最後には
昼前の雨上がりと言う事もあり、アトラクションに乗っている人は少なく、逆にフードコートは満席レベルで人がいた。 とは言え今日はあくまでも平日。 混んでいると言っても俺達が座れる席は1つ2つ程は残っていた。
「まずは席の確保が優先だな。」
「そうですね。 あ、あそこにしましょう。」
そうして席に着き、昼飯を食べて、再びアトラクションへと向かう。 ジェットコースターやシューティングゲームなど結構定番も回っていった。 フリーフォールも昼飯を食べてからかなりの時間空けてから言ったので、気持ち悪さはあまりなかった。
そんなこんなで夕方になる。 と言ってもまだ4時半近くなので、空が暗くなり始めたと言えばいいだろうか。
「暗くなる前に退園したいところだよな。」
「それなら最後に・・・」
そう言って西垣が指差す方を見る。 その先にあったのは観覧車。 やはりと言うべきなのか、遊園地の終わりは観覧車で締めるのか。 そんなセオリー聞いたこと無いけどな。
「どうぞ空の旅をご堪能下さいませ。」
そう言って俺達の乗るゴンドラがゆっくりと上昇していく。 空は夕焼けを越えて最早紫色になっていた。
「最後の最後で晴れてよかったよ。」
「雨では流石に観覧車も動きませんからね。」
それはそうだろう。 風と雨でゴンドラがとんでもないことになるだろう。
それにしても綺麗なものだ。 前にも帆山と一緒に乗った時もこんな綺麗な景色だったなぁ。
「積和君。」
呼ばれて振り返れば、ほんの数センチまで近付いた西垣の姿が見えた。 あまりにも近すぎるため、逃げ場が無くなる程に。
「私はこの半年間、積和君の近くにいました。」
「ま、まあ一緒にいることは多かったよな。 うん。」
「最初は声をかけてこなかったので不思議に思っていたんです。 だからこそあなたの事が知りたくなった。 それがあの日です。」
最初に西垣と話した時の事を言っているのだろう。 俺が避けていたのは夢のせいであって、本当なら俺だって西垣と仲良くしたいがためにあの中にいたのだろう。 だがそうしなかったことで未来が変わったのだとしたら、それはこちらにとっても良いことなのだ。
「そこからと言うものどうでしょう。 最初こそ張り付いていた人達はまばらになり、ちゃんとした学生生活を送れています。 それは一重に積和君のお陰だと、私は思っているのです。」
「それは、西垣も動いていたからだろ? 友人だって俺の紹介だけじゃないんだから。」
話しながらもゴンドラは上がっていく。 もう少しで頂点に着きそうだ。
「私は積和君に感謝しています。 ですが、唐突に現れたあの人に名前呼びされているのが、どうしても、ど~~~しても許せなかったのです。 気分が悪くなるのはそのせいなのです。 ですのでここで宣言させてください。」
そしてゴンドラは頂点に着き
「私も! 積和君の事を名前で呼びますので、積和君も私の事を「フィーナ」とお呼びください!」
その言葉を発した彼女の顔は、夕焼け空に負けない程に赤く染まっていた。




