三人での初登校
家の扉を開けると、
「あ、おはよう真奈! 今日は早いんだね!」
「海斗、蒼花、おはよー! 蒼花も今日は海斗と一緒に来てくれたんだ! 学校の前一回通って来てるよね? 遠いのに大丈夫だった? 初めての三人で登校だね! 凄く楽しみ! 私、ずっと楽しみにしてたんだよね~! 一緒に三人で登校できるなんて私思ってなかったよ!」
と私が言うと、海斗も蒼花もふふっと笑った。
「真奈ちゃん、ありがと。私だって真奈ちゃんとずっと仲良くしたいからよろしくね」
「僕とは仲良くする気はないんだ?」
と海斗が素早く口をはさんだ。そういう意図は蒼花にはなかったはずだと思い、
「私は海斗と蒼花が仲良くしてくれるのが一番嬉しいんだよね~!」
と笑って言ったが、二人が顔を見合わせて苦笑いをしていた。苦笑いをさせるほど変な事を言ったつもりもなかったし、嫌な事を言ったつもりもないんだけどな...
「蒼花さんは真奈の家まで遠いんだからわざわざ来なくてもいいんだよ?」
「私は海斗君にそうやって私の生き方、過ごし方に口出し...否定される筋合いはないし、私は真奈ちゃんと一緒に登校したいだけなんだけど。海斗君は私が真奈ちゃんの家に来て一緒に登校するのに何か不満とか文句とか...なにか問題があるの?」
「いや、別に。僕は少しそれが気になっただけだよ」
と二人が話しているのを私は見て、二人が仲が良さそうで安心した。二人が仲が良い事が何よりだ。どこか遠くから車の音が聞こえた。
「まぁ、今日も二人が仲良くて本当によかったよ」
「「どうして、そう見えるの?」」
え...? 仲良くないの?
「え、二人楽しそうに会話してて...」
と私が言うと、二人は何かおかしい事を耳にしたと言わんばかりに声を上げて笑った。
――その時、車のブレーキ音が目の前で響いた。
"危ない!!"
「海斗、蒼花! 危ない...!」
困惑する二人を歩道の奥に突き飛ばした。
「真奈ッ!」
二人は状況を理解して驚いているが、二人を最期に助けられて良かった...そう思っていたのに、
「真奈アァァッッッ!」
最後の最後で海斗が私に向かって手を伸ばし、私の手首を掴んで歩道へと引き込んだ。
――せっかく助けられたのに...! 場所が...!
「海斗っ...!!」
私が手を伸ばしたがその手は届かず、空しく宙を切るだけだった。
「真奈を助けられて、よ...」
"ドンッ"という鈍い音がして私の目の前から彼が消えた。クラクションを鳴らした癖に住宅地を通って来たトラックは走り去っていった。
私は腰を抜かしてその場に尻もちをついた。
「海斗...君...? どうしたの...? 車にはねられたぐらいで死なないよね?」
と今まで何が起きたか分からないという顔を張り付けて身動きを取る事が出来ていなかった蒼花が口を開いた。
「だって、さっき、真奈ちゃんが喜んでいたのに、私と海斗君が仲が良さそうだって、前に三人でずっと一緒だって約束したよね...!?」
私の目の前には体中を深紅の液体で濡らしている海斗がいた。
――私自身は思っていたよりも冷静だった。
状況が飲み込めなくて、現実味に欠けてて、これも小説も夢だろうと思えるほどに現実だという実感が湧いてこなかった。
そう、――海斗君が死んでしまったという事を




