ゲーム内イベント
「梅雨前線と共に来たれりしもう一つの事象。 雨音に負けぬ程に聞こえたるは祝福のリングゴーン。 若き女性の1つの夢。 身を包むは己が伴侶と見惚れた者に送るブライダル。 その美しさは曇天たる雨雲すら打ち破れそうな程に晴れ晴れとしているのだ。」
昼休みに入り芦原がそんな事を言い始める。 弁当箱の蓋を開けようとした時に言われて呆然としていたが、言葉を繋げていけば芦原が言いたいことが分かってくる。
「そういえば今回のイベントって結婚式関連なんだっけ?」
「ああ。 本編では決してあり得なかった未来の姿を模した世界を彼らが見る。 巡った世界は嘘か真か。 そしてそれらを見た彼らは何を思うか? 関連人物の衣装変更はどのような意図があるのか。 今から考察するだけでも楽しみだ、フフフ。」
俺達がやっているスマホ版「エクアカ」でイベントが発生しており、その内容が「ジューンブライド」という事なのだ。 大体6月辺りになると梅雨かブライダルが出てくる気がするんだよなぁ。
そして当然ながらそれに沿ってキャラクターの一部もブライダル衣装になる。 確かに一部の界隈では盛り上がることだろう。
「ニュースとかでは最近聞かなくなったよな。 風潮が廃れたか?」
「あまり憧れを持たなくなったのも事実としてあるやもしれぬ。 故にゲーム等では話題にもなるわけだ。」
話をしていて忘れかけていた弁当にようやくありついた俺がそんな疑問を言うと、芦原も似たような返答を返してきた。
「後はあれか。 ウェディングドレスも今となっては大分形が変わってきてるもんな。」
「大々的にもやらなくなってきている。 ウェディングとはあまり見かけなくなったものよ。」
うんうんと頭を振る。 当分先になるであろう話のはずなのだが、共感だけは持てた。
「時に相棒。 今回のイベントに登場しているブライダルフォームをどう見る?」
「んー。」
正直に言えばキャラクターの衣装変更とかは特に気にしてはいなかった。 ソシャゲ関連だとそう言ったものも魅力の1つとして売りに出しているのは分かるのだが、いざ「どう」と言われると答えに困る。 しかし思っていることはある。
「あれをブライダル衣装と言われても、違和感はあるな。」
個人的な感想ではあるものの、やはり花嫁衣装として出しているのにも関わらず、見た目で言えば舞台上に上がるダンサーのような裾の短さだったと記憶している。 自分の中の花嫁としてのイメージが強すぎる事もあるかもしれないが、あそこまでのはちょっとと思ってしまう。
「あのような衣装替えは嫌いか?」
「嫌いじゃないけど、分別と言うか線引きは大事だろ。 なんでもかんでも喜んでたら身が持たん。」
「鋼の意志を持っているようで何よりだ。 我もそれ以上は追及せずにいよう。 しかしストーリーはかなり凝られていたぞ。 例えば・・・」
芦原の話を右から左へ聞き流すように聞いて、雨の降りしきる音と共にお昼を過ごした。