【7話】友達
「あー売れたねー。あたしさー青春のシュークリームアイス食べたかったのに、すぐ売れ切れたよねー」
「それなー。でも紗英、ありがとね。」
あれからうちのクラスのアイスは人気出て、里見くんの事なんて考えてる暇なんてなかった。
そうさせてくれたのも紗英がいたから。紗英は里見くんの事忘れられるようにとやたら必死に宣伝頑張ってくれた。私も途中から恥じらいなんて無くなっていった。
「ううん、私はいつでも優梨奈の味方なんだ。」
「うん。」
「だから辛いこととか悲しいこととかなんでも聞くしどんな状況でも、どれだけ周りに避難されても私だけは側にいるから。」
紗英はなんでこんな私にここまで思ってくれるんだろうとか色々考えてるうちに自然と涙が出た。
「優梨奈。だから、なにかあったらトイレにこもる前に私のとこに来てくれないかな?」
「紗英ごめん。私こんなに私を思ってくれる友達なんていないのに。。相談してもだるいとか思わないでよ?」
「ばか、思うわけないじゃん」
「さ、紗英!これ食べたいって言ってたアイス」
紗英は食べたい食べたい騒いでたから売り切れる前に購入しておいた。
「へ?かっ買ったの?うそでしょ?ありがとーーーーーーー!」
そう言って幸せそうにアイスを食べる紗。
「あーいたいたー2人ーさがしたのにー」
「さくら、どした?」
「二人ともこのあと打ち上げどーする?」
「あー、あたしバイト休めなくて、ごめん。行けない」
え、え、え、え、え?
「おーっけりょーかい!優梨奈は?」
「私行ける…」
「はーい、んじゃ6:00境っていう居酒屋なー」
まてまて、うぇいうぇいうぇい。
「なんで行かないの?」
「ごめんほんとーに!代わりに里見で許して?」
「いやいやいや。むりむり。」
「ダイジョーブ!瑠璃香だっているし」
「そーだけどさ。。。」
バイト休んで欲しかったけど、ワガママばっかり言ってられないし諦めて笑顔で紗英を校門まで送った。紗英は最後までずっと謝ってた。
さて教室戻って荷物持って私も行こうかなーと振り返るとこれから帰る様子の里見くんがいた。
「里見くん帰るのー?」
「あー。うん」
「なんでよ。くればいいじゃん」
さっきまでの事が頭に浮かんでいつもどーりに話せない。
「だって楽しくなさそうだし。」
「私は、里見くんに来て欲しい。里見くん行かないなら私も行かないし」
冗談ぽく軽い感じで言った。
「いや、どうぞ。」
案の定冗談ぽく返された。
「そーじゃなくて、来て欲しいんだって。」
少し本気で言ってみる。
「俺行っても変わんねーから、んじゃまたなー」
そう言って里見くんは自転車に乗ってスーッと行ってしまった。
あーあ、里見くんも紗英も来ないのかー。私も帰ろうかなー。
そう思ってトボトボ教室に帰ろうとしていたら、
「優梨奈、早く準備して、置いてくよ?」
瑠璃香。。。そーだ私は一人じゃないし。この際楽しんでこよう!
「みんな揃った?って男子すくねーな。ちょっ、俺小宮に電話するわ。多分あいつらどっかいそうだし。」
「え、電話でくるもんなの?」
「わかんねぇーけどとりあえず」
「ちゃんと呼んでよ〜?」
北野くんはクラスをまとめるリーダー的な存在で、天然なんだけど明るくて元気で太陽みたいな子。中学から同じで仲良しではあるけど、直接クラスで話すこともない。
そして小宮君は里見君とも仲良しで、しょっちゅう遊んでる。
「小宮達6人来るってーーーー!!」
「マジ?その6人って?」
「聞いてねぇ〜」
『バカなの?』
みんなが口を揃えて言った。
いやもうバカでしょ。どっか抜けてるのが北野君の良いところで、なぜか後輩から大人気。
「すまんすまん。。。みんな悪いけど、来ない奴にLINEとかして聞いてくんね?」
「めんどくせーなー」
みんなブーイングを言いながら連絡取ってる。
私はとっさに里見君は来るのか気になった。気になって、LINEを開き文まで完成させて送信しようとして手が止まった。
私しつこいかな。。。でも来て欲しい。どうしてもきて欲しい。でも…。
「送りなよ。ゆりちゃん。今しかないんだよ?」
「瑠璃香。。そうだよね。うん。送る」
瑠璃香にそう言われて送信ボタンを押した。
「送っちゃった〜。」
「頑張った頑張った!」
でも絶対返って来ない…《ブッブッ》返ってき…た…。
《今向かってるよ》の文字。
「北野君!里見くんも、来るそうです!」
心から嬉しすぎてニヤニヤしちゃった。
「おーありがと」
「優梨奈、里見君とLINEしてんの?」
かっ神谷。。。でも別に隠す事でもないし、もう神谷に負けてばっかは嫌!
「してるよー。気が向いたときとかに」
「ふーーーん」
なんだ?ふーーーんとは、私と里見くんが思ったより仲良しで悲しんだか?
いや、まてまてあたし。このままじゃ神谷より性格ブスになっちまう。ここは広い器と優しい心でいよう。うん、神は見ている。。。
今日は楽しい日にするんだ。