本格的な冬到来
帆山とフィーナの間のいざこざが無くなった翌日の日曜日。 いよいよ1年もあと1ヶ月程にまで迫ったこのタイミングでの朝の冷え込みは更に厳しいものになっていた。 現実俺も起きたのはいいが布団から出たくないという有り様に陥っていた。
「このまま寝ててもいいが・・・身体を動かした方が暖まるかもな。」
そういって意を決して布団から出て、着替えを持って脱衣所に向かう。 足下が寒いのは仕方ない。
「おはようカズ。 身体の方は大丈夫かい?」
同じような理由だっただろう、脱衣所から姉さんが出てきた。 流石の姉さんもこの寒さで下着姿でいるわけもなく、パジャマ姿で姿を現した。
「とりあえずは大丈夫。 姉さんも今日は出掛けないの?」
「色々と迷ったのだが、今日は特別な車両が無いからな。 次に向かうためのプランニングでもしていようと思う。」
「そう。」
何だかんだと姉らしいやり方で安心した俺は、姉さんと入れ替りでシャワーを浴びる。 一通り暖まったところで食卓に足を運ぶ。 姉さんは部屋に戻ったようだが、少しすれば食卓に来ることだろう。
「おはようカズ。 今朝は起きられたようだね。」
「おはよう父さん。 寒いことには変わり無いけどね。」
「はい、カズの分よ。 今日はどこも出掛けない?」
「んー、ちょっと考えてる。 行きたい場所が無い訳じゃないけど、特に今じゃなくてもいいって感じ。」
「そんなこと言ってると本当に行きたいって時に行けなくなるわよ?」
母さんの言い分は最もだが、本当に今すぐにでも行きたい訳でもないので問題はあまり無いのだ。 元々そんなに出る訳でもないし。
「フィーナは何してるだろうな。」
朝食を食べて部屋に戻り、ふと気になったことを口にした。
今までならそんなこと微塵にも思わなかっただろう。 何をしていようが向こうの勝手なのだから。 だが何故か頭にフィーナがふと過った。
「これも気持ちの変化か。」
それが本当なのかどうかは知らないが、適当にメールを送ってみることにした。 返されるも良し、無視されるも良し。 俺の気まぐれでやったことなのだから、フィーナが合わせる必要はない。
「『おはよう。 急に寒くなったが、身体は壊してないか』っと。 当たり障り無い感じでいいだろ。」
本当にたまたま浮かんだだけなので、脈絡はない文で流しておく。
「さてと、これから何する」
『メールが届きました。』
「え、早。」
まさかこんなに早く返信されるとは思わったので、すぐに内容を確認する。
『おはようございます。 今起きたところなのですが、体調は万全です。 どうかされましたか?』
向こうのモーニングコールみたいになっちまったな。 これと言った理由でもないのにちょっと申し訳が立たないな。
「『いや、大した話じゃないんだ。 ただちょっとフィーナの事が気になってな。』 ・・・直球過ぎるか?」
とはいえ本当の事を述べただけなので、それを送る。 メールをすぐ取れるように携帯を近くに置いていると
『メールが届きました。』
そんなに早くに送って大丈夫かと錯覚する。 内容は
『そうだったのですか。 珍しいこともあるのですね。』
フィーナにとっても珍しかったらしい。 折角ならと今日はメールをしながら過ごそうかと思った。




