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白い陶器のカップがある。丸みをおびた形状でどこか懐かしくもある。器の中からは香ばしい香りがする。珈琲のようだ。そのカップを手に取り口へと運ぶ。
苦い。まず浮かんできたのはそれだった。だがその中にも深みがある。器を置き、角砂糖を一つ。
そしてまた口に付ける。苦味が軽減され程よい味わいになった。これこそ至高。
そして空になった器をそっと置く。
空を見上げると美しい星星があった。
扉を開けるとそこには六畳の部屋がある。
木目調のシングルのベッド、最新型のテレビ。
落ち着いた雰囲気の部屋。整然としているが微かに暖かさがある。窓からは海が見えるというが、今は夜。残念ながら外は見ることができない。
私はベッドに腰を下ろした。
これからのことを考えると不安ばかりだが、しょうがない。考え事をしていると途端に眠くなり、目を閉じた。