部活内変化
寒い季節になりながらも部活動は行われる。 部活に没入するのも学校生活での青春の1つだ。
「地面が痛いです・・・」
隣の引間が悲鳴を上げる。 そう思うのも無理もない。 下のコンクリートが均等ではないので、身体に直接当たるのだ。 夏場は熱さで、冬場は寒さと痛みで。 やるだけでも大変な場所なのだ。
「やぁ。 調子はどうかな?」
「それを聞いてもあんまり意味ないと思いますよ? やること自体は変わってないんですから。」
臼石先輩が様子を見に来たのだが、正直なことを言えば「見ての通り」としか言いようがない。
「しっかりとやっているだけでも大したものだよ。 それに、これからは筋トレよりももう少し変わったことをするからね。」
「変わったこと?」
そう言って臼石先輩は俺たちを部室の後ろの空間に連れていく。 そこにあったのは米俵のような藁の塊だった。 真ん中の方が窪んでいるので、かなりの使い古しに見える。
「あの、これはいったい?」
「簡単なことさ。 今日から君達も弓と矢を持って練習できると言う事さ。」
「・・・え!? 本当ですか?」
先程まで痛覚がおかしくなるんじゃないかと思われた場所での筋トレをしていた俺達にとってはとてもありがたい練習内容だ。
「ただし当然弓と矢を扱うのだから、丁寧には扱って貰いたいね。 それとゴム弓の練習は無くなる訳じゃないから、そこも忘れないこと。」
念を押されつつ俺達は弓を手に取ってみる。 前に一度触った時も感じたが、長さと重さが圧倒的に違う。 それだけでもしっかりとした扱いをしなければならない程に本物を感じていた。
「まあ、最初から使えるようになってたら苦労はしないよな。」
結局触るだけ触ってまともには射たせてもらえなかった。 というよりも俺達の弓を引く姿勢を徹底的に直されたため、そもそも射つ段階に至らなかったのだ。
「あんなことをやってたら敵が逃げちゃうと思うよねん。」
元の姿になった引間はそんな感想を述べていた。
「だから昔は数で射ってたんじゃないのか? よく戦国ドラマとかでは大量の矢が飛んでいってたし。」
「そもそもちゃんと構えてないから、数撃ちゃ当たる戦法なんだろうねん。 一撃必中なんてのは遠いよ。」
それに関してはちょっと同意できた。 そんな風に会話をしていると、ふと視界の端でフィーナの姿があった。 声をかけるか迷ったが、誰かと話している様子だったのでスルーをした。
「本当に行かなくてよかったのん?」
隣にいた引間がそんなことを聞いてくる。 気にはなるがあまりプライベートな事は覗かれたくないだろう。 首をかしげながらも俺は「別に」と返した。
誰と話していようがこちらが気にする必要はない。 そう思っていたのだが、翌日になりフィーナからの何気ない会話で俺の心を大きく揺さぶられる事になった。




