っていると
「お? もしかして君か? 銀髪の女子を連れた男子って言うのは。」
そんな声と共に現れたのは休日にも関わらずうちの制服を着た、茶髪の芝生頭の男子生徒だった。
銀髪ということに反応したので俺は西垣と引間の前に立つ。
「おっと、すまない。 警戒させたのなら謝るよ。 芦原君からそんな情報で聞かされてたからね。 俺は幕田 道彦。 剣道部2年だ。 芦原君に会いたいなら案内するよ。」




