新たなる友人達
西垣が今日機嫌が悪かったのは俺がその人物を紹介していないことだった。 勿論男女2人で買い物をするのは確かに目立ちはしないものの、それ相応に相手にあらぬ情報が入る可能性もある。
今回はそれがたまたま起きてしまった事。 そして時間があくまでもずれていたからこそ起きた事象でもある。
「というわけでこちらが引間さんだ。」
「・・・どうも。」
昨日に引き続いてわざわざ予定を合わせてもらった引間を連れて、部活終わりの柔道場の前に来ていた。
「初めまして。 西垣 フィナンシェと言います。」
「引間 結羽です。 うわぁ凄い本物のハーフだぁ。」
互いに挨拶を交わす。 ただ2人とも様子を伺っている。 西垣はどんな人物かを。 引間の方は本当の自分を出してもよいかを。
「相棒。 このような修羅場に我を巻き込まないでくれないか。 この重圧。 女生徒が持っていい物ではないぞ。」
「別にお前を呼んだのに深い意味はねぇよ。 ただお前の場合は引間と相性が良さそうだと思っただけだ。」
そもそもこんな状況になるなんて誰が思うものか。 俺はただ誤解を解くのも含めて西垣の理解者を増やしたかっただけなんだ。
とは言えこの一触即発の現状は変わらない。 西垣に関しては俺のせいもあるが、引間の方はもう少し引き出させる必要があるな。
「ところで芦原。 あれがリリースしてから初めてのイベントだが、どう思う?」
「突然なんだ? そのような狂言は・・・」
「いいからいいから。 で? どう思うよ?」
「・・・そうさな。 我からしてみれば個性の深掘りのような形ではあると思うが、長く見るのなら最初に突拍子もないイベントを開催しても新参者には響かないだろう。」
「むむ? なんの話しかな?」
俺達が話していると警戒をしていた引間がこちらに寄ってくる。
「ああ、最近ソシャゲで「エクアカ」がリリースされて、その話でちょっとね。」
「そう言えばそうだね。 でももう少し親しみありそうなキャラからにしても良かったよねぇ。 深掘りするにしても大分中途半端だと思うんだけど。」
「その手の話が分かるのか?」
「まあね。 うちはああいう世界観結構好きよ。 最初から強いなんてあの世界じゃナンセンスだしね。」
「ほう。 では主人公達が奏でる精神領域が分かると言うことだな?」
「強気なやつほど脆いからね。 ああいう世界観では臆病者が生き残るのよねん。 あの世界の武器だって基本はメンタルバランスじゃん?」
そうしてだんだんと芦原と引間が盛り上がり始めていったので、1人ポツンと残された西垣の方に行く。
「驚いたか? 西垣。」
「え、あ、はい。 見た目からはちょっと想像できなくて・・・」
「あっちが素だからなぁ。 俺も最初はビックリしたもんだぜ。 でもまあ、そんなに悪いやつじゃないだろ?」
「そうですね。 フフッ。 なんだか自分が怒っていたのが嘘みたいです。」
西垣の誤解と新たな友人が出来たことを心の底から喜んだ俺だった。




