汝は同胞なりか?
本日3回目の授業を終えてスマホを触る。 一応授業中には触るのは禁止されているが、こうして休みの合間に使う分には何も言われない。 というかそこまで縛るような校則はない。 そう言う意味では高校の方がいいと感じる。
そう思いながら俺は適当にネットサーフィンしていると、ふと気になる見出しが出てきた。
「・・・まじか・・・「エクアカ」ソシャゲで復活するんだ・・・」
俺の目に飛び込んできたのはゲームの見出し。 「エクアカ」、正式名称「極限記録」は荒廃とした文明の中に渦巻く絶望や慟哭、陰謀や蠱惑の中で少年少女達による葛藤や青春を見出だしていくストーリーで構成されていたゲーム。
俺の年齢が二桁になったときに発売されていて、探索型RPGでありながら割と周回要素が強かったので俺ははまれなかったが、コアなファンには受けていたそうな。
「随分と懐かしいなぁ。 あそこのBGM、かなりお気に入りなんだよなぁ。」
そして俺が音楽にはまり始めた時期でもあったため印象はかなり深い。 周回だったので、慣れてくればそのBGMを聞きに行くためだけに戦ったボスも数多くいたりする。
「ソシャゲにするとなるとどんな感じだ? 元々がRPGスタイルだったが・・・シナリオスタイルでゲームを進めてくベースになるのか? バトルスタイルは3Dタップ式のようだから、スマホを触りながら進めてく感じか? キャラ自体も3Dグラフィックだからリアリティーを追及した感じか。」
携帯のスペックの事を考えれば本家には劣るだろうが、細かいキャラの裏ストーリーのような物は楽しめるのかもしれない。
「~♪︎~♪︎♪︎~♪︎~」
口ずさむのは本家で聞いた第三エリアに配置されていたボスの戦闘曲。 ポップス調なリズムとは裏腹に、音程がやたらと低く、軽いノリの中に主人公とボスとの間にある心の闇のぶつかり合いのような音程が心をくすぐった曲だ。
そのボス自体も見た目、性格共に明るい雰囲気なのにも関わらず敵としては相手の心に隙間を縫い込むように入り込んで内側から精神崩壊を起こそうとする、とんでもない外道キャラとして描かれていた。 だからこそなのかこの曲名も名もそう言った名前になっていた。 確か曲名は
「「落ち行くは甘い表層のるつぼ」。」
口ずさんでいると後ろから声がした。 振り返れば音を逃さないようにするかの如く、両手を両耳の後ろに当てている男子生徒。 前髪の一部が長いせいか、眉間から左側に流れるように頬の辺りまで垂れていた。
そしてその人物は両腕を胸の前で組み直し、左人差し指を自分に向けた。
「その旋律を口ずさむということは、お前もあの極限の地に眠りし記録に見初められたと、シンパシーが感じ取った。 そうであろう?」
彼は何者なのでしょうか?
次回に正体が分かります。