部活動見学
放課後となり結局何にするか決まらなかったので、部活動見学をする事にした。
こういう時「ここだ!」と思える運命的な出会いがあれば話は変わるのかもしれないが、残念ながら部活動紹介の時にはそれがなかった。 音楽関係も吹奏楽部になっていたため、少し気が引けていた。 一応見学には行く予定ではあるが。
「芦原が剣道部、西垣は柔道部・・・」
道術というのは精神的に鍛えることにも繋がると感覚的に思っているのだが、それでも昔からの経験者には負ける。 部活動はその辺りも踏まえて初心者に分かりやすく説明をするのだろうが、俺はそこまで運動が得意でもないので、そこに入るのは難しい。
「あと部活動紹介の時にあったのは・・・弓道部、だよなぁ。」
道術的な意味で言えば合っている。 というよりも弓なんて生涯なかなか触れるものでもないだろう。
「この学校って弓道場あったっけ?」
考えてみれば弓道をやる上での場所が確保されていないとおかしい。 でも弓道部が存在するのであれば場所はあるはず。 記憶を頼りにその場所へと向かってみる。
「確か道場の裏手って言ってたけど・・・」
剣道場と柔道場が一体となった建物の裏手に回ってみる。 そこにあったのは半分程しかない建物と人工芝。 その反対側は土が盛られている屋根付きの小屋。 その下の方には的がある。 あとは周りにネットが張り巡らされているものだった。 建物側には弓を構えている先輩の姿があった。
「なにこの迫害でも受けているような建も・・・」
の、と言おうとした瞬間に弓から引かれた矢の風切り音と、その一秒程後に聞こえてきた的に当たった軽快な音。 そしてそれをやり終えた先輩の姿は、夕陽も相まってか凛々しく見えた。 道術を極めし者ここにあり、と言った具合にだ。
そんなことを思っていたら、その奥で見ていた先輩がこちらに気が付き、手招きをするように手を動かした。
一瞬行くのを躊躇ったが、弓道部に少しでも興味が湧いたこと、そして向こうから呼んでくれているのにここで帰るのは流石に悪いと思い、俺は奥まで行ってからそのドアを開・・・こうとして建て付けの悪いドアで何度もぶつけてしまった。
「あっはっは。 申し訳無い。 建て付けが悪いことを言っていなかったよ。 こちらから出向けばよかったね。」
先程俺に手招きしていた男の先輩がそう俺に笑いかけてきた。 向こうに悪意がないのはなんとなく分かった。
「全く。 今ので来てくれた新入生が帰ったらどうするつもりだったんだ。 今日は我々だけなのだから、尚更気を遣わんか。」
もう一人の先輩は女子だったのだが、弓を射つ姿の時と同じ様にキッとした表情で男の先輩を睨んだ。
「それはともかくとして、弓道部の部活動見学に来てくれた事をここに歓迎するよ。」




