風邪に罹ると正直に
一応土鍋の中の雑炊を半分程度食べたとき、蒼花が不意にこんな質問をした。
「真奈ちゃんは...海斗君の事をどう思ってますか?」
いきなりの質問でせっかく冷ましていた雑炊をアツアツの雑炊の中に落としてしまった。
「やっぱり好きですか?」
と訊かれた。自分自身ではそういう感情がよくわからなかった。
「私は...好きという気持ちがわからない...」
すると蒼花が少しため息を吐いた。
「失くしたくない。他の人に取られたくない。大事にしたい...。こういう気持ちでも好きという事かもしれませんよ。それに心あたりはありませんか...?」
「私は...それが好きだと言えるならば蒼花も海斗の事を好きだな...って思うよ?二人共がどちらも大切な人でどちらかがもし私の元から去ってしまったら...と考えると胸がキュッってなるし」
「それは...恋愛感情なんかじゃない...!!」
――好きって...なんだろう...?
その中でも恋愛感情って?
好きって...?好きって...?
ただただ二人共と仲良くしたら駄目なの...?
「話が少しだけ逸れますが、女子も恋愛対象かと訊かれるとそうです。そこで付き合っていても全然気にはしません。ですが、相手が私の事をそういう目で見ることが出来ないと言うならば無理意地はしません。真奈ちゃんは...女子に付き合ってと言われて付き合う事は出来ますか?」
「私も付き合う事は出来るよ?」
だってそりゃ...仲良い女子に買い物行こうと言われたら一緒に付き合うに決まってるでしょ...?
「そうか...私にも可能性はある...か」
何か蒼花が言ったように感じたがハッキリと聞こえなかった。
しかし、蒼花の怒り(?)は収まったのだと分かった。先程までずっとハイライトが消えていた目には再び光が宿っていたからだ。今は私の手からスプーンをもぎ取って一心不乱に雑炊を食べている。時々熱さに耐えれず口をパクパクしているのが見ていて少しだけ可愛い。
「やっぱり真奈ちゃんの作った雑炊美味しすぎぃ...!!」
何とか食べてくれているようで安心した。大体一時間程度蒼花の家で雑炊を食べ終わるのを待ち、蒼花が雑炊を食べ終わったのを見届けて私は自分の家へと帰ることにした。
「じゃあね、蒼花は早く元気になるんだよ~」
「...明日も来てくれる?」
そう言う蒼花が可愛かったのでギュッっと抱きしめてから「明日も来るよ」と言って玄関のドアを開けた。
外へ出ると、まだ冬ではないのにひんやりとした空気が漂っていて制服の半袖を来ていて薄着だった私は震える体に鞭うちながら帰...れるわけはなく、近くを通っていたバスに乗り、家の近くのバス停で降りた。バスの中と外の気温差が大きかったため、視界の中にギリギリ入る距離のアパートへと全力疾走をして帰った。
...全力疾走が逆に寒かったのは後から気付いたことであった。




