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見張ってるつもりはなくても

 教室内で必ずしも西垣を見ているわけではない。 四六時中見ているほど暇でも無ければ監視するという役目もない。


 それに西垣の周りにはクラスの女子がいる。 普通の学生というものはそう言うものだ。 1週間足らずで男女の仲に友情が芽生えてくるのは小学生までだろう。 歳を重ねれば重ねる程、そう言ったことが難しくなるものだ。


 そして俺自身もそう言った目線を向けないように少しずつ見ては携帯を見たり、外を見たりしている。 挙動不審と言われるかもしれないけど。


 とはいえチラ見していてなんとなく分かってきたことだが、集まっている女子の会話に西垣がついていけてないような気がする。 どちらかと言えば一方的な会話になっており、複数人が間髪入れずに喋っているため、西垣が相づちすら打てず仕舞いだ。


「って言ったって、俺が止めに入るのはどうかと思うんだよな。」


 女子には女子なりのやり方がある。 本当ならば介入するべきなのかもしれないが、厄介ごとに巻き込まれるのも癪なので、傍観しか出来ないでいた。


 授業を挟んでその次の休み時間に西垣の姿はなかった。 恐らくはお花摘み(逃げる口実)だろうと察して、俺は次の授業の準備をしていた。


「聞いてくれ我が相棒(バディ)!」


 そんなことをしている俺の元に芦原がやってくる。 芦原の机を見れば既に次の授業の準備は整っていた。


「我々の新たなる青春「エクアカ」の正式稼働日オフィシャルリリースデイが発表されたのだ! まだ少し先ではあるようだが、我は確定された運命を待ち遠しく思うぞ!」

「それは良かったな。」

「だがこれだけでは足りない。 我が幼き記憶(チャイルドメモリー)に刻まれた烙印を解き放つには、そのような情報だけでは足りぬのだ!」


 相変わらずのオーバーリアクションをしているのだが、もはや誰も気に止めない。 止めても無駄とも取れるだろうが。


 そんなことを話していると西垣が戻ってきたのが見えた。 そしてそれを見た瞬間に女子達がまた集まる。 ありゃしばらくは落ち着きそうにないな。 そう思った時にふと西垣の背後に黒いモヤのようなものが見えた。 目を擦って改めて見てみてもそのモヤは無くなっていた。


「気のせい・・・か?」

「そろそろ授業が始まるから、席に着きなさい。」


 もう少しで休み時間が終わるようで、少し早めに教科担任が入ってきたのを確認して、クラスのほとんどが席に帰っていった。


 先程見えたモヤは果たして気のせいだったのかそれとも・・・? 今考えてもしょうがない。 今は授業に集中するか。 そう思った俺だった。

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