表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回復魔法は禁忌指定です  作者: 鳴座
第1章 回復魔法は如何ですか?
2/33

第1話:銀の魔法使い

 目が覚めたら、そこは雪國であった。

 ということはなかった。


 目が覚めると、木目調の天井が視界に入った。

 常識的に考えて、病院であろう。

 なんとか助かったらしい。あの状況から対したものだと、我ながら思う。


(しかし、木目調の天井が広がる病院とは、なんとも和風だな…)


 なんて考えなら体を起こした。

 体を起こして、違和感に気付いた。

 こういう状況で、体に繋がっているであろう点滴のチューブやら、心拍数を測るコードやらがない。

 さらに言えば、包帯すら巻かれていない。

 というより、体が全く痛くない。


 落ち着いて周囲を見渡す。

 すると、窓際に置かれた俺の座るベッドのちょうど対角線上に、その人物が座っていた。

 白いローブのようなものを羽織っているその人物の雰囲気は、少し医者のようにも感じる。


 何やら、机に向かって書き物をしているらしい。

 随分と集中しているのか、こちらに気づく気配もない。


「あの…」


 良かった、ちゃんと声は出るみたいだ。

 不思議と喉がカラカラなんてこともなく、ちゃんと声がでてくれた。

 今度はもう少し強めに呼びかけてみる。


「あの…!」


「生憎と、私は医者ではないよ?」


「…!?」


 こちらを振り返ることのないその人物から、声が返ってきた。

 どうやら、本人曰く医者ではないらしい。


 そこからまた、沈黙の時間が訪れてしまった。

 なんだこの状況は…一体どうしようか?

 まて、まずは落ち着いて考えるんだ、俺。

 目の前の人物のことは、一旦置いておこう。


 記憶を整理するんだ。

 俺は信号待ちをしていて、暴走した車が突っ込んできて、それで…


「それで、死にかけたところをこの私に助けられた…というところだな」


 再び机の方から聞こえてきた声に、俺はギョッとした。

 コイツ、俺の心でも読んでいるのではあるまいか?

 と、思うような的確な言葉…


 ゴクリと生唾を飲み込む。

 あちらの方も書き物が終わったのか、椅子に座ったまま軽く伸びをしている。

 そして、伸びを終えると俺の方を向きニッと笑った。


「まあ、君とはあと70時間ほどの付き合いだか、仲良くしようじゃないか?」


 徐に、俺の座るベッドの近くにまで近づいてくる。

 不思議と危険だとは思わなかった。

 この人物の醸し出す雰囲気ゆえだろうか。


 なんて考える俺を見下ろしながら、その人物は尊大に言い放った。


「まずは自己紹介をしようかー私は魔法使い。この世界で使える人間が2人といない、〈銀の魔法使い〉だ」


 白銀に揺れる髪が、日の光を反射して輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ