表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

大迫力!スライムストーリー2をしただけだったのに

新しくゲームデータを作って二人プレイでクエストをクリアしていった。初期村で装備を出来るだけ整えてからクエストに挑んでもその中のボスが中々に強敵で、倒すのに苦労した。

一時間ほどが経過したとき、私の集中力が一瞬切れた。

「ど、どど、どうしてこうなったの...?」

何故かゲームをしている途中に海斗(かいと)君に捕まえられたようで、脚の間に座らされていた。必死に今逃げようとしたがゲームをしている癖してすぐに捕まえられて戻されてしまう。ゲームの内容的には初期村に近い村に遊びに行った際に仲良くなった男の子がいたのだけれど、その村が魔物に襲われて消滅した事を耳にして主人公であるスライムが魔王討伐に向かうという話だ。色々とツッコミどころのあり過ぎるゲームだが、描写がとても美しい上、しっかりとCPUの台詞まで作り込まれていた。今は海斗(かいと)と二人で遊んでいるので、二匹の人型のスライムが魔獣や魔物を討伐している最中だ。家にはもうゲームはないので、操作方法が中々理解できず何度も死にかけた。だが、その度その度に海斗(かいと)が助けてくれた。ゲームは"ストーリーの一章が終わったら終わりにしよう"という事だったので、出来るだけサクサク進めた。その甲斐あってか、あと少しでストーリーの一章が終わるところまで来ていた。

「やっと終わったぁ~!」

と私が言うと、海斗(かいと)はふっと笑った。

真奈(まな)ってこういうゲームが意外と好きだったよね」

そう海斗(かいと)が言うが、私はゲーム機を今持っていないので自分でも分からない。

「今は家にゲームがないから良く分からないけど楽しかったよ。けどそろそろ帰らないと...って...もう七時!?」

そろそろ帰らなければ流石に不味いという意見が珍しく一致したので、私は家へと帰る事にした。

しかし、海斗(かいと)が「家まで送って行くよ」と言って話を聞いてくれないので甘えて一緒にしかし、海斗(かいと)がの家まで帰った。――夕ご飯作らないとなー...

「ありがとう。送ってくれて」

そう言うと海斗(かいと)は照れくさそうに頭を掻いた。「じゃあな」と言って海斗(かいと)は帰って行ったが少し心配だったので、家の前から見ていると不意に背中を誰かに指で触られた。

「!?」

急いで振り返るとそこには蒼花(そうか)がいて、キラキラとした目ではなく光が消えて曇ったような目でこちらを向いていた。

「どうして海斗(かいと)君とここまで来たのかなぁ?」

「どうして時間がこんなにも遅いのかなぁ?」

「どうして!?ねぇ?どうして海斗(かいと)君の家から真奈(まな)ちゃんが出てくるの!?ねぇっ!!」

と何故か蒼花(そうか)が物凄い剣幕で迫って来た。

「わ、私...は、海斗(かいと)君と遊んでた」

「私とは出来ない遊びかな...?」

...ゲーム機持ってないし...カセット持ってないし...流石に蒼花(そうか)の家にスビッチが二台あるとは思えないし...

蒼花(そうか)とは多分出来ない。蒼花(そうか)が持っていないと出来ない」

海斗(かいと)君としか真奈(まな)ちゃんはしたことがないの?」

...ゲーム自体はしたことがあったけど大迫力! スライムストーリーの2はしたことなかったなー...

「そう...だね。今回のと少しだけ違うのはした事があったけどね」

そう私が真面目(?)に答えると蒼花(そうか)の顔が歪んだ。

真奈(まな)ちゃんは...海斗(かいと)如きに渡さないっ!!」

蒼花(そうか)がそう叫んだ刹那、私の身体は宙に浮いていた。細い蒼花(そうか)の腕のどこにそんな力があるのか軽々と持ち上げられていた。確実に何か誤解をしていると感じた私は

蒼花(そうか)...!!聞いて!何か誤解してるでしょ!?何に誤解してるかは知らないけど、お願い!!聞いて!!」

と叫んだ。「何がよ」と私の顔を見ずに蒼花(そうか)が答えるのでここぞとばかりに叫んでやった。

「私の言葉が足りなかったのが悪いんだけど、海斗(かいと)とは大迫力! スライムストーリー 2で遊んでいただけなの!!私が前にスビッチを持っていたんだけど今は持っていないから蒼花(そうか)とは遊べないって言ったの。流石に家に二台スビッチがある家は海斗(かいと)の家しかないと思って...!蒼花(そうか)の事は嫌いじゃないから...!!むしろ好きだから!!」

と私が言うと、蒼花(そうか)の腕から力が抜けた。そのお陰で私が落ちそうになったが、持ち前の身体能力でどうにか受け身を取った。

「ごめん...!私...てっきり...!!」

何かを蒼花(そうか)が言おうとしたが私は目で制した。これ以上何か言うと蒼花(そうか)また(・・)壊れてしまいそうだったから...

「私が蒼花(そうか)の事を嫌いになる訳ないじゃん...?言ったでしょ?"ずっと"友達だって」

一瞬蒼花(そうか)が辛そうな顔をしてから驚いた表情をした。

「違うけど...嬉しい」

蒼花(そうか)は何もなかったように帰って行った。

...蒼花(そうか)に誤解をさせると危険だということが分かったので今度からはしっかりと内容を話そうと思った。細かい事まで全て...言わなくては...と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ