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第三話 ロリっ娘に絡まれる学校生活

 キーンコーンカーンコーン


「ボバァ!?」


 俺が覚醒した時チャイムが鳴った。ちょうど一限が終わったようである。……授業のノートは後で誰かに写させてもらおう。……貸してくれる人居るよね? あんなことが起きた後だけど、貸してくれる人居るよね?

 授業と授業の合間の休み時間に俺はクリスがどうやって教室に入ったのかを監視カメラの映像で確認するために視聴覚室に向かった。

 担当の先生に事情を説明すると簡単に納得してくれて映像を見せてくれた。


 監視カメラは午前六時から撮影されていた。……学校ってこんな早い時間から開いてるのか? 俺は遅刻一〇分前に登校することにしてるのだ。『春眠暁を覚えず』とは偉い人は良いことを言ったなぁ~。


 っと、脱線してしまった。六時の時点ではまだ誰も教室には誰も居ない。こんな時間に来る物好きは居ないってことなのね。俺は適当に早送りする。あのロリっ娘がこの教室に入ってくる瞬間をこの目で……ん!? 映像にはいきなりクリスが現れたようにしか見えなかった。クリスは俺の机にちょこんと座っていた。そう『座った』ではなく『座っていた』のである。過去形ではなく完了形で。

 その光景は異様だった、何度もスローで確認した。テレビでよく見る徐々に変化しているあの動画とは違う。まるでアニメだ。『Aが存在しない画』から『Aが存在する画』になったような……この比喩は分かりにくいかな? 分かりにくいね!


「あれぇ? おかしいなぁ?」


 担当の先生はこの現象をおかしいの一言で片付けた。まぁ常識的に考えれば機械の故障と思ってしまうだろうが、逆に言えば非常識的に考えておかしいとも言える。しからば俺は非常識的に考えておかしいと主張する。



「で? あの子はお前の何なんだ?」

「知らねぇよ」

 時刻は飛んで昼休み、俺はクラスメイトの視線に耐えながら持参の弁当を食べており、食事の最中にしてきた斉藤の質問に答えた。こいつは適当にあしらうに限る。


「知らないわけがないだろ! あの子はあんなに泣いていたんだからな、この女泣かせ!!」

「黙れ、クズ! そして黙れクズ」

「二回も言うなよ……」

「それ以上言うと琥珀にある事ない事言うぞ?」

「すみませんでした!! お義兄さん!! わたくし調子に乗ってました!!」

「誰がお義兄さんだ!」

 いつものように俺が斉藤と偏差値の低い会話を楽しんでいると、


「んぅ~、トオルゥ~」

 ……クリス、もとい災厄の元凶様が扉の影からこちらを見た。


「「「ヒソヒソヒソ」」」


 どうやっても俺の評価は右肩下がりのようだ。ならばこの状況で最良の選択は……あの娘に優しく接する? しない場合のことを考えてみよう、クラスメイトは俺のことを冷血と蔑み、あの娘は泣くだろう……しゃーなしだな……

 不本意だが手招きした。すると、一気に笑顔になって、子鴨が母鴨に付いて行くみたいに「てくてくてくぅ~」という擬音に聞こえてきそうな足音と共にこっちにやって来き、何故か俺の膝の上に座った。ナチュラルに……ってオイ!!


「「「ジィ~~~~~~~~~」」」


 視線が痛いが気にしない、気にしたらもう学校には来られないから。


「えっと、クリスちゃん? 君と俺は最後にいつ会ったのかな?」

「ん~とね、私は三ヶ月前かな」

『私は』か。きっとあのオッサンが言っていた沈没事件のことが三ヶ月前なのか、それとも彼女の中の体感時間が異常だからこんな言い方なのか?


「じゃあ…俺が『パパ』ってのはどういうことかな?」

 怖くて訊きたくなかったが、訊かなくてはならない……というか訊かなかったら俺が(社会的に)死ぬ。

「ん? トオルゥが私を保護してくれたからパパなんじゃない?」

「保護?」

「うん♪ 保護」

 クリスはご機嫌になって俺の箸を勝手にもってミートボールを食べた

 ……こいつ、やりおる。

 しかし、保護か……向こうの俺は孤児院でもやってたのだろうか?


「クリスたんは沢渡…透のこと好き?」

 クリス『たん』? こいつ今『たん』って言った? 要注意だな。このロリコンめっ!!

「うん! 大好き!!」


 クラスメイトの視線が汚物を見る目に成ってきた。斉藤は血涙を流しながら俺を睨んだ……これはあれだな。羨ましいのか……変われるなら変わってやりたいわ。

 彼女とのやりとりのせいで俺の心も限界突破しそうなじゃ……


「じゃあクリスちゃんは透のどこが好きなの?」

 ゆずさんが割って来た。優しいなぁ~(妹以外の)女の子の声を聞くと癒されるわぁ~


「ん~、全部!」


 ……何故だろう、この子がしゃべる度に俺のヒットポイント(HP)やメンタルポイント(MP)が下がっていくよ……


「例えば?」


「ぅんとね、『カッコいい所』と『優しい所』と『勉強を教えてくれる所』あとはぁ……」


 ……ほへぇ~~

 ……随分と出来た人間なんだな……向こうの俺は。俺も同い年(ここ重要)の女の子に言われたいぜ!


「へぇ~(チラッ)」


 ゆずさんが俺の顔をチラ見してきた。おいおい、照れるじゃないですか…

 そんな俺を見て斉藤はニヤニヤしていた……よしっ! こいつの最低な秘密を琥珀にバラそう! 何が良いかな♪ 何が良いかな♪


「……んぅ(コックリ)……んぅ(コックリ)」

 クリスは眠そうに頭を揺らしていた。

「眠いの?」

 ご飯を食べると眠くなるよね、分かる分かる。この昼飯の後の授業が一番ダルいんだよな。基本睡眠時間になっちゃうよねぇ~

「だい……じょ…………zzz」

 クリスは眠ってしまった。どうやら『だいじょばなかった』ようである。このまま放置しておくわけにはいかないので保健室に連れて行くことにする。おんぶで。


(そりゃおんぶでしょ? 相手は八歳児だぞ? 推定年齢だが)


 ……クラスメイト以外からも見られているな……そろそろ転校のことを本格的に考えた方が良いかな……

 おや? なんか妙に軽くなったな? 俺はクリスの方を見たらクリスは消えていた。それに驚かなかった自分に驚いて教室に戻った。

 ……そういえば俺があっちの世界に行ってる時ってどうなって……いやいやいや! 夢の世界とかないから! そんな『不思議の国のアリス』みたいな世界とかないから!!



「う~~ん! 今日は本当に疲れたぁ~」


 ホームルームも終わったので俺は帰宅する準備をしようとした。帰宅部だからね、帰宅するのが仕事だよ。

 校門を出ようとする俺にゆずさんが質問してくる。


「あれ? 透、クリスちゃんを迎えに行かなくても良いの?」


 迎えに? 居ない人間を迎えに行くと? でも説明しようがないので俺は一応保健室に向かう振りだけした。

(実際は帰宅した)

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