小説は思いの外
「ふーっ...」
進めると言った小説を私は10000弱文字程度しか書けなかったが、それが原因か例のサイトにも入るのが怖くなっていた。自分のしたコメントに誰かが反応する。その中に海夜先生がいるかもしれないと思うと、怒られそうで怖かったからだ。その進めると言った小説はいつも使っている山城深月という名前のアカウントではなく、木津谷 真白という名前を使って投稿していた。人の名前を考えるのが苦手すぎてアナグラムにしていたセイで、もしかしたら今までにバレているかもしれないと思ったが、今日発表する予定だったので、サイトを開いた。
どうせ、私の書いた小説だって知らないからあんまり伸びて無いんだろうなー小説。結構頑張って書いたのになー...と思いながら、夏休み中に悩んで書いていた自分が馬鹿らしく思えてきた。
ログインして私の書いていた小説の編集ページへ飛んだ。すると自然に、
「...すぅー...マジで...?」
という声が無意識に漏れた。
思っていた反対の事で、何故か一億PVを突破していた。感謝コメントと一緒に報告していいのだと思い、丁度よかったと思った。
「某小説サイトにて投稿していた『才能が枯れた花と開花しない花』の一億PVありがとうございます! 今日までそのアカウントに入って投稿や執筆をしていたのにも関わらず、評価を一度も見ていなかったので嬉しかったです...! もし、これへの反応が悪かった場合にも発表をするつもりだったので、良い発表に出来て良かったです...! いつも投稿しているアカウントとは違うアカウントだったので、こんなに見てくれる人がいると思っていませんでした...! 本当にありがとうございました、凄く嬉しかったです!」
と私がコメントをすると、「やっぱり深月先生か」というコメントと「名前...アナグラムかよ、小説の感じでそうかなとは思ったけど...悔しい」、「どうしてわざわざ違うアカウントで投稿したんですか? 後、一人一個したアカウント持っちゃ駄目ですよね?」などのコメントが送られてきた。
「アカウント問題は友達のアカウントで投稿させてもらいました。友達の作る小説自体が上手いので、今回の私の小説で少し勢いづけちゃおうという企画のような物でした。花花と一緒に投稿されている『君の笑顔が好きだから僕は』という小説は私ではなく彼女が執筆していますので、同じタイミングで投稿が行われていました。因みにこれでも少し違反行為に触れそうでしたので、某サイトの運営様方に連絡をしまして許可を頂きました。
わざわざ違うアカウントを使ったかと言うと、私の興味本位なのですが、私だと知らない状態で小説を投稿した際に普通に投稿した時と比べての伸び方と、どれだけの人がこれが"いい"と思ってくれるのだろうかと疑問に思いました。私だと知らない状態で評価をしてくれる人はどれだけいるのだろうかと思ったからです。一度、有名になったからと言って連続して良い小説を、物語を書けるとは限りません。だからこそ、新しいユーザーが結構いい感じの小説を書いてもしっかり評価されるのか?と私が思ったからです。今回心配をお掛け致しました。山城深月のアカウントでも今後は、活動致しますので、応援よろしくお願い致します」
とコメントを返した。すると、納得したようでその手のコメントは無くなった。だが、海夜先生から「私に言いなさいよ」という返信が来て、一緒のコメント欄に居た人達が「ツンデレ海夜先生だ~」と喜んでいた。
因みに私は先輩である海夜先生に流石に謝った。
「ま、べ、別に? 別に、深月ちゃんの小説読みたかっただけだし...?」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
そういえば...とカレンダーを見ると、8/29...
ん...? 今日って...学校の予定表を見ると今日は...
サァッと血の気が引くのを感じた。
読書感想文は、苦手だから自分の小説の感想を書いた。
テキスト類は全部終わらした。
美術の絵は、海夜先生の小説の絵を描いた。
理科の自由研究は...? やった記憶がない...
――「まずい」
流石に私もまずいなと思い、小学校時代に過剰にした自由研究を探した。引っ越し...をしたからないかもしれない...と絶望感に襲われたが、家を出た際に持ち出した大学ノートの間に挟まっていた。自由研究と言っても、『ペーパークロマトグラフィ』という色んな人がしている実験だったので、代わり映えがしない。あまり面白味がない。来年こそは誰もしていないような事を実験してみようと私は誓い、夏休みの課題を鞄に入れて行った。
テキスト類で鞄が圧迫されたが、サブバックを手に持ち、その中に自由研究を入れた。昨日の夕ご飯を弁当に無理矢理詰めて、学校の始業式へと向かった。




