ギャップ力の高い女子
声をかけてきた人物の正体は?
四角の眼鏡に茶髪とも取れる長髪。 その表情と仕草はどこか俺を品定めするかのごとく見ていた。
とはいえ彼女とは初対面と言う訳でもない。 ぶっちゃけさっきまで一緒に部活練習していたのだから。
「ええっと確か引間さん、だっけ?」
「その通り。」
そう引間と呼んだ女子はパチッとウインクをした。 フルネームは引間 結羽。 俺と同じく弓道部に残ったメンバーの1人だ。
「それにしても珍しいタイプの名曲を聴いてるものだねぇ。 積和君だったよね? 君も「エクアカ」勢かい?」
「あ、あぁ。 最近のソシャゲの方もやってるけど・・・」
「流石は隠されに隠されし良ゲーの小型端末実装版。 リリース当初はちょっと話題になっただけはあるんよね。」
そんな風に淡々と語りかけてくる引間。 というか
「引間さん。 そんな喋り方だったっけ?」
そう、彼女に違和感があったのはそこだ。 弓道部にいる時はもっと大人しく、喋る時はたどたどしい感じもあったのだが、今の彼女にそんな雰囲気は微塵もない。 むしろ今の状況を楽しんでいる状態だ。
「あれは変に素が出ないようにしてるだけ。 というよりもこっちよりも大人しめの方が、まあ印象は良くなるかなって思ってたんだけどね。 周りの反応は正直微妙だったのよね。」
「なるほど、高校生デビューに失敗したと。」
「それって陰キャが陽キャにジョブチェンジする方じゃん。 でも結局元に戻るに戻れなくなったから、化けの皮を被ってたって訳。 うちはこっちが素なのよん。」
まるで星でも出すかのような仕草で話続ける引間。 温度差が凄すぎて困惑している。
「まぁ変に距離を取られるよりはマシ・・・なのか?」
「そこのところはこっちも弁えるから心配しなくて良しよ。 うちとしてもオタク仲間として話し合える人がいるのは助かるし。 あ、でも知らない人がいたら、うちの中で判断しない限りは皮を被るんでよろ。」
別にオタクではないのだが、皮を被られるのも今更困るのでもう黙っておこう。
「それにしてもあのBGMが好きとはなかなかに曲者ですなぁ。 あの曲のボスって結構畜生だった記憶があるんじゃが?」
「戦う前にはそんなことを匂わせすらしなかったからなぁ。 初見では本気で騙されたしなんだったらやった理由とか聞いてたらキレそうになった。」
「ほほぅ? 積和君は感情は押し殺すタイプだと思ってた。 でも確かにソシャゲ版リリース前ってことで完全初見でやってた実況者が切り抜きにされる程情緒不安定になってたもんなぁ。」
「その後はサンドバッグにされてたけどな。 色んな意味で。」
話題として盛り上がりつつ、俺達はそれぞれの帰路に帰る。 引間のことは今度芦原に会わせてみるかと思った。
こういう女子って最近見かけるんですかね?




