表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かま×なべ  作者: 涼御ヤミ
かま×なべ 1
4/28

第一章『ネトゲ×邂逅』②

 メロンパンと焼きそばパンよろしくーという間延びした声をバックに、教室を出て一直線に購買部を目指す。

 入学して間もないから学校パンフでしか見たことないが、購買部は食堂内にあると悠間が教えてくれた。そもそも食堂のある場所すらよく知らない。

 そう言うと食堂なら二階にあるよと悠間が教えてくれた。流石(さすが)に二階くらいは知ってる。舐められたもんだぜ俺も。

 階段を一気に下り三年の教室がある二階に到着するとなんだか廊下が騒がしい。昼休みになると瞬く間に喧騒(けんそう)に包まれるが、それとはまた違った感じがする。

 流石に気にならないと言えば嘘になるため俺が顔を覗かせると、廊下には人っ子一人通れないほどの人垣ができていた。学校という空間において異様すぎる光景。誰かが金でもばら撒いたのか? だとしたら他を押し退けてでも参加したい。

 折に触れてあがる歓声。そこだけ有名人のコンサートが開かれているように興奮のるつぼと化していた。実際に行ったことはないけども。

 加えて、あがったのは歓声だけじゃなかった。しばし遠くから眺めていると、辞典やら教科書が数冊宙を舞った。昔から視力だけはいいからな。なんて自尊心を高めてる場合じゃなかった。

 別段物見高い性格というわけでもないが、好奇心は人並みくらいにはある。

 俺はポケットからスマートフォンを取り出し今の時間を確認する。まだ寄り道するくらいの時間はあるな。

 思い立ったが吉日、俺は興味本位からつっと足を動かし人垣の前まで辿り着いた。が、野次馬のせいでまともに見えやしない。お邪魔以外の何者でもねえ。


 ……やむを得まい。

 俺は通りまーすと声を掛けながら人の間を縫うように進み、どうにか最前列まで(おど)り出ることができた。

 途中人混みに揉まれ何度か転倒しそうになるも、そこは気合と根性で踏ん張った。誰が押しやがったといちいちいちゃもんを付けるほど俺は器が小さい人間じゃない。

 顔を上げる。ゆっくりと。

 そこで俺は見た。見てしまった。



 ――その空間だけあまりに神秘的な、どこかノスタルジックな光景を彷彿(ほうふつ)とさせるように俺の目には映った。なんて表現すりゃいいのかな。そう、まるでラプソに存在する神域(しんいき)にいるかのような……って言っても分かんねーか。

 俺の目の前には二人の女生徒が対峙(たいじ)していた。

 まず初めに俺から見て手前に位置する女生徒――腰まで届いた緑なす黒髪をなびかせ、凛とした風情を(かも)し出すさまは壮観たること(はなは)だしい。均衡のとれた身体付きはいわゆるモデル体型のそれで、その見目麗しい容姿は見る者全てを魅了する美しさだった。人を引き付けるカリスマ性みたいなものを感じる。

 それともう一人。

 この女性と真正面から相対をなしている女生徒。

 (ゆき)()けするようなさらさらのツーサイドアップを交互に揺らし、加えて目鼻立ちがはっきりしている容姿はどこかあどけなさを残していた。しかし薔薇(ばら)が匂い立つような(あで)やかさに混じって、他人を寄せ付けない刺々しいオーラを漂わせているのはなぜだろう。

 ……とりあえず現状を把握しないことには始まらないよな。


「ちょっといいすか」


 俺は隣に立つ男子生徒に――ネクタイの色が上級生のそれ――当たり障りのない程度に話し掛けることにした。無論彼女らに聞かれてもなんだし小声で。

 上級生は話し掛けられていることに気付くと目線だけをこちらに寄越し、


「なんだい? 今すっごくいいところだから手短にね」

「あざっす。つかぬ事をお訊きしますが、一体何があったんすか?」

「こうなった経緯のこと? 僕は初めから見てたからね。それなら説明してあげられるよ」


 快く引き受けた上級生はその時のことを思い出すように斜め上を向きながら、


「今から十分くらい前かなぁ。僕の所属する三年B組の教室に物凄い勢いで乱入した見た目ちょっと幼い感じの女の子がいたかと思いきや、脇目も振らずに一人の女生徒――ああ僕と同じクラスの神藤(しんどう)玲霞(れいか)に、ふざけないでよ、とか、いい加減にして、とかヒステリック気味に叫んで飛び掛かったんだよ。いやいきなりのことで吃驚(びっくり)したね。思わず自分の目を疑ったよ。その後は神藤の方から廊下へと出て揉みくちゃになり……こうして今に至るってわけ」 

「なるほどなるほど。これはどうも情報提供あざっした」


 俺が適当な相槌を打ち視線を正面に戻すと――

 ……んっ!?

 なんだ、少女の方から白いもやが浮き出ているように見えるぞ!?

 慌てて俺は両腕で目をごしごしと擦る。そして一心拍の間を置き再度見ると、ぼんやり浮き出ていたもやは跡形もなく消滅していた。

 い、今のってまさか殺気か? どうして俺にそんなのが見えた。まさかあれか。ラプソのやりすぎか。疲れ目でついにおかしなものまで見えるようになっちまったってか。

 謎めく少女から穏やかならぬ空気(殺気)を感じ取り、思わず第三者である俺が身構える。

 と、


「人をっ、バカにするのもっ、大概(たいがい)にしなさいよ……っ!」


 一言一句言葉を区切って(つむ)ぎ出し、研ぎ上げた刃物みたいに瞳を(すが)める少女。

 これに対し不動明王の如き先輩は、


「私は一度として嘲笑(あざわら)った覚えはないんだがな。君はいささか自意識過剰すぎる」

「なんですって!?」


 少女の言葉をあっさり一蹴(いっしゅう)した上で言葉巧みに煽りを上乗せ。少女の方は地団駄を踏んで目に見える怒りを露にしていた。果たして先輩の誘導は成功したように思えたが、


「――隙あり!」


 表面上では角が立つ少女だが、内心実は冷静を保って一矢報いるタイミングを図っていたらしい。握り拳を作って先輩目掛けて右ストレートをぶっ放つ。正しくそれは一瞬の出来事、にも関わらず。


「手ぬるいな」


 攻撃がくるのをあらかじめ予測していたとしか思えない動きで少女の一閃(いっせん)を受け流した先輩は、カウンターの要領で鋭い手刀で少女の手を打つ。さながら漫画の世界のワンシーンのようだ。凄すぎて俺は声も出ない。


「いっつ!」


 手と手の接触による衝撃音が生じ、あまりの痛みに少女が片膝をつく。


「いやはやいい線いっているな君は。ハッハッハ……と褒められでもしたいのか? 下手な小細工を弄して克するほど柔な相手ではないぞ私は。(おの)が無力さを知るがいい」


 ぴしゃりと言い放つ。

 その言葉には絶対的な拒絶が含まれていた。

 なす(すべ)もなく翻弄(ほんろう)され、愚弄(ぐろう)され、もはや打つ手の一つも残されてはいないのか、無意識に歯を食いしばり朱色に染めた右手首をぎゅっと少女は押さえていた。もはや言い返す気力もないらしい。

 その様子を上から見下ろし、殊更意味ありげに含み笑いをする先輩は、保険金詐欺師にまんまと騙され自己破産に追い詰められた人間を見るような目で、


「無様だ。そして滑稽(こっけい)だ。大道芸の道化師(ピエロ)ですらまだ愉快と言えよう。しばらく見ぬうちにすっかり弱くなったな。神宮寺」

「――っ!?」


 先輩の言葉に、少女の華奢(きゃしゃ)な身体が大きく跳ねた。

 過敏にも反応する少女の端整な顔立ちが、見てはいけないものを見てしまった時のようにサッと青ざめていく。……が、それも一瞬。立ったままの状態で俯き、頬被(ほおかぶ)りみたく前髪を垂らして、しかし何かを決心したように髪の隙間からはったと睨む。


「……言いたい放題言って。否定する余地なんてないし、確かにその通りかもしれないけど」ぎゅっと握り拳を作り「ものすんごく傷付いたんだからぁっ!」


 わなわなと身体を震わせながら、腹の底から少女は叫んでいるようだった。


「……うーむ」


 完全に傍観者の一人と化した俺が、目の前で繰り広げられる攻防戦にいい意味で(うな)った。

 まさかここまで激しいぶつかり合いを拝める日が来ようとは。現実(リアル)すげぇ。

 ……いや待て。現実(リアル)が凄いのは十分理解したが、俺は何をしに教室という名の聖域(サンクチュアリ)を出た。このラプソ顔負けの決闘を見るためか? いや違う。悠間からありがたく頂戴したこの金で、俺の昼飯を買いに行くためだ!

 見た感じ戦況はクライマックスを迎えているようだが、ここもじきに教師に包囲されるだろうし、さっさと去るのが無難だな。最後を見届けたいという気持ちがないと言えば嘘になるけど、後ろ髪引かれる思いでこの場からあたっ!

 もう一度この隙間を()って行こうと俺が(きびす)を返した瞬間、巨大な壁にぶつかった。

 いや正確には壁じゃなかった。人というにも語弊(ごへい)を生む。例えるならそう――大仏だ。奈良のお寺辺りにでも生息してそうな、どっしりと構えたぽっちゃり体系の女の子。何かもうとにかくでかい。体型のみならず身長も。

 彼女はふしゅーふしゅーと荒い呼吸のような音を生じさせながら、


「なにどさくさに紛れて触ってんのよう、この変態!」

「ええっ!?」


 勝手に勘違いをした挙句、人をまさかの変態呼ばわり。

 いやね、もーわけが分からん。

 大仏は何の恨みがあってか俺の胸元を勢いよく突き飛ばした。

 突き飛ばされた瞬間俺は、ああ、冤罪ってのはこうやってできていくんだなぁ、と満員電車で痴漢扱いされるサラリーマンの気持ちになりながら、しみじみと思っていた。

 勢い余って突っ込む俺に気付いたのか、神藤先輩がひょいと軽い身のこなしでかわす。俺は止まろうにも止まれずそのまま一直線に少女の元へ。少女に気付いた様子はない。


「よっ、避けてくれっ!」

「えっ?」


 ようやく俺に気付いた少女が呆気にとられながらも飛び退()こうとし、……なんというギャグ展開。バナナの皮よろしく散乱していた教科書で足を滑らせ、ものの見事に衝突した。ドリフでもこうはうまくいかない。


「きゃっ!」

「うわっ!」


 目の前で星が飛び、一瞬意識も飛ぶ。

 全身に強い衝撃を受け、床に打ち付けられた音が俺の脳髄(のうずい)を駆け抜ける。


「いってー……」


 満足に頭を働かせることもできず、次に俺が目を開けた時にはそこは冷たい廊下……じゃなかった。

 やけに生暖かい。なんだこの温もりは。人肌? それに両手に感じるマシュマロのように柔らかな感触……柔らかな感触だとぅ!?

 バッと俺は跳ね起きる。そして理解する。

 さもありなん俺は少女に跨っていた。ぶつかった際に俺が押し倒してしまったらしい。

 まぁそれはいい。いや百歩譲ってよくないだろうが。


 とにかくそれが原因で起こったことを言うとだ。……俺が少女のおっぱいに触れていた。


「んっ……」


 出し抜けに声が上がる。いやに(なまめ)かしい声。急にそんなエロボイス出されると俺の息子が……


「――あ」


 いつの間に目を開けていたのか、少女と目が合う。目が合い、少女の目線はそのまま下へ。もちろん俺の下腹部にじゃないぞ。自分の胸にだ。

 未だに俺が触れているのを理解した少女の表情が羞恥(しゅうち)に染まる。ついでに目も大きく見開かれる。こんなのは漫画でしか見たことがない。

 つうか俺はいい加減手を離せって話だよな。分かってる。頭では十分理解してるつもりなんだが、まるでメデューサに石にでもされたみたいに手がへばりついはぅあ?!

 (おれ)()悶絶(もんぜつ)。今度は俺がカッと目を()く。

 そそ、そりゃ剥くさっ。むかっ剥かざるを得ねえよ……っ。

 なぜって俺のこか……息子を思いっきり蹴り上げられたんだからなっ!


「おおおお、お前ぇっ! 俺の大事な息子になんてことをっ!?!」

「じゃあかしいわこのエロナスビ! セクハラで訴えてやろうか!?」

「えっ、おま……それは卑怯じゃないか? いくらなんでも理不尽だ。そもそもあれは不可抗力というか事故みたいなもんなんだって」


 周りを見ると、野郎共が股間を押さえてうんうんと頷いていた。志しを共にした男子が多いようで何よりだ。その一方で、女生徒の氷のように冷え切った目は俺の心を痛めるけども。


「言い訳無用っ!」


 一蹴(いっしゅう)された。

 まぁそうだよな。そう言うと思ったよ。

 起き上がり際、軽妙なステップで跳び退った少女は無愛想な一瞥(いちべつ)を俺に寄越すと、


「理不尽でもなんでもやったという既成事実がある以上、法は(くつがえ)せないのよ」

「こわっ! お前止めろよ?! この歳でそんな現実を突き付けないでくれっ」


 口角泡飛ばして叫ぶ俺をまるでゴミでも見るような目で見つめる少女。うっ、なんか興奮してきちまった。別の属性に目覚めそう。


「――ふむ、見ていて飽きることのない茶番だったよ」


 廊下の壁に背中を預け、一人優雅にもほくそ笑む先輩が自慢の長い髪を払う。男を惑わすその仕草に思わずドキッとする。


「しかし私自身の興が削がれた。ギャラリーに至っても存外増えて騒がしくなったことだし、そろそろお(いとま)することにしよう」


 何分忙しい身でもあるからなと付け足し、足早に去っていこうとする先輩を、しかし少女が呼び止めた。


「ちょ、ちょっと! まだあたしとの話が終わってないでしょ!」

「この期に及んでまだ何かあるというのか」

「あるも何も大有りよ! あんたはまだあたしの質問に答えてない。だから答えて!」

「だからの意味が不明瞭な上、これに関しては答える必要性を感じない。君と話すことなど皆無だ。初めからな」

「……っ!」


 あっさり言い負かされてしまい二の句が継げない少女。

 話は終わったと言わんばかりに身を(ひるがえ)す先輩は、人混みの中にその妖艶(ようえん)な姿を消した。

 最後の最後まで不思議な人だった。ほんと、赤の他人とは思えない。


「……くそ。また、逃げられた……」


 そうして少女の口から漏れる苦言にも似た言葉。

 眉をひそめて今にも泣きそうになっている少女に視線を向けながら、俺は俺で勝手ながらに思っていた。何か人には言い得も知れない複雑な事情を抱えているのでは、と。憶測(おくそく)でしかないことを。


「お前らっ、そこで何をしている!」


 その直後、廊下の向こう側。階段に一番近い突き当りにて、この騒ぎを聞きつけてやって来たであろう教師が数名、駆け足気味にこちらに近付いてきた。そして反対側からも。

 揉め事が一段落つき呆然と立ち尽くしていると少女が俺の眼前に迫った。

 見ていて吸い込まれそうになるくりっとした目をこちらに向ける少女。桃色の(ほお)に、桜色の唇。淡い輪郭(りんかく)が水際立った表情には、底の見えない陰りがあるよう。


「あんた名前は?」鈴が鳴るような声で訊かれた。

「名前?」

「そう、名前。あたしに教えなさい。早く」


 まるで鳴りを潜めるような口調だ。しかし重々しくも(いかめ)しさを感じるのはどういう了見なんだ。つうか名前を訊く意味は? 後でクラスでも特定して今度は俺を襲うつもりか?

 あとが怖い俺は不本意ながら「穂積(ほづみ)華都(かざと)だ」と心に余裕を持った風に名乗った。無視して殴られたくないしな。我ながら賢明だと思うぜ。


「穂積華都。穂積華都。……よし、覚えた」


 口に出して反復したのち、ようやく俺から顔を離した少女は満足そうなしたり顔。

 先ほどからまるで意味が分からない。分からないこと尽くしで何だかもう疲れたよ。近くに犬でもいれば雰囲気も出ただろうが、そんな都合よくいるわけもない。そらそうだ。


「こらお前らっ、道を開けろ! 通れないだろうがっ」


 教師がこの人混みに思いの外手間取っているらしかった。

 モタつきながらも徐々にその距離を詰める教師陣。挟み込まれて窮地(きゅうち)に追い込まれているはずの少女。にも関わらず別段焦った様子はない。落ち着き払いどこか余裕まで見せる少女には、何かこの状況を切り抜けるためのとびっきりの秘策でもあるんだろうか。

 そう思った矢先のことだ。俺のすぐ真横、元々開け放たれていた窓の下枠に身を乗り出し手と足を掛ける。

 一瞬すぎる出来事に、俺が唖然(あぜん)としか表現のしようのない表情を浮かべていると、


「じゃ、またどこかで会いましょ」


 最後にそんな言葉を残して何の躊躇(ためら)いもなく少女が跳ん、え? うそ、跳んだ!?

 少女が廊下から消失し、途端に沸き起こる喫驚(きっきょう)の嵐――「落ちた!」とか「マジかよ!?」だとか、表情の青ざめた教師を含めた全員が一斉に窓から顔を出した。無論俺も。

 しかし俺達の心配をよそに、プールで飛び板飛び込みをしたように両手を伸ばして頭から地面へと飛び降りた少女は、まるで忍者かはたまた猫か、地面に到達するすんでのところで身体を丸めてでんぐり返し(それも四回)、結果的に直接的な落下を免れていた。

 一同が固唾(かたず)を呑んで見守る中、でんぐり返し後、先ほどの俺と同じように仰向けになっていた少女が起き上がりこぼしのようにぬっと立ち上がると、何事もなかったようにその場から去っていった。

 そして今起きた出来事を目の当たりにし感嘆の声を上げる者、感動のあまり拍手をし出す者、未だにそれが現実かどうかを理解できず頬を(つね)る者など様々で、最後の顛末(てんまつ)しか知り得ない教師陣に至ってはわけが分からないといった様子で右往左往(うおうさおう)していた。

 俺もどちらかと言えば教師陣よりの思考にあり、オーマイゴットと言いながら一緒に狼狽(ろうばい)に参加したかったのだが、緊張状態が解かれたせいか股間の痛みがまたも再発。近くの壁にもたれ掛かると同時に足から床に崩れ落ちた。怪我には強い方だと自負していたが、さしもの俺も股間は駄目だ。……保健室行くか。

 養護教諭に股間が痛いんですぅって言ってもセクハラにならないか思案に暮れ、覚束ない足取りで保健室を目指す。



 ――何はともあれ、これが俺と神宮寺月の現実(リアル)で初めての出会いだった。


誤字脱字、感想等あればお気軽にどうぞ。

次回一週間以内に投稿。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ