中学生になっても
私は花王中学校に今日から通う中学一年生である。因みに今日が入学式...の日だ。花王中学校は私の住む県の中でも有数の名門校で受験の倍率は毎年五倍以上になっていた。だが、その中を通れた私はラッキーだったのではないだろうか...?
何も考えずにぼーっとしながら歩いていたからか
「新入生の方...ですか?」
と九に声をかけられた。名札には緑川と書かれていて、校章の色を見ると上級生というのが分かる。...話かけて下さった時点で上級生だと普通は最初に思うのでしょうけど...
因みに彼の見た目はテレビに出てくる芸能人とかそういう類の人だと言われても疑わないような見た目で、学校内でもファンクラブなどが知らない内に出来ていたりして知名度が高いのだろうと感じた。
「そうです。先輩はどうしたのですか?」
そう声をかけてから少しだけ後悔した。一年生の誘導などをしているだろうと後から悟り少し顔が熱くなった。
「いやぁ...それがね...話を聞いてくれたりするかい?」
先輩は緑川碧というらしく、この学校の生徒会役員の人らしい。だからこそ、このような風に一年生の誘導をしているそうだ。"もう一つだけ頼んでもいいか?"という生徒会の担当の先生に"茶髪"の子で入試を満点で合格してきたという新入生を探しているそうだ。しかし、私とは"茶髪"という共通点以外は違う事ばかりだったので、自分ではない上に内部入学ではないため、誰が茶髪なのかが分からなかった。
「すみません、分からないです。力になれず申し訳ありません。茶髪っていうことしか私に当てはまってないので絶対に私ではないですよ」
という事だけを伝えておいた。すると、
「大丈夫、大丈夫だ。わざわざ僕の話を聞いてくれてありがとう」
そう言って、緑川先輩は去って行った。因みに、「一年生の集合場所は確か教室に変更されてるはず」、「校舎前の掲示板の表を見てクラスに向かう」と言っていたので、まずは校舎前に向かうべきですね。
って...!?始業まで後五分しかない!?緑川先輩とのお話が楽しくなりすぎて時間がっ...!緑川先輩は大丈夫ですかね...そう考えながら校舎の方へと走った。途中から同じスピードで後ろから足音が聞こえてきたので、後ろへ首だけ回すと私と同じように走っている人を見つけた。校章が付いていないところをみると、同じ新入生のようだ。
「大丈夫?」
と彼女に走るスピードを合わせながら訊くと、
「そ、その...大丈夫じゃないです...!校舎の入り口が分からなくて...!」
「私は何とか校舎の入り口が分かるから、一緒に行こっ!!」
と私が言うと「はいっ!ありがとうございます...!」と一緒に行くことになった。やっぱり初日だからか一人で行くよりかはj二人で行く方が安心出来た。
一分は走り続けただろうか...?よく分からないが、何とか校舎の入り口に到着することが出来た。
掲示板の表を見ると私は――その時、
「二組っ...!」
という小さい声が聞こえた。
私は――二組。同じクラスだという事実が判明した為、
「同じクラス同士よろしくね!」
と言ったが彼女に私が言うのを忘れていた為、彼女は知らなかったようで
「そうなんですか!?よろしくですっ!」
と驚いていた。
校舎に入って教室に行こうとしたのだが、私達の運が悪いのかこの学校の一年生の教室は四階で時間がかかる。一分、また一分と時間が過ぎていく――
息を切らしながら二組の前へと私達が着くと私と彼女ともう一人の誰か以外は全員教室の席へと着いていた。
「おはようございます」と言って教室へと入ったが担任の先生だと思われる先生に「もう少し早めに来なさい」と二人まとめて注意された。
席へと移動するために黒板に掲示されている紙を見ると彼女と私は席が隣同士のようだった。席にお互いが着いた時、彼女が小声で
「間に合って良かったね」
と言った。「そうだね、初日から遅刻しないで本当によかったよ」と気の利いた返事の出来ない私はそう言った。今回、遅刻しそうになった原因は私自身の目覚めの悪さなので、何を言い訳が出来ないからである。
そう悶々と考えていたとき、チャイムの音が鳴り響いた。