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二人の王子と皇子にキスさせて  作者: 坂下プリン
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【4話】モヤモヤ

「おい、里見。お前迷ってましたってなぁ〜。何年目だよ本当に。ほら早く席つけよ、」

申し訳なさそうな態度というより恥ずかしそうにうつむきニヤッとしながら席に向かう。

席に向かう時、私の隣を通り過ぎる里見くんの顔を見上げて私は言った。

「ちゃんと教えたのに。」

すると里見くんは私の耳元に顔を近付けて「わからない俺を置いて行くからだよ」と答えた。

何だかそして数日前から里見くんと話すと心がモヤモヤする。

「でわプリントに書いてある手順で怪我のないように。」と先生は言って、「はーい」とみんなはかったるそうに言った。

そんなこんなで実験は始まったが、みんな普段の授業を真面目に受けていないせいか、実験具を真面目に使えるわけもなく最初から最後まで私がやり、なおかつ考察のレポートまで私が仕上げた。

「ゆりちゃんごめんね〜全部やらせて。」

「いいよいいよー。瑠璃香バカってわかってるしね〜」

そうペチャクチャ喋りながらクラスに戻って私は最近ハマってる農業ゲームのアプリを立ち上げる。

「何してんのー?」

隣の席の星柄くんが聞いてくる。

あっさっきのイケメンだと思い少しだけ照れながら

「あっこれ面白いんだよ〜、ヒョットコ農業って言うんだ〜」

「何それ、よくわかんないゲームだな。クラクラやってんのかとおもったよ」

無邪気かつ爽やかな笑顔で星柄くんは言った。

「ク、クラ、クラ?」

私は笑顔で照れていた表情は一変して、戸惑いに変わった。

「知らないの?クラッシュオブクラッシュ。面白いかはわかんないけど、弟とお父さんがハマっててさー」

「そっそれ、iPoneでもダウンロードできる?」

私は興味深々で彼に迫った。彼は驚きながら

「で、できるんじゃないかな?ガチ勢の畑とかってね、」

私はすぐにそのアプリを探し見つけた。

「これだよね?」

ダウンロードして立ち上げると…英語!!

「え、英語なんだねぇ。。。」

「本当だ。はははっっはごめんごめん知らなかったよ」

彼の笑顔はパァっと明るくて私達を照らす太陽の様だった。

世の中にはあんな爽やかなイケメンがいたんだなぁ。

そうポカンとしみじみ考えていると、黒板にある行事について書かれていた。

「でわー実行委員前に出てきて。」

すると男女2人がかったるそうに前に出てきた。

「9月に行われる文化祭について…」

文化祭かー。色んなクラスが出し物したり、舞台の上で披露したり、すんごい盛り上がるんだよなぁ。今まで勉強ばっかで来たもんだからあんまり楽しい記憶ないけど。

「おい、ごみ」

後ろから椅子を蹴飛ばされた。こんな酷いことする奴なんてあいつしかいない。

「里見くんさ、どんどん酷くなってきたね、私への扱い。」

里見くんはクシャッと笑っている。

「で何ですかー?」

「あのさ、シャーペン拾ってもらえる?」

何か話しかけてくれたと思った私が馬鹿だった。

渋々拾って、渡した。

「おう、ありがとー」

「里見くんさ、文化祭何したいの?」

受験勉強をする手を止めて私を見る。

「くだらねぇ。別に何でもいいわ」

「里見くん楽しみじゃないわけ?」

「俺勉強あるし、準備なんて行かないよ。」

「一つ聞いていい?里見くん内申いくつ?」

「2.8だけど?」

バッ馬鹿だこの人。よくその口で受験勉強なんて言ったもんだ。

「そーゆおまえはいくつなの?」

「4.0」

「気持ち悪。俺はもう諦めてるから。どーせ一般受験するし。」

授業寝てるくせして。と思いフッと笑ってしまった。

そうこうしてるうちにうちのクラスの出し物は決まった。

「里見くん、アイスだって!!楽しみだね!!」

興味なさそうに顔を上げて言った。

「よかったな。俺は興味ないけど」

「何でそんなこと言うの?」

「お前さ、何でろくに友達もいないくせしてそんな楽しみにするの?」

別に嫌味ったらしいわけでもなく、素朴な疑問の様に聞いてきた。

「里見くん。私馬鹿みたいに化学に青春を注いじゃったから、今からでも高校生活楽しみたいの。勉強も大切だけど今を楽しむ事は勉強してるだけでは手にする事は絶対にできないんだってわかったんだ。」

そう、そう気付かせてくれたのは、里見くんなんだよって喉まで出かけて言うのをためらった。

「お前もまともな事言えるんだなぁ。」

そう顔をにこやかにしてまた勉強に励みだした。

あ、またモヤモヤする。

そして放課後今日は紗英とカフェに行った。

「ここ優梨奈と来たかったのー。最近できてさーここのココアが絶品なんだよ〜」

私は紗英の話なんか聞く耳も持たず、モヤモヤについて考えていた。

モヤモヤするけどもしかしてこれは恋なのかな?これが恋なの?

確かに里見くん見るとドキドキするし。。。

「優梨奈さ、そろそろ認めない?」

「なっ何が?」

「里見のこと!!本当はさーわかってるんじゃないの?好きなんでしょ?」

「里見くんはわからないの。自分で本当に。でも里見くん見るとドキドキするし里見くんと話すと嬉しい。里見くんの笑顔は見入ってしまう、何かあったら助けてあげたい。それとそれと」

紗英はストローから口を離して言った。

「十分恋だよ。それは」

その言葉で何だかわからない感覚に私は陥った。耳から入ったその言葉は血管に入り私の全身を駆け巡った。

「これが恋かぁ。。。」

私は何だかとても嬉しくてたまらなくなった。

「おまえってヤツは本当に可愛いし本当に好きなんだなぁ。」

呆れながら紗英は言った。

「でどーすんの?もうすぐ夏休みだよ?」

「どーするも何も、受験勉強邪魔できないし。。。」

「ラインの一つもできないわけじゃないでしょう?」

「でも話したい事ないし。。。」

「今は確かに毎日後ろを振り返ればいつだった里見はいるし話せるけど、夏休みはそうはいかないよ?まぁもっともたまらなくなって自分からラインすると思うけどね。」

そうかー。1ヶ月会えなくなるのか。。。

今は考えられないし考えたくないなぁ。

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