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親衛隊の本領

その台詞に俺はもうため息しか出なかった。 相手が西垣だからという理由だけでどうしてこうなるのか。

「いや、えっと・・・」

完全に虚を突かれたような表情で困惑している西垣は、一応隣にいる俺に助け船を求めている。 一応俺も空気にならない程度にいるつもりなのだが、相手は西垣の方に集中しているため俺が見えてない。 当たり前とも言える事象だが、俺が慣れないといけないのかと悩みつつ、俺はとりあえず割り込んだ。

「すみません。 自分も彼女もこの後用事があるので、案内は出来ないんです。」

「野郎には聞いてねぇんだよ。」

これもお約束レベルの返答。 こういう輩はマジで相手の都合を聞かないんだよな。 もう強行突破しよ。 そう思い俺は西垣のチュロスの持ってない方の腕を掴む。

「行こう西垣。 無理して付き合う必要はないから。」

「おい、勝手に連れてくんじゃねぇよてめえ。 案内くらいさせてもらってもいいだろうが。」

「いくら顔が良くて美人だからって相手が困ってるなら、無理矢理連れ回そうとするなよ。 自分だけの意見が通ると思ったら大間違いだぞ。」

「あんだとてめぇ!」

そう言って相手が殴りかかろうとしている。 これもある意味では計算の内だ。 校内でこの学校の生徒に手を出せば彼らだってただでは済まない筈。 そう思って待ち構えていたのだが、二つの影が彼らの後ろに現れる。

「あ? なん・・・」

俺も目を見張る。 そこにいたのは本当に高校生かと言わんくらいの屈強な、俺達と同じ制服を来ている男子生徒だった。

「これ以上のトラブルは許しませんよ? こちらに来てもらいましょうか。」

両手で1人ずつ肩を掴んでいるのだろうが、あまりにも力が入りすぎているせいか、掴まれている側の顔色が青ざめ始めているのが見えた。 笑っているのに絶対に逃がさないと言わんばかりの圧力で、その男子達を連れていってしまった。

「・・・助けてくれたみたいだな。」

「えぇ。 ・・・でも彼らは何者だったのでしょうか?」

「生徒会・・・なら腕章を付けないといけないから、あれか? 他の役員とかが見回りしてたとかか?」

「おや? こんなところでなにをしているんだ? カズ。」

名前を呼ばれたのでその方向を見れば、姉さんの姿があった。 休憩中なのか姉さんの片手にはわたあめが握られていた。

「あ、えっと、二三矢先輩、こんにちは。」

「おや、フィナンシェ君もいたのか。 デートのお邪魔だったかな?」

「デ・・・!?」

「丁度いいや。 姉さん、さっきの人たちについて聞きたいんだけど。」

姉さんが西垣について変に暴走されても困るので、話題を先程の2人について聞くことにした。

「ふむ? その2人については私も知らないぞ?」

「え? 役員の人とかでもないの?」

「ああ。 全く存じないな。」

「二三矢先輩でも知らないなんて・・・誰だったのでしょう?」

「うちの生徒であるならまた見つけるかもな。 それにしても・・・ふむ・・・名前で呼ばれるのも悪くはないな。」

「積和じゃ俺もいるからだろ?」

「だが私とカズじゃ学年が違う。 まあその辺りは本人次第だが、あわよくば「お姉さん」と呼んでくれて構わないぞ。」

そんな風に口角を上げてから姉さんは仕事があると去っていった。

「あの方達は私達をただ助けたかっただけなのでしょうか?」

「・・・もしかして親衛隊か?」

「なにか言いました?」

「いや、なんでも。 とりあえずもう一回りしようぜ。」

そう言ってあえて考えずに文化祭を回ることにしたのだった。

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