二人との学校生活
それからは私は三人で行動する事がほとんどだった。入学式の日に友達がいない宣言をした私に手を差し伸べてくれたと言っても過言ではないだろう。
だが、三人で休日で外で遊ぶという事はあまりなく、一回だけ行った時も三人で本屋に行って本を買う。その後に一度家に帰ってから図書館前に集合して新しい本を読む。まさに本好きの私達だからこそだと思う。
外で遊んだのはそれ一回だけだったような気がする。初めて会った人と一ヵ月に何回も遊びに行くという方が稀なパターンなのかもしれない。だが、その日は自分一人で本屋に行って本を選ぶより楽しく、私の友達の好みも知る事が出来た。そして、図書館では話が出来る個室を三人で借りて読んだのでお互いがオススメしていた本の新しい一面にも気付くことが出来た。有意義な一日を過ごすことが出来たのだ。
学校内では、移動教室の際は三人で行動をしている。そして、休み時間も大体は三人で過ごしている。ごく稀に私が他のクラスの女子に少し話が...と言われて呼び出されて二人に先に行ってもらっている時もある。その時の内容は大体相談系統が多い。だが、私自身が得意な分野ではないため長時間の話し合いになる事が多いのだ。それで二人に迷惑をかけてしまっているので本当に申し訳なかった。だが、立花さんや青野君と一緒にいる時間が私にとってとても居心地の良い時間だったのだ。
学校生活を二人と一緒に過ごし始めてから、二人と――誓った日から早一ヵ月が経った。
一ヵ月経ったという事は席替えをする。
「...蒼花ちゃんと隣の席だったのになぁ...」
「次も隣になれるよ!けど、離れてしまうのは嫌だなー...真奈ちゃんとずっと話してたいし!」
蒼花ちゃん...!好き...!
「けどさー僕だけ席が今遠かったよね。だから、僕は席替えが楽しみだな。ま、蒼花ちゃんと真奈の近くの席にならなきゃ意味ないんだけどな」
と海斗君は笑う。
「確かにね。私達は大体一緒に行動してるから席が近い方が何かと便利だもんね」
そう私達が話をしていると大野先生が教室に入って来た。
「席替えをするので、くじをします。今の席が角の人立ってじゃんけんでもしましょうか。勝った所からスタートね」
そう大野先生が言い、最前列の右側からくじを引くことになった。完全な運だめしなので、正直誰からでも良かった。蒼花ちゃんの元にくじが回って来た。彼女が引いたのは三番だった。他の人がほとんど二桁なのを見ると、クラスの人数が三十四人なので、一から三十四まであって、先生が適当に割り振っているのだろう。
「因みに、今回は数字を見ても分からないけれど次からは今回の数字が一の人の所に一を引いた人が座るからなー」
と言っている。今回数字の席順を誰かが作れば次からは変える前に分かるのかもしれない。
「一時間目は移動教室だから私が一時間目の間に変えておくから前の席表見て座りなおしておいてね」
そう言って大野先生は私達を教室から追い出した。
「真奈ちゃんは何番だったの?蒼花ちゃんは3番って言ってたよね」
「私?私は27番だったから二人から席が遠いかもしれないなー...海斗君は何番だったの?」
「僕は9だったよ。どんな規則性があるんだろうねー」
...多分大野先生が適当に振っているだけだと思うんだけど...ね
「次からは同じ番号の席になるらしいから今回の数字を覚えて次に生かせばいいよね」
と蒼花ちゃんが言う。どうやって生かすのかは全然知らないが...
二人と話しながら、廊下でロッカーから教科書を取り出していると急に視界が暗くなった。ひんやりとした手が目を覆っているのに気付いて少し寒気がした。
だが、「ま~な~!」という明るい声を聴いて隣のクラスの彩理ちゃんだと分かった。
「彩理ちゃんでしょ?どうしたの?」
因みに彩理ちゃんと仲良くなったきっかけは恋愛相談を彼女がしてきたからだ。因みに恋愛経験が一度も無かった私のアドバイスは何故か役に立ったそうだ。
「今日、席替えだったでしょ~どうなったの?」
「三組はもう席替えしたんだね。二組はまだくじを引いただけでまだ席自体は変わってないよ。授業から帰ってくる頃には先生が席の配置を変えてくれるんだってさ」
すると、彼女は「そうなんだ~次、理科なんだね、頑張って」とだけ言い、去って行った。
手を振るタイミングを完全に逃してしまった私は立ち尽くしていた。そういえば教科書を取り出して...あれ...?手に持ってない...?
「ふっふっふ、先に持っているんだよ私が」
そう言って蒼花ちゃんが私に渡してくれた。
...筆箱を私持ってないんだけど...そう思い教室に戻ろうとすると海斗君が私の肩をポンポンと叩いた。
「僕が筆箱持ってきてるよ」
そう言って私に渡してくれた。
「ありがとう、二人とも。蒼花ちゃんも海斗君も...移動教室だから私のせいで遅れるの嫌だから急ごー!待っててくれてありがとう!」
そう私が言うと、
「(話変わるけど)、ちゃん(君)付けやめてほしい(か)な」
...百八十度以上変わって気がします...が、
「そっちの方が友達っぽいからそうしよ~!」
そう言って、私達は理科室へ急いで向かう事にした。因みに教科書と筆箱を何時の間にか持ってきてくれるようになったのかは知らないが周りからすると持たせているように見えるそうなので私が本当に急いでいないときは自分で持っておきたいと思う。