不確定要素
俺はあの騒動があった夕方。 1人家に帰る道中で西垣の事を考えていた。 昼間起きたことはクラスメイトの大半が衝撃を食らったことだろう。
あの後遠目ながら見ていたであろう芦原のところに行き、会話の内容などを聞いてみた。
『どうやらアフロディーテに拒絶されたことが癪に障り、再度右腕を掴みにいったところ、あのように変貌したのだ。』
机を叩く音はその拒絶された女子が叩いたものだったらしい。
『この我ですら見抜けなかった・・・あの優しきアフロディーテの中に堕天使が宿っていたとは・・・しかも変化したのが瞬間的だった。 現実を疑うことになるとは思わなかったぞ。』
芦原は言い方こそ回りくどいが嘘は付かない。 付いたところで利点がないからな。
女子だったとは言え人一人を持ち上げられる程の腕力。
口調や一人称が変わる程の人格変化。
それが予備動作無しで行われたこと。
色々と分からないことはまだ多い、だがこれでひとつだけハッキリしたこともある。 それはあの夢で暴れまわっていたのは西垣の本来の意志ではない、ということだ。 零とまではいかなくても大半があの力の方だろう。
「調べる必要があるのは確かだが・・・西垣が教えてくれるとは思えないし、そもそもあれはなんなのだろう?」
仮定と憶測を交えつつ調べてくか。 そうこうしているうちに自宅へと到着した俺は自室に荷物を置きに行くのと着替えをしに行く前に食卓を確認する。
「お帰りカズ。 ご飯はもう出来てるわよ。」
「分かった。 すぐに着替えてくる。」
それだけ伝えて自室に荷物を置き、部屋着へ着替え直し、食卓の自分の席に座り夕飯を食べる。 家の家族は黙食家族なので会話は食事中は一切ない。 そうすることで食材に向き合うのだとは母さんの言葉だ。
そして食事を終えて片付けを済ませた後に自室に戻ろうとする。
「カズ。 どうかした? 結構険しい顔をしてるけど?」
姉さんにそう聞かれたが、自分では分からなかったので聞いてみた。
「え? そんな顔してた?」
「学校でなにかあった?」
そして姉さんは他人の表情を見るのに少し敏感だ。 だからこそ生徒会長にまでなれたとも言えるだろう。
「俺じゃないんだけど、ちょっとね。」
「ふーん。 あんたが無理な事があったら相談しにきなよ? 話だけは聞いてあげるから。」
ここまで心強い味方もいないだろ。 だがまだ今はその時じゃない。 そう思いながら俺は自室に戻り、改めて調べものを開始する。
「まずは悪霊の場合だった時の対処法を・・・。」
勿論結論を急くことはしないし、一辺倒な考え方はしない。 だからこそ自分の方でも万が一を備えなければならない。 今俺は誰のために動いているんだろうと思いながらも、調べもので夜が更けていくのだった。




