第5話 来たる、乙型壱種 (3)
アダプター1へ急ぐ斑鳩達、Y028部隊。
回収班とY035部隊の現状が不明瞭なまま、彼らは無事を祈りその途を急ぐ――。
だが、事態はまたも急変する。
そしてその渦中、アールは……。
「……そうだ詩絵莉、デイケーダーの受渡し、同席出来ずにすまなかったな」
斑鳩は揺れるN33式兵装甲車の中――壁に固定されたデイケーダーが封入されるアタッシュケースをじっと横で見つめる彼女に声を掛けた。
本来ならば崩壊弾……デイケーダーの受領は部隊長同席の元に行われるのだが、今回は急務発生につき正規の手続きを飛ばしていた事を彼女に詫びた。
「ん……あ、ああ……いいよ暁。今回は事情が事情だし……それにヴィッダ代行補佐がデイケーダー管理者と一緒に来てくれてね。彼女が代わりに受領にサインとかは、うん」
ヘーキヘーキ、と左手でケースの上を撫でつつ、彼女は右手をぱたぱたと振って見せる。
しかし、やはりというか……普段何事対しても凛と当たる彼女には珍しく、やや緊張した面持ちが伺える。
その様子を見て、アールはフードを脱ぎ、傍らに畳み置きながら詩絵莉に視線を向けた。
「……デイケーダーって、やっぱり……すごく重要?」
彼女の言葉に詩絵莉は「……まあね!大型戦の花形だよ!」と大見得を切ってみせるが、すぐにしおしお、とうなだれる。
揺られる車内、後方確認する為に後部ハッチに設けられた小さな窓を覗いていたギルは、詩絵莉の様子をちらりと横目で見やる。
「まあ、詩絵莉がこうなるのも無理はねえよ……デイケーダーはそもそも供給数が極端に少ねえからな……貴重品なのはまあ、わかるがよ」
同情する、と言わんばかりに彼は肩をすくめて見せた。
「そうだアール。さっき格納庫内で撃牙の扱いは見せて貰ったが……式隼としての訓練も受けてるのか?」
斑鳩の言葉に彼女は浅く頷く。
「……うん。いろんなの撃った……かな。そこにあるマスケットも昔から使ってた……でも。デイケーダーは撃ったこと……ない、かな……」
「……ん?あれ?でもデイケーダーってアガルタ産だよね。アールは扱った事が無いの?」
壁に固定された二挺のマスケットを指さしそう答えるアールの言葉に、詩絵莉は顔を上げるとそう意外そうに口を開く。
そう、彼女の言う通り……タタリギの芯核を崩壊せしめるその弾丸……極めて特殊な弾頭を有する崩壊弾……デイケーダー。
各拠点で精製するにはかなり困難とされており、現在使用されるそれは100%アガルタで製造されたものだった。
タタリギに決定打となりえるその弾丸が、何故貴重なのか?
理由としてはそもそもデイケーダーの精製過程にある。
A.M.R.T.と同じくタタリギを素材として精製されるデイケーダーは一見、よりタタリギの死骸等が確保しやすい前線基地でこそ精製が向いている様見えるものの……その実、特殊な抽出・加工作業には莫大かつ安定した電力が必要不可欠とされている。その確保が前線に近いA.R.K.では難しいのだ。
デイケーダーが実戦に投入されてからの歴史は、ヤドリギが戦力として確立されたとほぼ時を同じくするものの……現A.M.R.T.と比較しても未だ「完成」とは言えないシロモノ、非常に不安定なものだった。弾頭が厳重にパッケージング化されている理由もその一つである。
パッケージを開封し空気に触れる事で弾頭が活性化。銃へと装填を行い、芯核に狙撃。そして着弾させると、あるメカニズムによって対象を破壊せしめるに至る……のだが。
……開封から着弾までの猶予は、たったの"5分"。
それを超過してしまうと、通常の弾丸となんら変わらないそれへと劣化してしまうのだ。
そしてそのデイケーダーは、芯核以外の場所に対してはほぼほぼ効力が無い為、必ず弱点である芯核へと撃ち込む必要があるとうおまけ付きだ。
その限定に限定を重ねたような有限の必殺に、部隊全体――そして隼は全てを賭けていると言っても過言ではない。
そのプレッシャーは、まさに並大抵のものでは無いだろう。
そのデイケーダーを扱った事がないと言うアールへ、確かにとい言った面持ちで斑鳩とギルも彼女へと視線を向ける。
その視線に彼女は珍しくやや目を泳がせ、少し困ったように首をかしげた。
「う、うーん……どう言えばいいのかな、ええと……デイケーダーのコトは、知ってるケド……」
『アガルタって人類の最後の砦、希望の都!ってやつでっしょ?実際にアールがデイケーダーを撃つ事機会なんて、それこそ無縁だったんじゃない?』
どう答えたものかと困惑するような彼女に助け舟、と言わんばかりにスピーカーからローレッタの声が流れた。
アダプター1を目指し急ぎながらも、運転席より仕切られたこちら側の会話にも、運転に勤しみながらもちゃんと参加しているあたり、彼女らしい。
「ああ……まあそうだよね。アガルタにタタリギが居るワケ無いし、今回がアールの初実戦なんだもの。……そりゃそっか」
「……ごめん詩絵莉。……あんまりその……デイケーダーのコトは、詳しくなくて……」
「ま、気にするなアール。お前がこの先俺たちの部隊で式神として戦ってくれるなら、嫌でも撃つ機会はあるだろうさ」
申し訳ない、といった風にややうなだれる彼女に斑鳩はその肩を軽く叩きながら苦笑し、励ました。
「ところでキサヌキ……アダプター1の連中は大丈夫なのか?」
会話がひと段落したところで、ギルは緊張した面持ちでスピーカー越しにローレッタへ問いかける。
「……15分前に回収班のから文面が送信されてきたけど……状況は変わらずっぽい、それ以降連絡は無し。アダプター1へ進路を向けた乙型を牽制し、進路を逸らす為にY035部隊が出撃。現在残った数人のY035部隊の護衛と待機中みたいだね」
普段なら「呼び方!」と勢いよく突っ込む彼女だろうが、流石に現状へ集中する彼女からは今回その反応は得られなかった。
先もミルワードが言い残した通り、Y035部隊はあくまで拠点跡等で様々な資材や流用できる物資を回収する班……式兵としての能力を持たない彼らの護衛を専門とする部隊である。本来は索敵から漏れ、言わば残党と言える丁・丙型に対しての遭遇戦を旨とする彼らに、大型のタタリギに対抗する事は難しいと言わざるを得ない。
さらに、当然この遭遇を想定していなかった今回。
彼らはデイケーダーはおろか、撃ち手である式隼も部隊に編制していないのだ。
「ローレッタ、アダプター1への正確な到着時間は逆算出来るか?」
「勿論もうしてあるよ。まあ一度通った道だし、地形的には平坦な道のりってやつだから…あと30分ってとこ」
「……30分」
問う斑鳩に当然、と言わんばかりの声で答えるローレッタの回答に、詩絵莉はぎゅっと唇を噛む。
「……乙型がその気になれば、本格的な戦闘がいつ始まってもおかしくないわね」
「まったくだな……そうならない事を祈……」
詩絵莉が険しい表情で漏らした台詞にギルが頷きながら答えた瞬間だった。
ローレッタが珍しく大きな声を上げる。
「……きた!!Y035と回線開いたよ!!!」
『!!』
何度か通信をトライしていたローレッタのコンソールに浮かび上がる"ONLINE:Y-035"の文字に、ローレッタは素早い手付きであちらからの音声を壁を隔てた斑鳩達が揺られる後部へと届けるよう手配しながら、続け様に通信を開始する。
「こちらY028、斑鳩隊式梟、木佐貫・ローレッタ・オニール!……回線確認、品質レベルクリア、状況を!」
普段のおどけた姿からは相変わらず想像出来ない程、はっきりとそして大きな声で早口にそう問う彼女にアールは一瞬驚いた様に目を丸くしてスピーカーを仰ぎ見る。
『こちら、Y035部隊……式梟、クリフ・リーランド。緊急事態につき各種手続きを省く……Y028、そちらの到着予定時間を教えてくれ』
スピーカーから流れるやや苦しそうな男の声。一同に緊張がはしる。
木兎を処理しながらで通信に集中出来ないのか、それとも何かしら窮地にあるのか――。
斑鳩達は固唾を飲んで梟達とのやり取りに集中する。
『略、了解。現在Y028はアダプター1へ最短ルートで進軍中。到着予定時間は約27分後、0857を予定』
『……あと30分も掛かるっていうのかッ……』
冷静にそう告げる彼女に、声を荒げるY035の梟、クリフ。
『……クリフ……落ち着いて!こちらは回収班からの情報として進路を逸らす為の陽動に035部隊が出た、そこまでしか把握出来ていない。現状を出来るだけ正確に伝えて欲しい……!』
諫めながら、そして祈る様に彼女はそう告げると一度こちらからの音声をカットする。
すぐさま斑鳩達だけに聞こえる様、「ごめん」とだけ伝えると、ぐん、とN33式兵装甲車をさらに加速させた。
後部の彼らは手近な手すりを無言で掴み、それに耐える。
『乙型が、クソッ……数分前に急速に速度を上げて移動し始めたんだ……今、アダプター1中継局直下に俺は居るが……もう目と鼻の先まで迫ってきているんだッ……陽動は失敗に近い、明らかにヤツはここを目指している!』
――まずい。
斑鳩は険しい表情を浮かべ手すりを握るその右手を無意識に痛い程握り込む。
状況から察するに乙型はもう目の前まで迫っているのだろう。Y035部隊の面々もそうだが、非戦闘員の回収班も前線に晒される事になる。
彼ら――回収班に身を置くのは、A.M.R.T.を受け入れるもヤドリギとしての力が発現出来なかった者達である。
ヤドリギの自分達とは違い、戦い死ぬのは彼らの役目には入っていない。
「斑鳩だ!……梟、クリフ聞こえるか!」
斑鳩は激しく揺られながらも大きな声でスピーカーへ向かって叫ぶ。
『……イカルガか』
「切迫した状況は把握した!こちらも今限界まで速度を上げて向かっている……だが本格的な戦闘が開始する前に到着出来る保証は無い。まずは回収班の退路を確保し撤退させる事に集中してくれ!」
『……当然だ、偉そうに吠えなくても解かっている!俺達の隊長だって無能じゃあない!だから陽動に徹しているんだッ!!』
斑鳩の台詞にクリフは声を荒げる。
「では、回収班を未だに待機させてる理由はなんだ!」
『……陽動中の狼に対して乙型が一発、砲撃を放った。対する被弾は無かったが……流れた弾が市街地のビル残骸に着弾……崩壊した大量の瓦礫が回収班のN31に直撃したんだ』
「お、おいおい……!それ……回収班の連中は無事なのかよ!?」
「ビルの残骸って……下敷きになったの!?」
ギルと詩絵莉は思わず身を乗り出してクリフへ言葉を投げる。
ローレッタも『それが15分前の連絡が最後だった理由ね……』と、悔しそうな小声を通信に載せた。
『……回収班の連中は無事だ……車内に居た数人が負傷はしたが、致命傷じゃない。今は総力を上げて車両の修理にあたっている……。俺の木兎は今、乙型に対する陽動に使っていて詳しい状況は分からんが……護衛に付いていた狼の二人から先ほど通信が入った。彼らのN31回収車両は修理が終わればギリギリ走行可能なレベルの損傷だそうだ、終わり次第出立させる』
……逼迫した状況だがどうやらまだ一応全員無事らしい。一同はその言葉を聞いてふう……とため息をつく。
『……イカルガ、さっきはすまなかった。……こうして状況を確認するよう努めると少し落ち着いてきた……なにぶん"あんなの"をこの距離で目の当たりにするのは初めてで混乱……いや、ヤドリギとして不甲斐ない、これは言い訳だな……。今、ヤツとの距離は500m程か……うちの狼も今影に身を潜めている。まだバイタルデータは六人、全員健在だ』
少し冷静さを取り戻したクリフは、深呼吸を交えながら少しずつ言葉の速度を緩めながら現状を説明しきる。
彼が冷静さを失うのは部隊の役割からしても無理もないことだ。
しかしこうして梟としての責務を果たす彼に、斑鳩達は心強さすら今は感じていた。
「……いや、いいんだ。こちらも出来るだけ早く着く様務める。そちらも何とか時間を稼いで……」
『今、限界ギリギリの速度で飛ばしてるから!あとこのペースならあと15分で……』
「暁、ギル、アールも!撃牙もう装着しときなよ、私も弾を……」
「乙型には世話になってるからな……前の分まで、たっぷり礼をし……」
……。
…………。
――――――なんだ、ろう……これ……。
そんな中……アールは一人、彼らの会話が段々と遠くに感じられる感覚に襲われていた。
言葉どころか、この狭い車内がどんどん、広がって行く様な感覚。
いや、違う?そうじゃないかも……わからない……。
……この感覚……なんだろう?
……このにおい……――雰囲気?
……とてもざわざわする。
からだの真ん中と、頭の中が――ざわざわ。
なんだろう、これ……?……――懐かしい、懐かしい…………懐かしい?
……ざわざわ。ざわざわ、する。
「……-ル……アール…………アール!?」
はっ、と彼女は、斑鳩に肩をつかまれ強く揺さぶられている事にようやく気付く。
「ど、どうしたアール。ぼうっとして……」
「おいおいしっかりしてくれよ!ほれ、お前の分の撃牙だぞ……って、大丈夫か……?」
「やっぱり何だかんだ言って初めての戦闘だし、緊張……?」
三人は心配そうに彼女の顔を覗き込んでいた。
アールは、それぞれの顔を見渡すと、唐突に。
まさに唐突に、今までにない程の強い言葉と声で、三人を跳ね除けながら立ち上がり叫んでいた。
「だめ……っ!!!」
絶叫に近い、それ。
あまりの彼女の権幕と声に、斑鳩も、ギルも、詩絵莉も、そしてそれを聞いていたローレッタも一瞬あっけにとられるのと同時だった。
車内上部にある無機質なスピーカーから、Y035部隊……梟の彼のまた、絶叫が木霊したのも。
『なんだッ!!なんだ……ッ!!?Y028聞こえるか!チクショウ!!凄い速度だ!!!こっちに……市街地にヤツが入っちまった!!!!』
「「!?」」
悲鳴に近いそれに、一同の身が凍る。
『だめだ、こっちの陽動を無視しているッ!!!ああ、そんな、何故だ!!?隊長ッ……!!』
『……こちらY035部隊長、ドーヴィン。……乙型壱種が市街地、回収班車両へ急速接近を確認、敵有効距離外での陽動は無理だ……止むを得ない、これより接敵を開始する。……全員、撃牙を装填しろ!奴を行かせるな!進路を塞げ!!』
『くそお、くそおッ……回収班はまだ動けないのかッ!!?』
緊迫という言葉では到底足りない。唐突に、まったく唐突に戦闘は始まってしまった。
アールは瞳孔を収縮させながら、その通信に聞き入っている。
『ああッ……くそッ……やるしかないのか!!やるしかないのか……イカルガ、急いでくれ!!……ああクソッ!やるしかないッ……!!仕事を果たすぞ!!……回線を落とすッ!俺が皆の目にならなければ!!!』
『……クリフ!!クリフ!!』
クリフは既に回線を落としていた。
ローレッタが運転しつつ脇に視るコンソールには赤く"OFFLINE:Y-035"の文字が不吉に浮かぶ。
「アール……」
その通信を聞きながらも、斑鳩は彼女のその姿を凝視していた。
……どういう事だ?アールは確かにあの乙型の動向を感じ取った様な発言をした。
彼女の――式神の能力なのか?
優れた隼はより強く、予知能力に近い感覚力持つという。
類稀な梟はより顕著に、事象を把握し事を解析する。
――その二つの力をも併せ持つ、式神ならば……そんな芸当が出来るのか?
「イカルガ!どうする!?は、始まっちまったぞ!!」
「どうするっつったって、暁に聞いてもそんな事わかるワケないじゃん、バカ!……ローレッタ、急いで!!」
『……うん、解かってる、解かってるよ……けど、これ以上速度は出せない……!!』
三人が混乱するように会話を繰り広げる中、斑鳩はハッと首を左右に強く振る。
彼女の事は今"考えても答えが出ない"事だ。とはいえ、この現状。他に何が出来るか……。
「……ローレッタ、余裕はあるか!」
『た、タイチョーこの状況で……まあ、でもあるのがこの、ローレッタちゃんの凄いところなんだけど、何!?』
「木兎を飛ばすんだ……限界操作距離ギリギリで飛ばせ。このN33の最高速度より早いだろう、だが墜とすなよ!一秒でも早く現地入りさせ状況を拾い可能なら乙型を牽制、それが無理でもY035部隊の式兵の把握をするんだ!」
『ちゅ……注文多くない!?でもまあ、やるよ、やる!やるよ!!』
斑鳩の指示にローレッタは即座に木兎用のプログラムと操作する為の入力機器、そして大型のヘッドマウントディスプレイを揺れる車内の中、器用にセッティングを開始する。
『はっ……ちょま、って!物理的に運転が!出来ない……!これ!!腕、三本要る!!』
その言葉を聞くが否や、詩絵莉は折りたたんだマスケットを担いだまま器用に運転席へ通じる小さなハッチに華麗に身を滑り込ませる。
「…私が変わる!いいよね暁!!」
「詩絵莉、頼む!横転だけはしてくれるなよ!……ギル、アール!撃牙を装着しろ!!到着し次第、展開する!」
「おうよ!!」
強く応えたギルは、傍らに持つ撃牙をその身、状況に似合わず丁寧かつ、慎重に装着を始める。
先ほどと一転し、落ち着いたのか……アールは、ぼうっとそれを眺めていたが、斑鳩が促すように撃牙を目の前に差し出すと少し体を震わせ、彼を見た。
「……斑鳩。わたし……ごめん、でも、急にざわざわして……わからない、けど……」
「……アール。いいか。その話は後だ。……わかるな?」
アールは斑鳩から撃牙を受け取り、それを見つめる。
「……わかっ……た、斑鳩。ごめん。……今は、戦うときなんだね」
「……ああ。……アール、お前は"あの場所"で俺達と共に戦ってくれると言ってくれた……今がその時だ。……行けるな?」
右手で彼女の肩を強く斑鳩はつかむと、胸中巡る思いや、アールに対する考察全てを一旦置く事を自らに彼自身が誓う。
アールもまた、そんな彼の目の奥……鈍く宿る光に照らされるように、深紅の瞳に強い意志を浮かべた。
「……うん。わたしを……みてて、斑鳩」
そう言うと、詩絵莉に運転を預けより激しく揺れる車内において、一切その揺れを感じさせること無く格納庫で見せた通りの所作で、美事に撃牙を装着してみせる。
「……わたしが、みんなの役にたてるか、どうかを」
――そう、彼女は強く頷いた。
…――第5話 来たる、乙型壱種(4)へ続く。