キャンプ用品店
「それで我と共に買い物をしたいと言ったわけか。」
昨日の西垣の話を情報共有して俺と芦原は2人ともこれと言って持ってないと確信が出来たのでショッピングセンターの中にあるキャンプ用品店に足を運んだ。
店の中を外から見ただけでも色んなものが目白押しで、どこから目を付ければいいか分からなくなっていた。
「しかし話と場所の内容ならば宿泊先は川沿いに面しているコテージ。 我々が個人的に用意するものなど限られていよう?」
「確かにそうなんだが・・・ なんだか全部向こうに任せるのもちょっとなって思ってよ。」
コテージならばテントなどを用意する必要も無いだろうし、山奥とは言え設備は整っている。 バーベキューコンロなどもあるのだろう。
だがそれはそれとしてなにかを持っていきたいと思っただけのはなしだ。
「一応寝袋等を用意するのはどうだ? 布団がある訳でもなかろう?」
「そこまでは聞いてないが・・・一応入れておくべきか。」
そう言いながら俺と芦原は店内を物色していく。 簡易焚き火や折り畳み式の椅子、ブランケットなども販売されていた。
「あぁ、こんなちっちゃいフライパン見たことあるぞ。」
「動画でよく使われているものだな。 コンパクトで持ち運びも便利らしい。」
「鉄製と木製の食器が沢山あるな。 これってどっちの方が使い道良いんだろうな?」
「好みの問題だろうな。 鉄製も木製も良し悪しはあるようだぞ。」
「木製だと特性の樹脂を塗って腐らせないようにするらしいから、その樹脂が溶けて嫌な味になるとかって聞くけどな。」
そんな会話を繰り広げつつ、俺と芦原は寝袋とついでで自分に必要そうなものを手にとって購入した。 俺はマイ食器、芦原は折り畳み式の椅子にした。
「買い物はこれだけにするのか?」
「そうさなぁ・・・」
キャンプ用品を買いに来たにしては少々味気ないというか、もっと必要になるかと思ったのだが案外手に取ることは無かった。 本格的なキャンプをするわけではないのでそれで良いとも思うのだが。
うんうんと悩みながら歩いて、ふと目に止まったのは玩具屋だった。
「コテージなら風とか気にせずに出来るよな?」
「確かに都会の喧騒からかけ離れ、その場所で行う遊戯は、我々のみという特別な環境下で最高の思い出となりえよう。」
「というか花火とかも買っていった方が喜ぶか?」
「それは裁量次第だろうな。 我々のみが用意するわけでもなかろう。」
そうかもしれないが、とりあえず中を確認して、おあつらえ向きの物がないか探しにいくことにした。
「驚くだろうな。 これだけ大きいボードゲームなど持っていったら。」
「かもな。 ルールは複雑でも無さそうだが戦略性がかなり高そうだぞ。」
「キャンプでの夜中は眠れなくなりそうだな。」
隣の芦原も楽しそうだ。 そうしてあとは当日まで今持ってるゲームは寝かせることにしたのだった。