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少しでも大きな変化

「お嬢のわがままに付き合っていただき、本当にありがとうございやした。」

そう言って黒服の人達が頭を下げていた。 俺にはちょっと見慣れた光景になりつつあるが、他のみんなはやはりたじろぎを見せていた。

「ねぇ、ウチが思ってるこう言う人達の行動じゃないんだけど? もっとこう、「お嬢が負けただとぅ!?」とか言ってくると思ってたんだけど?」

「慣れろとしか言えん。 これくらいで驚いてたら身がもたないぞ。」

引間の言いたいことも分かるので、あえて匙を投げた。 カルチャーショックではないだろうが、イメージが崩れたのは間違いないからな。

「とはいえ結局原因は分かったのか? 敢えて敗北者(ルーザー)になりたいなどと言うから。」

「単純な話が、好きだったんですよ。 数馬さんの事が。」

フィーナの台詞に驚きはない。 あれだけ俺に積極的に来ていたのだから、少なからずそんな感情はあったのだろうと踏まえていた。

「しかしそこに私という、まあ邪魔物になるのでしょうか? そんな存在が現れた上に数馬さんは私を選んだ。 そこで感情がごちゃごちゃになってしまったのでしょう。」

「それならなおのことあれじゃない? 「あんたから奪ってでも」みたいなシチュエーションになると思ったんだけど?」

引間の言い分は分かる。 帆山の性格的にもそっちの方が合っている気がしたのだが。

「感じちまったんだよ。 今更あたいが「好きだ」って言っても、全く振り向いてくれないだろうなって事がな。 だから自分の中で認めさせたかったんだ。 あたいは既に負けてたんだって。」

帆山の弁明に誰も何も言わない。 それが答えだと自ら証明しているからである。

「まあ、俺の事を好きになってくれたことには何も言わないさ。」

そう言って俺は帆山の所に歩み寄る。

「でも別にそれで「はいさよなら」何て事はしないさ。 これからは友人として一緒にいればいいんだからな。」

「そう言うことです。 それに私達は腹を割って話し合った仲ですから、少しだけ特別な関係だと思いませんか?」

そういうの感じてたんだ。 帆山も改めて納得して、今回の事は丸く収まったようだ。

「あたい、もっと強くなるからな!」

「いくらでもお相手致しますよ?」

「なんか変な方向に友情が芽生えてる気がするが・・・まあいいか。」

「遼子もこれでようやっと一皮剥けたかい。」

第三者の声に驚いた俺達は扉の方を見る。 その方を見れば、既に黒服の人達はその人物に向かって頭を下げていた。

「母ちゃん!」

「全く、遼子は昔から見た目に反して優しすぎるんだよ。 別にうちがヤクザの絡みだって言ったって、そんなもんはとっくに廃れてる。 ここにあるのは行き場を失った奴らを養う家と、それを利用した経済だけだよ。」

「利用した経済?」

「簡単に言やあボディーガードっさね。 それがいるだけでもストーカー被害とかは大分薄まるって訳さ。 学も芸もない奴らだが身体は丈夫だからね。」

この人達が物腰が低い理由がなんとなく分かった気がする。

「遼子。 次はこの失恋をバネにしていきな。 どうせ人生は長いんだ。 こんなもんで挫折してたら、苦労ないよ?」

豪快でありながら娘の事はしっかりと心配している。 そんな印象の帆山母である。

「そっちのみんなも迷惑かけたね。 ウチのもんが手によりをかけるから、感想もかねて食べておいき。」

その言葉に甘え、俺達は帆山の家で昼をごちそうになったのだった。

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