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大切な人を一人だけ見捨てて下さい  作者: リィズ・ブランディシュカ
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第1話 一人だけ



 大切な人を一人だけ見捨てなければならない。


 困ったな。


 俺は、どう選択しようか迷った。


 俺達はとある建物の、上階にいる。


 けれど、今すぐにエレベーターに乗って、この建物から脱出しなければならない。


 のこされた時間はわずか。


 今、このタイミングでこの階から脱出しなければ未来はないだろう。


 けれど。俺達全員は乗る事ができない。


 業務用らしきそのエレベータの中には、仕事に使うらしい重い荷物が鎮座していて、どかせそうにない。


 だから、一人を見捨てなければならなかった。


 迷っている時間はない。


 早く決断しなければ。


 この建物に侵入してきた危険な存在がここまでたどり着いてしまう。



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