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共通点

 スゴい声の掛けられ方をされたが、クラスメイトである以上迷惑がってはいけない。 それに彼なりにコミュニケーションは取りたいのだ。 ここで否定してしまっては彼が可哀想だ。


「えっと、確か芦原・・・だったっけ?」

「そう。 我が名は芦原 近衛(あしはら このえ)だ。 記憶(メモリー)として残っていたのは、あの我の紹介が余程衝撃的だったからだろう。」


 それもそのはずだろう。 名前のインパクトもあるが、その厨二チックな見た目と喋り方が一番個性的だからだし、何だかんだで名簿順で考えれば彼が一番なのだ。 そんなインパクトをぶつけられては後続の印象は薄くなるだろう


「話を戻すが、先程の旋律は初回は言葉巧みにプレイヤーを誘い、本性を現した時には既に情が入り攻撃を鈍らせる、本作史上最も外道との戦闘時に流れる隠された名曲「落ち行くは甘い表層のるつぼ」正しくそのもの。」


 オーバーリアクションではあるが、どうやら話が通じる相手が出来て嬉しいのかもしれない。


「ああ。 あの曲を聞きに行くためだけに何度も戦ったよ。 レベルアップすると大分倒しやすくなるからちょっと可哀想になっていったからな。」

「あれだけの所業をしたのだから、然るべき罰とも言えるとも語れる板(トークボード)へは記憶されていたぞ。」


 トークボード? あ、ゲーム掲示板とかのことか。 変に叩かれてないのはゲームとしては良質からだったからなのかも。


「我が強く記憶(メモリー)してあるのは、5章道中でのストーリーパーソン達による自分達の未来(フューチャー)についてミーティングする所だろう。 彼らは深くは語らずが、我々の心境にどこか刺さってくるあの内容。 ラストに近付いていることもあって緊迫したムード。 我が深層心理に深く残っている。」

「ああ。 確かにあそこはなかなかにいいシーンだよな。 まさにゲームコンセプトを現しているかのような表情とか言葉が特にな。 緊迫に包まれたBGMも相まって雰囲気を漂わせてくれるよ。」

「分かる。 分かるぞ! 言の葉だけでは表現できないあの場面(シチュエーション)に相応しいあの旋律も響いてくる。」


 所々でそれっぽい言葉を紡いできているが、話している限りでは同じゲームが好き、と言った具合だろう。

「そして先程旋律を口ずさんでいたとなれば、汝も確認したのだな。 創作元(クリエイター)からの啓示(アポカリプス)を!」

「まさかソシャゲの方で出るとは思わなかったがな。 芦原はどんな風に・・・」


 キーンコーンカーンコーン


 何だかんだと語っていたらいつの間にか次の授業の鐘が鳴っていた。 意外と時間の流れは早いものだな。


「続きはお預けか。 しかし優雅な時を過ごせた事を感謝するそ。 積和という名だったな。 近いうちにまた語ろう。」


 そう言って芦原は自分の席に戻っていった。 見る相手は西垣だけではないか。 また授業が始まったので、俺は勉学に勤しむのだった。

数馬にご友人が出来ました

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