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「その双剣で作るのね。」


 いつの間にか隣で見ていたリーナが不思議そうに呟く。


「あぁ、この双剣はこういうものを削ったりしても刃こぼれ一切しなくてな。おかげでこうやって何処でもアクセサリー作りができる。」


 そう言いながらも削って形を整えていく。特に面白くもないだろうに、リーナはジッとその様子を見ていた。


「器用なもんね。私には絶対無理だわ。」


 俺からしてみたらスピアで薪を割る方がよっぽど器用だと思うが。


「やっぱり彼女に手作りアクセサリープレゼントしてたの?」


「んなわけあるか。彼女なんていたことないし、告白どころかモテたこともない。」


 何を悲しい告白をしているのか。事実とはいえ、言葉にすると凹むものだ。

 できればあまり突っ込まれたくない話なのでそのまま話題が途切れることを願うが、こちらの気持ちなど知らないリーナはここぞとばかりに質問攻めをしてきた。


「その顔で彼女できたことないって、フィンって実は相当理想高かったりするの? 歳下はダメとか、ロングよりショートとか、巨乳しか認めないとか、可愛いより綺麗とか……。」


 リーナの中の俺面倒臭すぎるだろ、と流そうにもやはり女性は恋バナが好きなのか、逃げられる雰囲気ではなかった。

 とりあえず適当に答えつつアクセサリーを完成させてしまうのが良さそうだ。


「別に理想なんてないし、彼女になってくれる子がいるならこっちからお願いしたいくらいだ。そういうリーナはいないのか、彼氏。」


 そう聞くとリーナはわかりやすく顔を赤らめ、えっとかあっとか言っている。あんなに俺にはマシンガントークで聞いといて自分は聞かれるとここまで動揺するのか。

 その様子を見ながらアクセサリーの最終調整に入る。鉱石の加工はこれくらいで十分だが、バレッタの部品も綺麗にしておきたい。

 水魔法で出した水で少し洗いながら、鉱石とバレッタをくっつけていく。うまくカチッとハマればいいのだが。

 実はバレッタって作ったことないんだよなぁ、と今更ながら不安になっていると、少し落ち着いたらしいリーナが口を開いた。


「私だって彼氏いたことないし……。その、気になってる人はいるけど……。」


 そう言うと恥ずかしそうにリーナは俯いた。普通に暮らしていたらこれくらいの年齢の女性ならそりゃあ気になる人もいるだろう。


「そうなのか。どんなやつなんだ?」


「イケメンで優しくて強くて器用でそばにいると安心する。」


「凄いな、ルキみたいだなそいつ。」


 そんな完璧な人間、ルキくらいなものだろ。顔はそこらの女性なら簡単に虜にしそうなくらいイケメンで、優しいところもあるし属性なんでも使える強さもある。狩った動物を捌く器用さもあるし安心感もすごい。

 ルキはモテるだろうなぁと前も思ったが、改めて考えてもモテる要素しかなくて妬いた。


「ルキじゃなくて! そ、それよりアクセサリーどうなのよ!」


「あぁ、今できたところだ。ほら。」


 そう言ってリーナに渡せば、綺麗な花が咲いたかのように笑って。バレッタをいろんな角度から見て楽しんでいる。


「すごく綺麗! 本当にありがとう! ねぇ、フィンがつけてよ。」


 リーナはそう言って立ち上がった。

 再び俺の手に戻ったバレッタに、仕方ないなと後ろに回りリーナの髪を触る。全部纏めるよりも、左右の邪魔になりそうな部分だけ後ろで纏めた方が可愛いだろう。

 風呂入ってないのに女性の髪ってこんなに綺麗でサラサラなのか、と少しドキドキしながらバレッタでとめて正面に戻った。我ながらこれはリーナによく似合っていると思う。

 可愛いな、と思わず頭に手を伸ばして髪を撫でていると、リーナはまた恥ずかしそうに顔を赤くしながらこちらを見つめてきた。身長差から上目遣いになるそれは凄く可愛いのだが、少し心臓にも悪い。

 思わず撫でてしまったがこれはここからどうするのが正解なんだ。恋人同士ならここから自然とキスとか、そういうことをするんだろう。だがリーナと俺は付き合っているわけではない。

 一体どうしたらいいんだと固まっていると、すぐ近くでガサッという音とともに聞き慣れた声が聞こえてきた。


「あーくそ、もうちょいでキスするかと思ったのに。」


「あと一歩がまずかったわね〜。」


「リーナだけずるいよー!」


 声の方へ顔を向けると一体いつから帰ってきていたのか、狩りに出かけた3人がこちらをジッと見ていた。

 それに気づいたリーナは急いで俺から離れると、ちょっと顔を洗ってくるとだけ言って川へ向かって走って行ってしまった。


「追いかけて続きをしてきてもいいぜ? オレもついてくけど。」


「お姉さんこういうのに飢えてたのよね〜。遠慮せず追いかけていいわよ?ついてくけど。」


「いや続きってなんだよ。仮に続きとやらをするとしても見られてたまるか。」


 そんなことより早くご飯作ろうぜ、と俺は少しだけ赤くなった顔を隠すように調理にとりかかった。何をしているんだ、俺は。


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