1日目
文化祭は2日に分けて開催される。 そもそも開催の日程が金土なので必然的に入場してくる人物も限られる。
今日の文化祭は主に俺達生徒がメインな文化祭だ。
「美術部の展示やってます!」
「こちらでは景品としておもちゃ貰えます!」
「そこの人、冥土喫茶はいかがかしら? ウェヒヒ。」
一部ヤバそうなのはいるが、全校生徒がそれぞれの出し物に来て貰いたくて必死に宣伝している。 俺は最初の方に自由時間を貰っているのでこうして回っているが、その着ているシャツにはしっかりと俺達の出し物を宣伝した謳い文句がびっしりと書かれている。 休息と宣伝を兼ねているので、目は引くだろう。
「さてと、どこを回ろうかねぇ。」
個人的に言えば気になるものはあんまり無かったので、この時間に回るのもどうかとも思っていた。 あとは結局のところ1人でしか回らないので行く宛がないのだ。
「どうすっかなぁ。 引間の教室に行ってみて確認するか? でもなぁ・・・」
「お、ようやく見つけたぞ。」
誰かが声をかけてきたので振り返れば、そこには
「帆山・・・だよな? 特殊メイクか?」
顔が色白になり、口端から延長するかのように赤い口紅が付けられている帆山の姿だった。
「そうだぜ。 あたいのクラスメイトにメイク好きがいてな。 そいつに頼んだんだよ。 ついでに宣伝として何人か同じような奴がいるはずだぜ。」
お化け屋敷だと言うだけにちらほらと特殊メイクだったり、制服ではない生徒が彷徨いていた。 勿論許可は取ってあると思うので、あの格好でも怒られないのだろう。
「な、な、それよりもよ! あたいと一緒に文化祭を回ってくれるだろ? ちゃんと補習は回避したんだからさ!」
帆山の顔のメイクのインパクトがやや低めだからか、怖くはない顔を向けられながら、お菓子を買ってあげると言われた子供のような眼差しで俺を見てくる。
これは先週の帆山が再テストを受けることになり、無事補習を回避できれば俺と文化祭を回る約束を取り付けた。 こちらの了承は受けてはいないが、帆山の予想以上の食い付きに必要なことだと感じ、断るようなことはしなかった。 結果的に補習を回避できたので帆山的にも良い結果になった。
別に意図していた事ではなかったが、こちらとしても西垣も芦原もいなくて、1人で回らなければならない事になっていたので、帆山がいるのはある意味助かった。
「良し。 それじゃあ回っていくか。 というか行く場所は決まってるのか?」
「おうよ! これでもしっかり下調べはしたんだ! 行こうぜ!」
そうして帆山と一緒に文化祭に行くことになったのだった。




