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情報源

 そんなわけで俺は放課後を利用して図書室にやってきていた。 ここには普通の本もあり、学生向けの本も置いてある。 学生向けと言っても、恐らくは俺達よりも前の世代の人達に向けてっぽいので、情報は少し古い。 やっている方が希少では? と思える内容だった。


「恋愛小説とかラブコメとか、正直そっちの方に手を出したこと無かったから、本当に手探り状態なんだよな。」


 別に恋愛小説が女子向けだとか思ったことはないが、自分の趣味には合わないなと思って手を伸ばしていなかった。 伸ばしていなかったというよりは気恥ずかしさがあったが。


「とりあえず何冊か借りていくか? でも適当に選んで失敗もしたくないしなぁ・・・」

「それならこういうのとかがいいかと。」


 1人で考えていると後ろから声をかけられ、その手には恋愛小説が握られていた。


「いいのか? 図書委員がここにいて。」

「前にも言ったけどここは利用者が少ないから、私が離れたところであまり影響はない。」

 そう言うとさらに俺に近付いてくる。

「私は富樫 正香(とがし まさか)。 ここで図書委員をしている。 以後お見知りおきを。」

「え? あ、おう・・・」


 急に名前を言われてびくついた。 そして更に俺に顔を近付ける。 普段は見えない筈の目元がこちらを捉えていた。


「恋を知ったものは今まで以上の輝きを見せるもの。 それは男子でも女子でも同じこと。」

「な、なんだ?」

「私もそう言うものを少なからず望んでいた。 貴方がそうなってくれると思ってたけど、それはすんなりと破られた。 貴方には既にいたのだから。」

「あ? ・・・あぁ、西垣の事か?」


 一瞬名前を呼びそうになって止める。 まだ付き合っていることは知られていないからな。


「いつか富樫にも現れるだろ。 富樫の望んだ人がさ。」

「その言葉、ありがたく受け止める。」


 そして富樫は手に持っていた本を俺に差し出した。


「応援してる。 彼女は顔がいいから色んな人が寄ってくる。 それも含めて貴方が守らなければならない。 2人の旅路はこれからだから。」

「ああ、頑張って・・・」


 本を手に取りふと気が付いた事を富樫に聞いてみる。


「俺と西垣が付き合ってる事、知ってたのか?」

「付き合ってなかったの?」

「いや、まあ・・・付き合い始めたのは最近だけどな。」

「そう。 それなら私は応援するだけ。」


 どうやらそこまでは察知していなかったらしい。 とりあえず手に取った本を参考にしてみるかと思いながら、俺は借りるためにカウンターに向かい、富樫から貸出票を貰い名前を書いた。


「またのご利用をお待ちしております。」

「それってここで使う言葉じゃなくね?」

「雰囲気だけ。 私はここにいるから。」


 図書室を離れて、再度振り替えれば、富樫が手を振っていた。 富樫なりの俺への気遣いだと思いながら改めて部室へと向かった。

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