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流石に

帆山と一緒に文化祭を廻ることになり、まずはどこに行くのかを帆山に聞いた。

「まずはあれ行こうぜ。」

そう言って帆山が指差したのは剣道部の出し物。 どうやら竹刀を特別体験させてくれるらしい。

「剣道部にようこそ。 おや、君も来てくれたのかい。」

「どうも。」

「知り合いなのか?」

「まあ友人の先輩だからな。」

「芦原ひ次期大将候補だからね。 頑張って貰いたいさ。 っとと、とりあえず説明をしないと。 この竹刀であの人形を叩くんだ。 あれは剣道部でも使用している的だから、結構本格的だぞ。」

目の前にある人形は面が被せられており、ただ筒のようになっているのではなく、腕を模したかのようなものが伸びている。

「何回も叩かせる訳じゃないから、狙う場所は面と的の横辺り、そしてこの手に見せている部分だ。 「小手」と呼ばれる場所だね。」

「へぇ、一度木刀を使ってやってみたかったんだよな。」

「あんまり派手に行くなよ?」

そうして剣道部の竹刀の打ち込みを体験したのだった。

剣道部を離れて校舎に戻ると、帆山が周りを見渡し始める。 なんだったら後ろにすら目を向ける程だ。

「どうした帆山?」

「ああ、すまねぇ。 大したことじゃないんだ。」

そうは言っているものの、あまりにも挙動不審に見えるためこちらも不安になる。 メイクのこともあるので尚更だ。

「なんか気になることでもあるのか?」

「んー・・・まあ・・・そうだな・・・」

なにかを躊躇うように口ごもった後に、帆山は理由を口にする。

「いや、あたいって今変な風に見られてないかなって・・・」

「は?」

「だってよ、あたいこんな風に出たこと無かったから、悪目立ちしてないか気になって・・・」

今の帆山はいつもの強気に溢れる感じではなく、弱々しい雰囲気になっている。 こう言ってはなんたが帆山らしさが微塵も無くなっていた。

しかし彼女の言い分は今までの自分の行動の裏返しとも言える。 気丈に振る舞っていたが、実際はもっと気弱だった。 友人を作ろうにも一歩が踏み出せず教室の隅にいる程に。 だからこそ今の周囲の目が気になって仕方が無いのだろうが。

「あんまり周りの事は気にするな。 どうせ自分達の事で向こうも気にしてねぇよ。 まあ、宣伝として着てる服を見てるって言われたらそれまでかもな。」

今日は文化祭なのだ。 周囲の目があって当たり前。 だがみんなが帆山を見てる訳じゃない。 周りが気になるのはそれだけ周りを見てこなかっただけの話。 帆山の気にしすぎとも言える。

「ほ、本当に大丈夫なんだよな。」

「むしろそうやってオドオドしてる方が気になってくるって。 帆山らしく堂々としてればそれでいいんだよ。」

そう帆山に言い聞かせると、帆山も気持ちを切り替えれたようだった。

「・・・そうだな。 ありがとう数馬。 弱々しいなんてあたいらしくないよな!」

気持ちを取り戻したようで何よりだと思いながら俺達は校内を歩いたのだった。

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