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今日のエムゼ

「よぉ。 この時が来るまでずっと我慢してたんだぜ?」


 放課後が始まろうとしているタイミングで西垣に腕を引っ張られて、誰もいない階段下の奥で壁に押し付けられたかと思ったらエムゼがその顔を覗かせていた。 目が光っているように見えるのは少ない光源のせいか。


「お前との契約がなけりゃここまで苦労しなかったんだ。 主人格の方が嫌で嫌で仕方ないってのに出られないんだからよ。」


 俺は今壁を背にしてエムゼに押し込まれる形になっている。 これで俺が女だったらワイルドな行為に心が躍ったかもしれない。 だがあいにく俺は男だしなんだったら身長的にも西垣の方が低い。 ときめくには要素が弱いのかもしれない。


「我慢してたのは褒めてやるよ。 というかチャイムが鳴った瞬間に変わっただろ。 お陰で引っ張られる様子を見られてたんだが?」

「そんなことはもうどうでもいいだろ。 出たくてウズウズしてたんだ。 そのストレス発散に付き合って貰うからな。」

「おい、部活はどうするんだよ。」

「1日2日で騒ぐようなもんじゃねぇだろ。 言い訳なら体調不良だの予定が入っただので済ませばいいんだよ。」


 なにも考えてないようでそれと無い妥協案を出してくるエムゼ。 本当は表に出たいと思っていた割には西垣の事を多少たりとも心配しているようにも感じる。


「おい。 生暖かな目でオレを見るんじゃねぇ。 とっとと行くぞ。 誰かに見られたら面倒だ。」


 そっぽを向きつつエムゼは昇降口に向かって歩き出した。 ひねくれた奴だと思いつつ俺もそれについていった。


「エムゼ。 あんまり大股で歩くなよ? 部活動があるとは言えまだうちの生徒は少なからずいる場所なんだからな。」

「わーったよ。 細かいことを気にする奴め。」


 エムゼは不服そうに歩幅を縮める。 中身が変わっていることを知っているのは俺だけなので、外見からすればただ西垣の機嫌が悪いだけに見せた方が色々と都合が合わせやすい。 実際にエムゼの機嫌は悪いが。


「んで? ストレス発散ってなにする気だ? 財布と肉体は西垣のだろ?」

「オレが人のものを気にするような性格だと思うか?」

「俺の事は気にしなくてもいいが、せめて西垣の事は気にしてやれ。 いきなり財布の中が空になったり、見に覚えの無い満腹感があったりしたら困るのは西垣なんだから。」

「お前はこいつの親か。」


 夢の事もあるが、最近はやたらと西垣の事を心配するようになってきているのは自分でもどうかとは思い始めているが、心配なものは仕方がない。 なにも出来ないとは思ってないはずなのだが。


 そんな事に思い吹けていると、不意にエムゼがこちらを向いてくる。 しかもかなり不敵な笑みを浮かべながら。


「そこまでこいつの事が心配ならお前が肩代わりしな。 それなら文句はないだろ?」

「・・・言っておくが限度はあるからな。」

「決まりだな。 ついてこい。 一度やってみたいと思ってたものがあるんだ。」


 そう言いながらエムゼの後をついていくとそこにあった建物は


「ゲームセンター?」

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