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碧い目の男  作者: 金平糖
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あの壮絶な出来事から数年。

ピシピシと枝を伸ばしたひびは確かに私をハートブレイクさせた。

それからというもの、転がり落ちるように人生が立ち行かなくなった。


もう人なんか信じない。


いつしか引きこもりの生活へ。

服を選ぶのも億劫になり、外出の時は全く同じ服で出歩くようになっていた。

ストンとすぐ着れてそこまで色も派手じゃない、北欧柄を一部あしらったパーカーワンピ。

それが今の流行とかけ離れていたとしてもどうでもいい。どうせ、誰も見ていない。


そうして必要最低限の物を買うために、必要最低限の数だけ外出する日々が続いていたある日、ゴミ置き場の前を通り過ぎようとした時だった。


「マリメッコの○○さん」


はっとして、地面から視線を上げて振り向くと、ゴミと一緒に男が捨てられていた。


「えっ」


あ、やばい人だ。

無視して通り過ぎようとした時、慌てて言葉の追撃を受けた。


「待って。」


「…?」


戸惑った。

何が目的なんだろう、宗教勧誘?ナンパ…はないだろうけど。


「そんなに警戒しないで、人間観察が趣味なだけだから」


…何それきもい。

例えそれが本当だったとしても、何ら接点もない人間の苗字まで把握しているのは犯罪の匂いしかしない。

やっぱり無視しよう。

というか、人間観察が趣味というやつに碌な奴はいない(偏見)。


しかし私は困った事に、足を止めてしまっていた。

その男の瞳の美しさに心を射抜かれたのだ。

男の瞳は、曇り空の下のゴミ置き場という無彩色を引き立て役に、一際輝いて見えた。

ブルーともグリーンともとれぬ複雑な寒色だった。

視覚情報というのは強烈で、悲しいかな美しい物を無条件で受け入れてしまうらしい。


「何ですか。」


それが全ての始まりだった。

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