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第2話 生存者達
停止したエレベーターから出た者達は、暗い表情を地面に向け、俯くしかできなかった。
もう一度エレベータを動かして戻るという事はなかった。
絶対に間に合わないと分かっていたからだ。
その証拠に、エレベーターはいつまでたっても、少し前まで彼等がいた階へ向かおうとはしなかった。
全員が助かる選択などなかった。
彼等は、神でも魔法使いでもヒーローでもないのだから。
これから先ここにいる者達は、決して忘れる事の出来ない苦しみを背負っていくだろう。
その痛みを和らげることができるか、忘れる事ができるかは、この時点では分からない。
彼等にできるのは生きていく事だけ。