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時間が出来たから

「なんでカズが助手席に座ってるのよ。」

「男2人に女3人ならこうなるのが自然だと思うんだけど?」


 姉さんの質問に俺は前を見ながら返す。 後ろを見れば西垣が乗っているという事実から逃避したかったのもあるが、結局は見えてしまうのでなるべく前を見ていることにした。


「わ、私の事はお気になさらずに・・・」

「あー・・・狭くはないか?」

「それは大丈夫です。」


 短い会話ながらも西垣がいることを感じる辺り、抵抗が残っているのかもしれない。


「酷い弟だ。 私が太ったとでも言うのか。」

「そんなこと一言も言ってない。 5人乗りなんだから余裕はあるじゃんか。」

「・・・フフッ。 なんだか羨ましいです。」


 こんなやり取りも西垣にとっては面白いようだ。 機嫌がいいのは悪いことではないが、内側を見られているようで少し恥ずかしいな。


「まぁ、口では悪く言っているが、私の可愛い弟だ。」

「そうなのですね。 あの、お姉さんは学校のどこかでお会いしたことあるような気がするのですが・・・いえ、私の見間違いかも知れませんが。」

「ふむ。 私の方は会うのは初めてだが、君の方は見ているということだろう。 改めて自己紹介しよう。 前に座っている積和 数馬の姉の積和 二三矢だ。 学校では生徒会の仕事をしている。」

「生徒会・・・それではお仕事の最中に見かけたのでしょうか?」

「私を見たというものは新入生でも結構いるからな。 そう言うことなのだろう。」


 後ろで姉さんと西垣が話している間に目的のショッピングセンターに到着した。 一応朝が早かった為駐車場は空いている。 早く着きすぎな気もするだろうが、生鮮食品などを扱っているエリアほこの時間からでもやっているし、他の店の開店時間に合わせると駐車場に空きがなくなるのだ。


「西垣ちゃんはこういった所に来ることはあるのかしら?」

「回数ほど多くはありませんが、何度かは来たことがあります。」


 そんな会話を聞きつつ俺と父さんはトランクから大きめのトートバッグを2つ取り出して買い物を始める。 4人家族ではあるものの母さんが料理好きで父さんも食べる人。 俺と姉さんは食べ盛り。 それ相応に食費は掛かるというものだ。


 最低限の食材を含めてお菓子や飲み物などの嗜好品も踏まえればそこそこの量になり、レジでそれぞれ役割を分担しながらテキパキと買い物を進めて、車に買った食材を乗せ終わる頃には他の店も開店する。


 ここで帰って食材を冷蔵庫に閉まってから午後に自分達の趣味をする、というのが土曜日の積和家の通例なのだが


「西垣ちゃん。 アクセサリーには興味があるかしら?」

「え? ええっと私は・・・」

「折角綺麗な姿をしているのだから、着飾らなければ勿体無いぞ。 さ、共に行こうではないか。」


 母さんと姉さんに西垣が連れられていく。 助けを求められそうだったので俺が声を掛けようとしたが、父さんが肩を叩いてそれを止めた。


「女性がああ言い出した時は無理に止めないことだよ。 それが女性と付き合っていく上では大事な事になるからな。」


 男とはかくも悲しき生物なのだろうと、父さんを見ながらそう感じた。

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