銀髪少女の嫉妬心
ゴールデンウィークまであと数日。
今日も普通の時間に登校をして、いつもの席に座る。
ただいつもとほんの少しだけ違う所があるとするならば、隣に座っている西垣の視線が何故か怖いことだろう。 睨み付けられている、と言った方が正しいのかもしれない。
昨日の今日であそこまで気分を害していると言っても過言ではない表情だった。
そして俺はそんな西垣に内心ひりついている。 何故ならあれ以上機嫌を損ねてしまえば、もう一人の人格が現れるのは時間の問題だからだ。
しかし原因が分からない。 何故そんなに俺を睨んでくるんだ?
「女神から怒りの眼光を見せつけられている?」
間休みに西垣の視線から逃げるように芦原の所に向かい、今の状況を説明した。 そう言えば芦原はよくこっちに来るが俺から芦原の方に来たのは初めてじゃないか? こんな助けを求める形で来ることになるとは想像してなかったが。
「ふむ。 相棒よ。 その眼光、何時からそうなった?」
「少なくとも昨日までは無かった。 朝来たら西垣からあんな風に睨まれ始めたんだ。」
「つまり昨日の時点で相棒が女神に対し、何かしらのアクションを起こした上でああなった、ということではないのか?」
「原因が分からないから話しかけにくくてよ・・・」
こうして話している間にも西垣からの視線は消えていない。 背後にいるだけに寒気すらしてくる。
「・・・相棒。 心当たりが無いと言うのならば仕方がないのだろうが、あの瞳に宿しているのは、恐らく憤怒ではない。 あれは・・・嫉妬の瞳だ。」
「・・・嫉妬?」
西垣が俺に対して何に嫉妬するんだ? というかこの半日でそんな嫉妬させるようなことしたか?
「相棒。 人の心は複雑である。 あの瞳に宿りし気持ちを恐らく女神も無意識になっていることだろう。 気持ちの問題というものは己自身にも制御が出来なくなる。」
「・・・つまり?」
「誤誘導は更なる誤解へと誘爆し、そして後戻りは出来ない。 己の言動行動が全てを変えていく。 我が伝えられるのはここまでだ。 長引けば埋められない溝も出来ていくぞ。」
そう芦原に言われた後に次の授業の鐘が鳴る。 席に戻りながらも西垣の視線を受ける。 しかしこちらに原因があるとするならば、なにがなんでも状況を打開しなければならないだろう。
恐らくこんなものはまだ序ノ口にもならない。 伝えるべきことを伝える事にしようと思った。




