待ち焦がれし長期休暇
今週を乗り切れば週末は三連休。 そして3日間の登校の後にまた4連休がある。
そう、世間体ではもうすぐGWが始まるのだ。 最近のニュースもGWに向けてのお出掛けスポット特集で満載だった。
「この時期になると本当に大忙しよねえ。」
「全くですな。 その休日が稼ぎ時の人達もいるでしょうに。」
「そんなことを言って、父さんも母さんもお休みじゃない。」
ぼんやりとニュースを見ながら会話を聞きながらしている。 勿論俺だって長期休暇というものは嬉しいものだ。 誰にも憚れない1人の時間が大いに作れるからだ。
「ごちそうさま。 それじゃあ私はそろそろ学校に向かわせて貰うとするよ。 数馬も遅れないようにな。」
「この時間で起きてるから大丈夫だっての。」
先程までの気の抜けた姉からスイッチが入ったかのように凛々しくなる姉を見て、俺も朝ごはんの残りを食べる。
学校や外出時に見受けられる姉はどちらかと言えば自分が優等生であるように見繕っている。 醜態を晒さない様にしているようにも見えるが、実際に姉は優秀だ。 模範生となるように暗示をかけていると言っても過言ではない。 むしろこの場所以外で姉の本性は、周りに知らない人がいようと崩していない。 それほどまでに徹底しているのだ。
「ま、姉さんがそんな事になるとは思えんな。」
長期休暇で気の抜けた自分が出ることは姉は無いだろうと思いつつ、俺は自分の身支度を済ませて学校に向かうのだった。
「時に我が相棒。 汝は法により与えられし黄金たる連休日。 予定は出来ているか?」
授業の合間休憩に芦原が俺の机にやってきてそう訪ねられた。 こいつとの会話もまあまあ慣れたもの、というよりも要点自体は解摘まんで喋っているので、意味さえ理解できれば対話は出来るのだ。
「いんや、これと言っては。」
「そうか。 では過去の自分は何をしていたか覚えてはいるか?」
「そうさなぁ・・・ 言われてみれば友人と遊んだりとかもしてなかったから、結局家でのんびりしてたなぁ。」
「憐れみを送るわけではないが、あまりにも寂しくはないか相棒。」
同情はいらないが休日は出掛ける用事がよほど無ければ家で音楽鑑賞をしているのだ。 それのせいで運動不足と言われても文句は言えないが。
「しかし予定が無いのならば丁度いい。 我の初陣を見せる機会があるということになる。」
「え? 初陣?」
「我の剣術に感動を受けたようでな。 先の大会、我が一足早く先鋒として赴く次第となったのだ。」
「マジで? 大出世じゃないか。」
「敵は我よりも技量等が上の為初勝利は難しいかもしれないが、晴れ晴れしい舞台の幕開けを見届けて貰いたい。 今週末は楽しみにしておいてくれ。」
そんなことをいい残して次の授業に入るのだった。




