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大切な人を一人だけ見捨てて下さい  作者: リィズ・ブランディシュカ
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選択肢3 恩人を見捨てる



 悩んだ末に、俺は恩人を見捨てる事にした。


「そんな馬鹿な事が。君にとって俺はその程度の存在だったのか?」


 彼は、とてもショックを受けているようだ。

 しかし、これが一番まともな判断だと思う。


 彼には申し訳ないけれども。


 彼はこれまで、一緒にいた家族でもない。


 これから一緒にいるだろう人間でもない。


 一番の赤の他人だ。


 だから、この中で切り捨てるなら一番心が痛まないはずだ。


 恩をあだで返すのは心苦しいが、こうするしかなかった。


 許してくれ。


 そう言いながら俺は、さよならを告げてエレベーターのボタンを押した。


「あなたのおかげで会社は持ち直す事ができた。それは忘れないよ」



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