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達磨の冒険譚 〜死んだと思ったら転生してた件〜  作者: 我が闘争
第一章 幼年期 不思議な世界編
2/10

閑話 ハードボイルドとの思い出  

「mad noble killer」

 俺たちのクルーの名前。

 貴族を軽くおちょくるくらい、日本における官僚とかの事を指すのだが、反体制な意味合いでつけられた名前。

 2002年、埼玉県や千葉県の有志が集まり結成されたクルー

 最初はArthurというラッパーと曲を作ったことがきっかけで、そこからArthurが自分の連れを連れてきてこのクルーが結成された。

 一人千葉からくるビートメーカーがいて、他は大宮から東京のクラブハウスでライブしてた仲間。

 ラッパーというのは馬鹿なもので住んでる地域が一緒だっただけで意気投合するものだ。

 まずはビートメーカー1人とmc4人で結成されたクルーから始まったものがたり。

 最初の内は歌詞をよく飛ばしてテキーラをオーガナイザーからもらっていたものだ。


 ある日、クラブの外でタバコと例の緑を吸いながらたむろしていた時だ。

 そこに一人殴り込みで俺の輪に入ってきた奴がいた。

 「お前ら、ここで俺タバコ吸ってたんだけどなに占領してんだよ」

 俺は言い返す

 「うるせえな、熊谷の田舎もんが、調子に乗ってんじゃねえぞ」

 と小馬鹿にしたような態度で嘲笑う。

 「うるせえ!だせえ音楽してる奴が評論家気取ってんじゃねえ」

 と言い殴り掛かっていきた巨漢。

 hard boiledだ。

 熊谷を拠点にしていたラッパーで決まったFLOWとガチガチにハマった詩に定評のあるラッパー。

 俺と同じ歳で、当時埼玉のクラブシーンにおいて名前は聞くレベルのラッパーで少しずつ実力を上げてきているラッパーだった。

 ただ、俺たちは少し調子に乗ってる節がありArthur以外はhard boiledに対して舐めた態度を取っていた。

 胸ぐらを掴まれた俺、ガンをつけるhard boiledに対しニヤニヤする俺。

 hard boiledに向けられた敵意。

 このドス黒い状況を彼の一言が変えた。

 「ごめんね、俺達ここで君が吸ってたって知らなくてさ」

 普通に考えてこれはhard boiledが悪いことだ。

 トイレに行ってたのか知らないが、先に座ってたどうこうで人に突っかかるのは迷惑以外の何者でもない。

 俺たちが強引にhard boiledの場所を奪ったのなら話は別だが、この場合、hard boiledが席を譲るべきだ。

 それに対しArthurは謝罪したのだ。

 hard boiledは手を離す。

 

 俺は訳が分からなかった。

 「おかしいだろ、Arthur!!こいつ変なイチャモンつけた上に俺の胸ぐら掴んだんだぞ」

 するとArthurはこう主張する。

 「確かに俺たちは変なイチャモンをつけられた、それは事実だ。

 でも、それで舐めた態度を取ったらイチャモンつけてくるやつと同類だ、俺たちはトップいくんだろ?こういうところで周囲の信用って決まってくるんだぞ、今回のオーガナイザーにも同じ態度取れるのか??」

 「それとこれとは話が違うだろ。大体なんでそこでオーガナイザーの話が出てくるんだよ」

 「違う、話の本質を見抜け、相手に敬意を持って接しろって言ってるんだ。別に俺はペコペコしろとは言ってない。これが理不尽なことでも耐えなきゃいけないことだってある。

 攻撃的に相手に接してる俺たちを見て周りはどう思うよ?

 しかもタバコごときでだ」

 「はん?ならタバコごときでキレてるこいつの方がどうかしてるだろ?

 俺等がここ占領して邪魔しましたとか知らねえよ」

 するとArthurはため息をつくようにこう言う。

 「落ち着けよ、俺はhard boiledのやったこと全てを許すなんて言ってない、ただ俺達にも不覚があった。それに対して謝罪しろって言ってるんだ。」

 「そう言うことかよ、あーあーすいませんでした」

 俺はそれでも舐めた態度を取る。

 ただ少し分かりづらい気もするから、そうならそうと言ってくれよ。

 Arthurは煙草をポケットにしまいこう言う。

 「この件に関してはウチの若造が申し訳ない、それは謝ろう。

 喫煙所を占領したことも済まない、普通に迷惑だっただろう。

 ただ胸ぐらを掴んだ事については謝ってもらう、流石にすべてこちらが悪いとは言えない」

 するとhard boiledは申し訳なさそうにこう言う。

 「あんたの仲間に胸ぐら掴んじまったのはすまなかった、別に占領されたくらいならまだ良かったが、どうしても地元を馬鹿にされたのとナメられたのが気に食わなかったんだこの通りだ」

 「いいよ、別にそれくらいのこと。気にしてたらキリないさ、それより地元愛してるんだな。

 地元馬鹿にされたくらいで殴るラッパーなんてそうはいないよ」

 「あん??」

 「違う違う、君は君が馬鹿にされたことじゃなくて地元を馬鹿にされたことに腹を立てたんだよね??」

 「そうだよ、何が悪いんだよ」

 「全然悪いことじゃないよ、むしろそこまで地元を誇れるんだろ。かっこいいじゃないか」

 「ああ、いい街だ、熊谷は大宮に住んでるシティーボーイに良さがある」

 「俺も東京の奴らに同じこと思ってるよ、少なくともこいつ以外は」

 と笑った顔で俺の方を見てくる、クソ覚えとけよ!!

 するとArthurはにこやかな顔でこう言う。

 「どうだ、今度曲でも作らないか、俺は君みたいにラップは上手くないけど、誰よりもhiphop

に対して情熱をもってやってるつもりだからね

 君みたいに熱いやつには興味がある」

 するとhard boiledはこう言う

 「人に何か頼むときは態度ってもんがあるんじゃねえのか?まあ悪い気はしないが」

 「そうか、ではよろしければですが」

 「面白そうだ、乗った」

  そこからhard boiledとは仲良くなった。

 Arthurはなんだかんだでいい奴だ、礼儀もしっかりしていて、俺たちのリーダー的な存在で兄貴分。

 年は2個上でおっとりした性格、ラップスキルはそこそこ。

 それでも彼の元には不思議と人が寄ってくる。

 説教は怖くはないがネチネチしていてうざい、だけど愛がある。

 だから俺も不思議とついていきたいとなるし、Arthur含めここでタムロしているのだろう。

 hard boiledはArthurに非常に懐くようになり、気づいたらクルーの一員になっていた。

 相変わらず俺とは喧嘩ばかりだったがな。

 

 でもいい友だったよ。

 お互い同じようで違うスタイル。

 俺は同年代の11jackとか先輩のkic boyみたいなフロウで遊び入れるスタイル。

 hard boiledはとにかくリリック第一主義、基本的なリズムキープと発声に定評があるスタイル。 

 お互いそのスタイルに特化してたのもあり、お互いの良いところを吸収して良い曲を作っていった。

 本当に楽しかったよ。

 クラブは夜も寝ずに遊びまくって、気に入った女を持ち帰る。

 何もない夜はArthurの家に遊びに行って曲を作る。

 メンバーと馬鹿騒ぎしてアパートの管理人に怒られたのも思い出だ。

 一緒に悪いこともしたけど、それも楽しかったよな。

 売れてからもそれが続いてずーっと続くんだと思ってたよ。

 

 なのに、何やってんだよ。

 Arthurが消えてからかな。

 本当に些細なことだったじゃないか。

 ラッパーならメロディーはいらないとか、変な乗り方するなとか言われたな。

 俺もお前にクソつまんねえ曲書いてるやつがうるせえとか言ったこともあったなあ。

 別にさあ、お前と喧嘩別れするくらいならお互いにとってどうでも良かったんじゃねえのか?

 初めてタバコどうこうで喧嘩した時と一緒さ。


 俺はなんとか持ち直したけど、クソみたいにヨレやがってよ。

 たまには連絡よこせってメールでお前に送っただろうが??

 俺逝っちまったらお前に会えると思ってたけどさ、今死ぬほど後悔してるんだよ。

 お前が妻とか娘とかそれと同じくらいに大切でかけがえのないダチだったんだ。

 悔しいよ、なんで先に逝っちまうんだ、せめてなんか連絡よこせよ。


 Arthur消えたけど生きてたよ、お前と違って。

 とある一件でヤクザに追われてたけど、あいつは強かった。

 お前が一番メンタル強かったのに何やってんだ。

 俺がボロボロになりそうなとき叱ってくれたのはお前だろ?

 

 寂しいな、俺は今一人だ。

 前世は沢山の人に囲まれてたけどすげえ孤独を感じるよ。

 これから良くなるかもってか?こんなおかしな世の中だぜ。

 せめてお前がいりゃあ俺もこの世界くらい充実して生きれるのになあ。


 「寂しい…」

 前世の言語を久しぶりに話した気がする。

 この狭い部屋の中、メイドに抱えられながら、うっすら昔の事を思い出していた。

 ホームシックってやつか、なんか寂しいな。

 

 俺は窓辺の木漏れ日を眺め、涙を流し眠りについた。

異世界の神話の人物でデゥデラという神がいるのですが、彼は一度滅んだ何もない真っ黒な世界に命を与え、再生の神として君臨しました。

その神は炎、雷、水、風、光、岩、音というマナをばら撒き星を作り上げ、その中の一つの星に、命を誕生させ、草というマナが生まれました。

マナを与えるものを属性神として、宇宙空間に召喚しました。


宇宙にはマナが満ちその結果。

そしてマナは生まれた生命に力を与えるという風に仕向け、知恵を使う人間という生物が生まれました。

その中でマナと強い因果を持つものは魔族として姿を変えました。

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