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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

俺は君を裏切った、今更気付いてももう遅い。

作者: レイオン

初投稿なので至らないところもありますが、最後まで読んでいただけると幸いです。

俺は、夏川影治。

いわゆる陰キャって奴だ。

でも別に虐められている訳でもないし、

ボッチって訳でもない。


俺の事は良いだろう。

俺には女の幼馴染がいる。


彼女は、日向葵。

今教室の女子グループの真ん中で笑っている少女。


クラスの中心的な人物で、誰にだって分け隔てなく接する人格者だ。

それに留まらず、テニスでも全国大会に出場して、部活を引っ張る程の運動神経もある完璧少女である。

こいつが男だったらラノベ主人公だろう。


葵のことを見ていたら相手も気付いたみたいだ、

手を振って微笑みかけてきた。


俺も少し小っ恥ずかしがりながらも手を振り返す。


「おうおう!今日もお二方はラブラブだねぇー!」


コイツは、都宮裕人。通称ヒロだ。

中学からの腐れ縁で毎回同じクラスだ。

名前もトミヤとナツカワで毎度席も前後で、

班も一緒、自ずと仲が良くなるって訳。


お調子者だが、弁えるところは分かってる。

そこそこ顔も整っていて、明るいからモテそうだが、

うちの女子の趣味ではないようで全くモテない。

関係無いがサッカー部エースだ。


このからかいもいつもの事だからもう慣れた。


「はいはい、そんなんじゃねぇよ」


「大体、俺と葵じゃあ釣り合わねぇーよ」


俺がそう言うと少し葵が不機嫌になった気がしたが、

何か女子たちで嫌な話でもあったのだろうか?


「んなこと無いと思うけどねぇー?」


この否定もいつもの事だ。


「それより今日は英語の小テストだけど、

ヒロは勉強してあるのか?」


「げぇぇ!やっば!頼む教えてくれぇ!」


ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•


キーンコーンカーンコーン


「よーしっ!部活だぁー!頑張るゾォー!」


今日もテニス部のエース様はやる気満々だ。

因みに俺は帰宅部だから、誰よりも早く帰宅する事に闘志を燃やしている。


「おーい!エイジ、先週末試合で今週オフだから一緒に帰ろうぜ!」


「お、珍しいな、オーケー。ついでにどっか寄ってくか」


「あー!ズルいぞー!私もエイジと帰りたいのにぃー!」


「ハハ、また今度な」


「じゃあ来週の私の誕生日には一緒にかえってもらうからね?」


「他の友達と祝わなくていいのか?」


そう、幼馴染とはいえコイツはクラスの中心人物。

誕生日を共に過ごしたい友達も多いだろう。

俺は気を遣ってそう言った。


「……エイジじゃ無いと意味ないよ(ボソッ)」


「ん?なんか言ったか?」


「なっ、なんでも無いよー!それより約束だからねー!」


「分かったよ。水曜日、約束な」


「やった!」


何が嬉しいのか分からないが、まぁ喜んでいるなら良しとしよう。


学校から出て駄弁りながら、ヒロと歩く。

帰り道の最後の分かれ道の前でヒロがいきなり、


「エイジ、お前日曜空いてるか?」


と聞いてきた。


「おう。空いてるぜ。帰宅部陰キャを舐めんなよ」


「ならちょっと付き合ってくんねぇか?」


「ん?何に?」


「いや合コンをするんだけどよぉ、、、メンバーが一人法事で来れなくなったんだよ」


「でも女の子たちも俺みたいな陰キャが来ても、

嬉しくねぇだろ、、、」


「んな事ねぇよ!お前は髪を上げればイケメンなんだからよ!なんでそんなに自意識低いかなぁ」


「まぁ、そう言う事なら行かせてもらうよ」


「ありがとよ!じゃあ明日は服を買って髪でも切りに行くか!」


「そこまでするか?」


「おう!もちろんだろ!」


「分かったよ。じゃあ明日な」


「おう」


ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•


服も買って、美容院に行き髪も随分短くなった。

と言っても、ヒロからすればまだまだ長いらしいが…

もうすぐ夏だと言うのに少し肌寒い時間になっている。


「いやぁ、やっぱ予想通りだな。お前は髪を整えるだけで随分とイケメンになったな!」


「そうかなぁ?」


「俺が言うんだからそうなんだよ!」


「そう言うもんか」


「そう言うもんだよ」


そして二人で帰り道を進んでいく。

するといきなり、ヒロが、


「おっ、あれ葵ちゃんじゃね?」


と言い。近づこうとしたあと

だがその前に、隣にイケメンがいる事に気づいた。

葵も何やらウキウキして恋する乙女の様な顔だった。


何かモヤモヤした気分が胸の中を埋め尽くす。

このモヤモヤが何かは分からない。

でも、とりあえず気持ちのいいものでは無い。


「待て…ヒロ、隣にイケメンがいるしデートだろ…

そっとしておいてやろうぜ」


「え?いや?でもアイツはお前のことが…」


「何言ってるか分かんないけど、とっとと行くぞ!」


ヒロが何か言っていたが、それよりもなんでかは分からないが一刻も早くここから離れたかった。


ヒロも俺の剣幕にビビってか、


「あ…あぁ…分かった」


と頷いた。それから俺たちはその話題は避けつついつも通り帰った。


なんだろうこのモヤモヤは……


ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•


翌日、まだ心のモヤモヤは晴れないが、合コンに変な気持ちで参加するのも失礼だ。切り替えよう。


という訳で男子の集合時間5分前に着く。

そこには俺以外のメンツはもう揃っていた様だ。

男子は俺含めて五人の様だ。

皆んなはお前誰?みたいな顔をしていた。


まぁ、俺みたいなクラスの端の方の陰キャなんて覚えてないか。


「わりぃ、遅れたわ」


「ハハ、別に遅れてねぇだろ。コイツらが張り切りすぎて早いだけだよ。エイジは真面目だなぁ」


「お前、もしかしてだけど。夏川か?」


おっ。俺の名前を覚えていたらしい。

なら何故俺が分からなかったのだろう?


「いや髪切ったらこんなにイケメンなんだなお前」


成る程、髪を切ったからか。

納得したところでちょうどヒロが、


「よし、みんな揃ったし店向かうか!」


と言った事によって、みんなで店に向かう事になった。



店に着くとまだ女子はついていない様だった。

どうやら女子を待たせないために、男子は前もって集まる事になっていたらしい。


15分ほど待つと女子たちがやって来た。


「お待たせぇ!」


「お待たせなさい」


と次々と女子が入ってくる。

その中に知った顔があった。


「お、アキネじゃん!」


美波秋音、彼女は葵の親友で、面倒見が良く。

周りから頼られるタイプだ。


「あれ?ヒロから聞いてないの?この合コン私とヒロが幹事だよ?」


「そうだったの?」


ジィーとヒロを見つめる。


「あれ、言ってなかったけ?」


「言ってないよ一ミリもぉ!」


「スマンスマン。でもあんま関係無いだろ?」


って感じで合コンは始まった。


僕の前に座った女の子と話してみたら思いの外趣味が合い、意気投合したと。


「○○って凄く××ですよね!」


「そうそう!しかも、☆☆なところもあるよね!」


「分かります!それに、、、、、、」


いつの間にかモヤモヤした気持ちの事は忘れていたし、

話していたら楽しかった。

これが恋なのかなぁとか思いながら時間を過ごした。


周りもみんないい感じみたいだった。

そして合コンは終わりを告げる。


「それじゃ今日はみんな集まってくれてありがと!」


それからは各自、ホテルに向かう者や、次の約束を取り付ける者など、さまざまだった。


「ねぇ、エイジくん。よければ来週、二人で合わない?出来れば水曜日!」


「全然オッケーだよ!」


俺はその時浮かれていたし、帰宅部だから予定も普段入っていないこともあって安請け合いした。

その日が、葵の誕生日であることも忘れて、、、


ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•


水曜日になった。

俺は朝から浮かれていたから、葵の様子がいつもと違う事にも気づかなかったし、授業にも身が入らなかった。


「ちょっと待ってよー!」


放課後、教室を急いで出ようとしたところで葵に呼び止められた。

正直、その時俺は急いでいたし、この前のモヤモヤした気持ちも思い出し、少し苛ついていた。


「何だよ、今から俺は遊びに行くんだけど。大した様じゃ無いなら後で聞くから」


と言うと、葵はかなりショックを受けた様な顔をして、

押し黙ってしまった。


俺は葵が何も言わない事に痺れを切らし、何も聞かずにその場を離れた。

その時の葵の顔が脳裏に、焼き付いたまま、、、


その後の約束も、モヤモヤした気持ちが晴れる事なく、

ずっと上の空で、


「ねぇ、エイジくん?ちゃんと話聞いてる?」


と言われてしまった。

そのまま約束は有耶無耶な感じで終わり、ふとスマホを見て、今日が葵の誕生日だったことを思い出した。


随分酷いことをしちゃったな。

謝りに行がないとな、、、


葵の家の近くに行くと、葵の親が大慌てで、出かけようとしているのが見えた。


「どうしたんですか?」


「あっ、あぁエイジくんか。丁度いい、事情は車の中で話す君も乗ってくれたまえ」


勢いに乗せられ、車に入る。

そして葵のお父さんが辛そうに語り出す。


「実は葵が、帰り道に事故に遭ったらしい。今は意識不明の重体らしい。まず助かる見込みはないとの事だ」


「っ…」


その言葉を俺は最初、理解できなかった。

いや、したく無かったんだ。


そこから道中は無言だった。

何故、事故に遭ったのか?とか、

どうして俺も一緒に連れて行くのか?とか、

疑問は絶えなかったが、俺は一言も発することが出来なかった。


そして病院に着くとそこには、アキネの姿があった。

彼女は泣いていた。


それでも、葵の親が着くと、泣き止み彼らを手術室に案内した。


俺は何故、葵が事故にあったのかを尋ねた。


「ゔぅぅっ、、あ"お"い"はぁ、貴方と帰れなくて泣びでいで、前が見えずに、赤信号をわだって、轢かれたのよ、、、、、」


俺はその言葉に先週のことを思い出した。

でも、俺と帰れなかった程度でなんでそんなに悲しむんだよ、、、


「葵は、貴方のことが好きだったのよ、、、」


俺はその言葉を理解できなかった。

だって前アイツはあのイケメンと仲良くデートしていたじゃないか?


何も分からない。

頭が真っ白になる。


でも今はただ葵が生きてくれることだけを願っていた。





そして、数分かもしかしたら数時間か分からないが、

医者が来た。

葵の父が、


「葵は!葵はどうなったんですか⁉︎」


と尋ねる。俺は医者が一命を取り留めましたと言ってくれることを期待した。


だが、放たれた言葉は残酷だった。


「残念ながら娘さんは………」


と言葉を溢し、首を横に振った。

そこから先のことは覚えていない。

どうやって帰ったのかすら覚えていなかった。


気付いたら部屋にいた。

頭の中にはずっと葵の顔が浮かんでいた。

いつもの活発な表情、

嬉しいことがあった時のヒマワリが咲く様な笑顔、

悔しい時の唇を噛み締めた顔、

照れた時の可愛らしい表情、

そして、さっきのとても悲しそうな顔。


思い出した瞬間、涙が溢れ出て来た。


……………………………………………………………………………



今俺はビルの上に居る。

あれから一ヵ月が経った。

もうすっかり季節は夏になっていた。

ヒマワリの咲く季節だ。


あれからの俺は無気力の一言だった。

親友の二人は励ましてくれた。

だがその言葉も、俺には届かなかった。


今更、あのモヤモヤが嫉妬だと気付いた。

それに、葵の親から、葵の日記を渡された。


日記には赤裸々な彼女の想いが綴られていた。


例えば、


『今日は、エイジと誕生日に一緒に帰る約束を取り付けられた。凄く嬉しい。エイジは鈍感すぎるから、私の誕生日に、告白する事に決めた。それに、彼氏持ちの先輩が明日コーディネートの方法を教えてくれると言っていた。これで絶対エイジをおとすんだから。』


とか、


『今日は先輩が色々教えてくれた、ファッションから、オススメの告白の仕方とか、それに、はっ、初体験の注意まで教えてくれた。そんなとこまでまだするつもりはないのに…でもエイジがしたいって言うならやぶさかでもないけどね!それとエイジのことを考えていたら顔が浮かれすぎだと先輩に笑われた。ムゥ〜」


などと俺への思いが強く書かれていた。


これを読んで俺は自分の勘違いを知った。

まさか彼氏だと思ったらただの同性の先輩だったらしい。


俺はなんてクソみたいな人間なんだと自分に嫌気が刺した。


ハハ、まさか葵と両片思いだったとはね、、、


もう叶うことのない恋を脳裏に俺は、飛び降りた。


下に咲いたヒマワリが、葵の笑顔を連想させる。


今から俺もそっちへ行くよ。待っていてね、、、葵


ヒマワリが風に揺られ葵が返事をしてくれたかの様に感じた。


ふわりとした感覚、そして数秒後、衝撃。

目の前の多くのヒマワリと血溜まりを最期に、

俺の意識は途切れた。




















御読了頂きありがとうございました。

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[一言] はじめまして、バッドエンド宣言された物語が好きな変態です。 すれ違い、不幸、悲しみ、死。 後悔の言葉はタイトルに。 何事もなければもしかしたら笑い話かちょっとした不和の種で済んだかもしれ…
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