表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゾンビなJKの異常な日常  作者: 結愛りりす
エピローグ
18/18

エピローグ

 天正十年六月二日。

 燃え上がる本能寺で、その男は自害しようとしていた。

 蘭丸はその男の元へと急いだ。

 天下統一まであと少し。ここで散るべきお方ではないと信じていた。

「殿。お迎えに上がりました……」

 男は蘭丸の様子を見て既にこの世のものではないことを見抜いた。

「人を捨てたか」

「屍人となれば滅ぶこともありませぬ。さあ、我らとともに……」

 男は眉をひそめた。

「我ら?他にも人を捨てた愚か者がいると申すか」

「帰蝶様にござります」

「お濃か。哀れな女よ」

 男は焼け落ちる寺の中で舞を舞った。

「人間五十年……」

 下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり、一度生を享け、滅せぬもののあるべきか。

「生者には生者の天命がある。ここで生き長らえて人を捨てるぐらいならば、死して第六天魔王とならん」

「殿……帰蝶様は殿のお帰りを今か今かとお待ちになっておりまする。どうか帰蝶様の御心も汲んで下さいっ!」

「諄い!お濃に伝えよ!良き人生であったわ、と!」

 男は哄笑し、散った。享年四十九であった。


 帰蝶を倒してから、『退魔師エゾルチスタ』は通常運転に戻った。

 厳柳は逃げた蘭丸を追って、また旅に出て行った。

「ほんっと、こっちは大変だったっていうのに……」

 『食べ放題焼肉・牛鬼』で、まなは親に怒られたことでボヤいていた。

「まぁ、心配なのよ」

 まなを抱き寄せながら、瑠花はそう言った。

「そりゃ分かりますけどぉ……」

 瑠花にぴとっと引っ付いて甘える。

「そういえば、大分安定してきたね」

「そうですね」

 霊視するとオーラも金色めいてきている。もう少しで安定だった。

「やっぱり性欲も満たしたからかしら」

「ぶ……み、満たしてませんっ!」

「え、そぉ?帰蝶さんと随分楽しそうだったけどぉ?」

「い、意地悪ぅ……」

 瑠花はくすくすと笑ってまなの唇にちゅっとキスした。

「大丈夫。今度はちゃんとあたしが性欲満たしてあげるから」

 顔が急に火照るような気がした。

「だ、だめですよ……まだ未成年なんですから……」

「それじゃ、ずーっと未成年じゃない」

「ぅ……まぁ、そうですけど……せめてあと二年は待ってくださいっ」

「えー。待てないー」

「ダメあるよっ!瑠花さんと初体験するのはわたしあるねっ!」

「まなちゃんをいただくのはワタシアルっ!」

「あのー、食事中に生々しい話するのやめてくれないかなぁ……」

 隼人の言葉でみんなしゅんっと落ち着く。

「じゃあ、今回の仕事だけど……」

 桜子が口を開いた。

 ごく簡単なポルターガイストの依頼。

「いや、そのー……やっぱそういうの苦手なんですけどぉ……」

「何言ってるの。まなちゃんが霊視しないとポルターガイストなんて把握出来ないんだから。頑張って」

 まなは剣自体は美蘭に返していた。『ラクシャーシー』になるのが怖いから、元の持ち主である美蘭が持っていた方がいいということだった。それだけにまなの役割は霊視が全てであった。

「わかってるけど、怖いものは怖いーっ」

 気がつくとまなの日常は異常なのが通常となっていたのだった。

と言うわけで、一旦完結です。

また続きは書くかもしれないし、書かないかもしれない。

スピンオフは考えてはいるんですが、なんとも。

とりあえず文庫本一冊分?ぐらい?書いたので満足ということで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 全話、読みましたー。設定やらがタイトルからは想像出来ないほど、しっかりとしていて驚きました。 自分はわりとこんな設定好きなので楽しめました。 文章は常時綺麗にまとまっていたように感じました…
2022/07/16 20:02 退会済み
管理
[良い点] 流れが良く、テンポ良く読めました。 期待に違わず、信長につなげたのは良かったと思います。 [一言] ここで完結としても、そうおかしくはありませんね。 でも続きを書くとしてもその伏線的なもの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ