恐れてた原因
その日も西垣は女子クラスメイトに囲まれて過ごしていた。 しかしその時の西垣の様子がおかしかった。 おかしかったというよりはあまり乗り気ではないと言った具合なのかもしれない。
「大丈夫だって。 ちょっとつけ爪付ければマニキュア位バレやしないって。」
「しかし私の習い事は手元を見られることもあるので・・・」
「別に爪が割れる訳じゃないんだから大丈夫大丈夫。 物は試しって言うじゃん?」
どうやら乗り気ではない理由は爪にマニキュアを塗られることらしい。 しかしそれだけなら確かに問題は無さそうなのだが、習い事の事を考えればあまり喜ばしいことではないのだろう。 場合によっては注意だけでは済まないかもしれないからだ。
だが嫌そうにしているとは言え女子の会話に交ざるような事は出来ない。
西垣には悪いことをしていると心の中で思いつつ、俺は外を眺めることにした。
後ろが騒がしくなってきているが気にしない。 というか出来ない。 早く終わらないかと遠くの方をぼうっと見ていた時だった。
後ろから「ドンッ」という大きな音がしたので、何事かと振り返ればそこで見たのは
集まっていた女子の1人の首元を片手で持ち上げている西垣の姿があった。 しかもその女子の身体は軽く浮いていた。
「先に調子に乗っていたのはそっちだろ? よくもまあここまで拒絶しているオレにそこまで迫られるよなぁ? えぇ!?」
そんな俺に更に衝撃を与えるように、西垣の声で西垣とは思えない口調を吐いていた。
クラスメイトもなにが起きているのか誰も理解できていなかった。 西垣が珍しく怒った。 それだけしか分かっていなかった。
そしてそんな西垣は「チッ」と軽く舌打ちをした後に、女子の首元を掴むのを止めてそのまま席に座る。 そんな様子を間近で見ていた女子達は西垣を恐れてその場を一目散に立ち去った。
あれだけ温和そうだった西垣が怒った。 それだけでもクラスメイトには衝撃的だっただろう。 だが俺にはもうひとつ別の余念が生まれた。
「まさか・・・今のが夢の中の・・・?」
俺があの夢の最後の最後で見た黒いモヤ。 神様は原因を探ってくれと言っていたのだが、それはつまり西垣の中にいる「なにか」が取り憑いているのだとすれば、それを取り除いてしまえばいい。 こんなに早くその片鱗が見れるとは思ってもみなかったわけだが、未来を変える確実な「なにか」は分かった。 それはそれとして動くことを考えていこうと、俺は心に改めて決めたのだった。
彼女の身に何が?




