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超高校級リアル野球伝説  作者: 豆の木枝豆ボーイ
1/1

伝説の始まり

野球にわかなんでガバガバルールでも許してちょ

岡山の北東の山奥にある小さな新設校、ここは近年野球部の強さがウリで有望な新入部員が集まっていた。


1年生及び、非レギュラー部員への指導はサードの山田に一任されていた。

山田「貴様らぁ!腑抜けたプレーばかりしていると適正選抜テストに落ちるぞぉ!卒業までスタンドにいたいのか!」

1年に1度、1軍メンバー入りをかけた選抜テストが6月に行われる。

ピッチャー、キャッチャー、ファースト、セカンド、サード、ピンチヒッターの6つのポジションしかこの高校には存在しない。

どのテストにも合格できなかった者は「スカイラブハリケーン部隊」と呼ばれ使い捨てられる。彼ら個人に名前は無い。背番号は50番以降に割り振られ、番号で呼ばれるのだ。


6ポジションのうち、サード以外のポジションのテストに合格し、スタメンもしくはベンチ入りを掴んだ者には破格の待遇が与えられる。

サードは非レギュラーの指導も行うのだ。


6月の選抜テストも終了し、新入部員の半数近くが退部した。

県予選初戦まであと2週間だ。

甲子園を目指すためには県大会を優勝しなければならないのだが、今年は岡山が開催地となっているため準優勝でも甲子園に行くことができる。

前年度県ベスト4でもある彼らの練習の激しさは日を追うごとに増していた。

顧問「初戦の相手は岡山キビダンゴ美味しい大学付属になりました」

現代文教諭の顧問から部員達にその一報が伝えられたのは、試合の1週間前だった。

彼ら通称「キビ学」は前年度県予選3位の強豪だ、格上との対戦にレギュラーメンバーは胸踊らせていた。


そして当日、試合メンバーの20人が発表された

キャプテン佐藤「まず先発ピッチャーは俺だ。それに控えに3年島田、3年杉岡、2年瀬田、2年園田。キャッチャーは3年鈴木、2年鈴鹿。ファーストは3年清水、3年服部。セカンドは3年中西、2年大久保。サードは3年山田、3年岡崎。ピンチヒッターは2年山根、1年久保だ。

あと、50番51番53番54番56番な、ちゃんとベンチでの雑用もやれよ」


このチームには顧問こそいるが、指導者はいない。

キャプテンの佐藤、副キャプテン鈴木の2人で指揮をとっていた。

ベンチでは次期キャプテン候補の瀬田と園田、そして次期副キャプテンの鈴鹿の3人が番号で呼ばれる選手たちなどに指示を出していた。


先行後攻のコイントスも終わり、いよいよ試合開始となった

審判「これより、岡山キビダンゴ美味しい大学付属 対 岡山奥高校の試合を執り行います。一同礼!」「おねがいします!」


一回表(0-0)

佐藤「この回無失点で抑えてやるぜぇ」

敵1番バッター 奥村「俺たちを舐めるなよ」

そういうと奥村はバッターボックスで奇妙な腰振りダンスを始めた

奥村「これが俺のスライド打法さ」

佐藤「ほざけぇぇ!!」

佐藤は得意のフォークであっという間に2ストライクをとった

佐藤「どうやら口だけだったようだなぁ!?」

1アウトを確信して放った佐藤の投球は奥村の左足首にミートした

奥村「いてぇ!」審判「デッドボールです。早く一塁に行きなさい。」

奥村「は、はい。すみません。(ケケケ、俺の動きが催眠術と気付けないようじゃ三流ピッチャーだぜ、ボンクラ)」

2、3番バッターを何とか打ち取った佐藤であったが、その制球コントロールはガタガタになっていた

続く4番バッターはU17の代表合宿にも定期的に招集されている一流選手である山之内だ。

山之内「ちゃちゃっと出塁させてもらいますよ」

佐藤「何クソォォ!!」

佐藤は決め球であるジャイロフォークを放った、しかし

山之内「今のあなたは回転にキレがない」カキーン

ボールが大きく螺旋を描いてとんでいく

54番、56番「いくぞ!スカイラブハリケーン」

ホームランボールでも直接回収できる伝家の宝刀スカイラブハリケーンを持ってしてもその高度には届かなかった。


佐藤「島田!あと一人は俺が仕留める!お前は肩をつくっててくれ!」

5、6番バッターを敬遠し確実に打ち取れそうな7番に対しジャイロフォークを使うことで、失点はそれ以上にはならなかった。

催眠と暑さにダウンした佐藤は一回表にして医務室送りになってしまった。


一回裏 ピッチャーは山之内(0-2)

1番バッターの清水は山之内の投球スタイルを知っていたのでバットを振らなかった。中西、鈴木もこれに続く

山之内は豪速球でバットとバッターの腕、キャッチャーの腕を破壊してしまうのだ。山之内のチームと対戦するときは、山之内が投げられなくなるまで待つか、キャッチャーのストックが尽きるのを待つしかない。

しかし、キビ学は18人がキャッチャーというチームのため対戦相手は前者の選択肢を選ぶしかなかった。


2回表 ピッチャーは3年の島田

彼は全決め球をマスターしている佐藤にこそ送れをとっているが、時速155キロのストレートをどんな体勢からでも投げられる選手だ。

8、9番をなんなく打ち取り、迎える対奥村


島田「鈴木!こいつは敬遠だ!」

キャッチャー鈴木「なにィ!」

島田は佐藤に全幅の信頼をおいていた。だからこそ佐藤にデッドボールを出させた奥村のことを警戒していたのだ。


奥村を敬遠し2番バッターを打ち取った。


2回裏

バッターは島田だった。しかし、ボールが見えない。

豪速球でも球影くらいは見えるものだ、しかし島田には何も見えなかった。スタンドに帰る途中島田は気絶した。

奥村(クク、いくら俺との勝負を避けてもダンスを見た時点で終わりなのさ)

山田と50番もなんなく打ち取られた


3回表 ピッチャーは3年の杉岡

彼のチェンジアップは常に逆光を意識した位置にあり、バッターからの視認性の悪さを追求したボールを投げる選手だ。

2、3番を打ち取り、山之内を敬遠、5番も打ち取り無難に仕事を果たした


3回裏

51番、53番、54番は無難に打ち取られたのだが、ついにキビ学の控えキャッチャーが残り2人になった。山之内が目いっぱい投げられるのは6回途中までだろう


4回表

6、7、8番を無難に打ち取った


4回裏

56番、清水、中西が打ち取られた。ついにキビ学はベンチのキャッチャーを使いはたし、レフト・ライトと後ろから順にスタメンメンバーの腕が破壊されていった。


5回表

9番を打ち取り、続くのは奥村。杉岡はマウンドにあがる前、2年ピッチャー瀬田に対して肩をつくっておくように指示を出していた。

杉岡「俺も佐藤や島田のように医務室送りにされるかもわからん。

しかし、最上級生としてお前だけでもきっちり敬遠とらんといかん。」

杉岡は奥村を敬遠した。しかし、

杉岡「うっ、来やがったぜ。瀬田!交代や!あとは頼む!」

瀬田「はい!任せて下さい!」杉岡も倒れて医務室送りとなった

瀬田は公式戦初マウンドだったがベンチから相手の苦手なコースや球種を観察していたので、なんなく2、3番を打ち取った。


5回裏

鈴木、瀬田が打ち取られたタイミングでキビ学の最後のキャッチャーの腕が悲鳴をあげた。試合途中でスタンドで応援している捨てキャッチャーたちもメンバー入りすることはできない。奥村の腕を破壊する訳にもいかないので、仕方なく山之内はゆるいボールを放った。

いぶし銀の活躍をする男山田はこれを見逃さなかった。

山田「うぉーー!!」カコン

バントで出塁に成功した。

しかし、50番、51番、53番が3人続けて全て空振ってしまい、チェンジとなった。


最終回表

瀬田は山之内に対して正面から勝負するようなバカではなかった。

無難に敬遠しようとした。しかし、一流選手である山之内の重圧に圧倒されてしまった。

キャッチャー鈴木「落ち着け!瀬田!外向きに投げればいい!俺は取ってやれる!」「はい!」

山之内「おいおい、随分内向きのボールだなぁ!!!」

見逃してくれずにホームランだった。

瀬田の心が折れた

鈴木「園田ァ!登板だァ!」2年ピッチャーの園田だ

肩は温まっていなかったが、腕が折れてバットの振れない数合わせの選手たちを打ち取るなど造作もなかった。


最終回裏(0-3)

あっという間に54番、56番が打ち取られた

清水「今日は一振りも出来てねぇ、フルスイングさせてもらおうじゃねーか!」カキーン

清水の打ったボールは山なりに飛んでいき、フェンスに直撃した。

腕がボロボロで守備どころじゃないキビ学メンバーは必死にボールを運んだが、清水に2塁まで走られてしまった。

次の打席で中西にも出塁された。

山之内「あと、1人打ち取れば勝ちなんだ。なのに、なんだよコレは」

奥村がかけよってきた

奥村「ここで負けたら意味がない、俺の腕潰せ」

山之内「テメエに指示されずともやるに決まってんだろ!カス!」

山之内「あと1人だ!あと1人」

鈴木「俺が打たれたら、佐藤や島田に顔向けできねぇ」

一球目、審判「ストライク!!!」

二球目、審判「ストライク!!!!!」

運命の三球目

鈴木「何がなんでも当てる!」

山之内「これでトドメだ!」

鈴木「うおおお!」カスッ

鈴木のスイングは山之内の投球にかすり、キャッチャー奥村のミットに当たりその下をすり抜けた!

バットが溶け、腕から尋常ならざる痛みがする中、力を振り絞って鈴木は出塁。清水もホームインした。

鈴木は腕を負傷したため、代走は1年久保が請け負った。

山之内「俺のボールが打たれた……、嘘だろ。プロの親父すら打てなかったんだぞ」

審判「キミ、早く次の球を放りなさい」

言われるがままに放心状態の山之内はボールを投げたが、一向にストライクゾーンに入らず、あっけなく園田を出塁させてしまった。

山之内「もう僕の投げる球に意味なんかないんだ…」スカッ

山田「俺様が今からホームランで英雄になるから意味あるだろうがよおぉ!!」カキーン

綺麗なホームランだった


審判「今日の試合は5-3で岡山奥高校の勝ちです!礼!」

「ありがとうございました」

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