絶叫系
とりあえず気持ち悪さが和らいだ辺りで西垣に再度質問をする。
「次はどれに行く?」
「次は・・・あれに行ってみたいです。」
西垣が指差したのは「ヴァイキング」だった。
「西垣って、割りとああいった感じのが好きだったりするのか?」
「刺激があって面白いと思います。」
確かに日常からはかけ離れるよな。 そんなわけでヴァイキングへと並び始める。 平日だからかそこまで並ぶ時間も掛からなかった。
座席に座りシートベルトをさせられる。 あまりにも人がいないせいか俺と西垣で座席を使うことになってしまった。
「フフッ。 貸し切りみたいですね。」
「他の座席には普通にお客はいるけどな。」
根も葉もない事を言うようだが、西垣は気にしてない様子だった。
そしてアトラクションが始まり揺れ始める。
「そう言えばヴァイキングって由来はどこからなんだろうな?」
「ヴァイキングとはヨーロッパの植民地を奪った人達の事のようですよ? 近代で言うならば海賊みたいな扱いのようです。」
「あ、船の名前とかじゃないんだ。 読み方の方は頭文字がVだからだろうな。 そっちの方が格好いいから俺は好きだけどな。」
「読み方だけでも男の子はくすぐられますからね。」
「そう言われるとちょっと恥ずかしい気もするがな。 因みにそれを更に加速させたようなのが芦原みたいな感じになる。 格好までそうなる奴はいよいよ痛くなるけどな。」
「男子なら一度は通る道と聞いたことがありますよ?」
「どこ情報それ。 女子だってその傾向はあったりする人もいるんだからな。」
そんな他愛の無い会話が繰り広げられている内にヴァイキングが終わる。 もっと激しく揺れるかと思っていたので、拍子抜けと言ってしまえばそうかもしれない。
「次はどうする?」
「あの円盤みたいなのに行ってみたいです。」
「また遠心力系かぁ・・・ジェットコースターとかは行かないのか?」
「楽しみはまだまだ先に残しておきたいんです。」
「そう言ってると時間無くなるぜ?」
「それでもいいんです。 今日は積和君と一緒にいると言うことが大事なのですから。」
そう言って振り返りながら笑う西垣を見て、あの夢の事が本当に起こらなければいいと何度思ったことか分かったものじゃない。 この笑顔を守るために俺は頑張っている。 だからこそ西垣の事を俺が泣かせたり怒らせたりしてはいけない。 そうなってしまえば俺は・・・
「積和君?」
思考の海に身を投げ出していた俺に西垣が下から覗き込んでくる。 その行為に俺は胸を高鳴らせてしまう。 この気持ちも本当は分かっているはずなのだ。 逃げようとしているのは結局は自分なのだから。
「悪いな。 ちょっと気持ちを落ち着かせたくてな。 連続で絶叫系に乗るのも、心の準備は必要だろ?」
「そうでしたか。 それでは行きましょう。」
西垣に手を引かれる俺は、男としてリードするべきか、彼女の気持ちを尊重するか。 そんな狭間に気持ちを置かれるのだった。




