第2話 ぷるんぷるん
「うお!風すごいな。」
門を出て早速つぎの街の方へ目指してみる。これが追い出されてなかったらどれだけ良かったことか。
それから少し歩いていくと、腹が減った。確か召喚されたのは夕方だからな、今はまだ昼だけど。少し時間のズレが気になるな。
カバンからパンと干し肉を取り出して食べていると、岩陰から突然出てくる。
「なんだ!?」
ぷるんぷるん
これは、……スライムか?
某国民的ゲームの代表モンスターである。しかしあれは上が少しとんがっているが、俺の目の前のスライムはボールに近い。出てきた時もポヨンと効果音が鳴るような跳ね方だったし。
スライムってことは襲ってくるのか!?急ぎで買ったショートソードを片手に構えるが、戦うような感じではない。足元に急いで置いたパンや干し肉の方へ見ている。
「もしかして食べたいのか?」
「キュ!」
うお、鳴き声出せるんだ。とゆうか俺じゃなくて飯の方だったし。とりあえず剣をしまってパンをちぎってみる。するとスライムは反応してこっちへ寄ってくる。けど相変わらず敵意は感じない。
「これ食べるか?」
聞くと、ぴょんと飛び跳ねる。どうやら大丈夫そうだ。どうすればいいのかわからないのでひとまず岩の上に置いてみる。すると置いた場所までぴょんぴょんと近づいてくる。
「キュッ♪」
パンの上に乗っかって体の中に入れて消化している。見ていて面白い。そして食べ終わったら、俺の足元に寄り添ってくる。すると俺の方にせがんでくるように跳ねる。
「これも欲しいのか?」
俺が干し肉と水を見せると、肯定するように震える。干し肉を握って渡す。これも問題なく消化していく。そして水を上からかけてみると嬉しそうに吸収していく。
俺は片付けて立ち上がる。すると先ほどのスライムが俺の方に駆け寄る。
「付いてくるのか?」
「キュ♪」
どうやら付いてくるらしい。あ、確かスキルにテイムがあったな。早速やってみよう。
「テイム!」
するとスライムが光りだす。光が収まると先程と同じままだった。すると俺の目の前にステータスが出てくる。
名前:???
種族:スライム
年齢:5日
レベル:1
スキル:体当たり、溶解液
称号:シンジの従魔
魔物ってこんな簡単に仲間になるのか。少し驚くがこんなものなのかと割り切る。一つ気づいたことがある。
「名前ないのか?」
「キュー……」
どうやらないらしい。シュンと落ち込んでいるあたりそうなのだろう。でもこのままだと呼びにくいしな。
「名前をつけてもいいか?」
「!?キュ!キュ!」
俺が聞くと、とんでもなく飛び跳ねる。子供がおもちゃを欲しがるようだ。うーん名前か、スラオ、スラタ、スラリン、と安直な名前を考えているとスライムが嫌と言うようにぴょんぴょんする。名前を理解しているのか?どうしようかな。
スライムの体を見ていると、透き通るような青色だ。透明度も高い。消化しているところが見えるぐらいだ。そうだ。
「お前の名前はアクアだ。水って言う意味なんだけどいいかな?」
青色だし、さっき水をあげてたら喜んでいたしいいかと思う。するとスライムも「いいよ!」と、喜んでプルプル震える。
「それじゃあアクアよろしくな!」
「キュ!!」
そういうわけで新しくスライムが仲間になった。大きさはバレーボールより少し小さいぐらいかな?手を差し出すと器用にぴょんぴょん跳んで肩の上に乗る。ここがいいということだろう。
「それじゃあ、次の街目指すぞ!」
アクアも「おー」というように腕を伸ばす。
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その頃の王宮
「おいリド!先程の勇者はどこいった。」
「は、あの者鑑定したところ、他の勇者とは違い、武器スキルを一つも持っていなかったので、追い出しました。」
「何をやっているんだ!どんな者であれ、必ず1カ月は様子を見て、ダメなら転移して戻すはずだろう。何をしたんだお前は。」
「いえ、しかしあの者にはその価値ないと思いました。」
「もういい。他の勇者を指導しておけ。」
「というわけで、最後の勇者はもうここにはいない。」
「まぁ、あの様子だと、いなくなるとは思いましたけど。」
この剣の勇者、ユウトがシンジが追い出されるところを見たそうだ。
「あの者はもういらない。お前ら3人で魔王討伐するぞ。早速指導だ。」
リドがシンジの件について話し、勇者も訓練を始める。




